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ポンコツ(壊れかけ・壊れそう)の表現・描写
(時化の海を渡り)一昼夜の闘争で、満身に痛手を負ったように、船は何処か跛な音をたてて進んでいた。
......。 時化は頂上を過ぎてはいた。それでも、船が行先きにもり上った波に突き入ると、「おもて」の甲板を、波は自分の敷居でもまたぐように何んの雑作もなく、乗り越してきた。一昼夜の闘争で、満身に痛手を負ったように、船は何処か跛な音をたてて進んでいた。薄い煙のような雲が、手が届きそうな上を、マストに打ち当りながら、急角度を切って吹きとんで行った。小寒い雨がまだ止んでいなかった。四囲にもりもりと波がムクレ上って......
ボロ船のウインチは、脚気の膝のようにギクシャクとしていた。ワイヤーを巻いている歯車の工合で、グイと片方のワイヤーだけが跛にのびる。
......の下に漁夫が四人程居て、ウインチの腕が短いので、下りてくる川崎船をデッキの外側に押してやって、海までそれが下りれるようにしてやっていた。――よく危いことがあった。ボロ船のウインチは、脚気の膝のようにギクシャクとしていた。ワイヤーを巻いている歯車の工合で、グイと片方のワイヤーだけが跛にのびる。川崎船が燻製鰊のように、すっかり斜めにブラ下がってしまうことがある。その時、不意を喰らって、下にいた漁夫がよく怪我をした。――その朝それがあった。「あッ、危い!......
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