その上に字が書けそうなくらいぽっかりとした白い息
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon関連カテため息・吐息
かび臭い家の中で人々が青い息をする
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いい気持の溜息を、鯨のように吹き上げて
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
ふーっと疲れを吐き出すように息をする
関連カテため息・吐息
少しずつちぎって捨てるような苦しい溜息をついた。
林 芙美子 / 下町「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
馬の鼻息のような吐息を漏らす
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肺の底からため息をつき
......う泣きやめ。落ち着け。水でも飲めよ」「一体どこの世界に泣きながら人をからかう女がいるの、笑いながら怒る人じゃあるまいし。ちょっと感受性にぶいんじゃないの」 ニは肺の底からため息をつき、私はきらわれるのがこわくなってますます早口になった。「私のことを愛してるんでしょ。こういうことを言うのも私だよ、受け入れてよ」「ちょっと待て。正直言って、おれ......
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon関連カテため息・吐息
一仕事終えたみたいにふうっと肩で息をする
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煙草を手に取って火を点けると、溜息と一緒に煙を吐き出し
......力なく肯いてから起き上がり、そのまま壁にもたれかかって一息に水を飲み干した。「ずいぶん飲んだ?」「かなりね。僕なら死んでる。」「死にそうよ。」 彼女は、枕もとの煙草を手に取って火を点けると、溜息と一緒に煙を吐き出し、突然マッチ棒を開いた窓から港にむかって放り投げた。「着るものを取って。」「どんな?」 彼女は煙草をくわえたまま、もう一度眼を閉じた。「何んだっていいのよ。お願......
心臓の鼓動のように規則正しい吐息
関連カテため息・吐息
ぶわあ、と、携帯から生ぬるい空気が吐きだされてきそうなほど、大きな溜息の音がした。
......白羽さんも、交尾をどんどんして、人類を繁栄させるのに協力したほうがいいと思いますか?」 しばらく何の音もせず、ひょっとしたら電話が切れてしまったのかと思ったが、ぶわあ、と、携帯から生ぬるい空気が吐きだされてきそうなほど、大きな溜息の音がした。『勘弁してくださいよ……。バイトと無職で、子供作ってどうするんですか。ほんとにやめてください。あんたらみたいな遺伝子残さないでください、それが一番人類のためです......
村田 沙耶香「コンビニ人間」に収録 amazon関連カテため息・吐息
ただ単に呼吸を調整するための溜め息
関連カテため息・吐息
ふう、とわざわざ声に出して肺の中身をすっかり出してしまうようなわざとらしいため息をついて
......動かさずに鼻をすん、と鳴らして女の全体を笑ったように見えた。 若い女が勢いよく行ってしまい、女は独りになると、そこにいる誰も彼女を気に留めている様子もないのに、ふう、とわざわざ声に出して肺の中身をすっかり出してしまうようなわざとらしいため息をついて、歩き直し、信号が青になるのをじりじりと待っていたけれど、しかしさっきまでいい調子で物事を制していた心臓は体中の皮膚の裏をいやな音をたてて走り回るので、女はのん......
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
軽い、感傷的な歎息
......斎藤寿八先生です。最前も、ちょっとお話をしました通り、正木先生の前にこの精神病科の教室を受持っておられましたお方で、私どもの恩師です」 そう云ううちに若林博士は軽い、感傷的な歎息をしたが、やがてその長大な顔に、深い感銘の色をあらわしつつ、悠々と私の方に近付いて来た。 「……やっとお眼に止まりましたね」 「……エッ……」 と私は驚きなが......
夢野久作 / ドグラ・マグラ 青空文庫関連カテため息・吐息
鍬を杖にしつつ腰を伸ばして、苦しそうにホッと一息した。
......が見える。その周囲の場内の平地の処々に真黒く、墓穴のように砂を掘り返したところが、重なり合って散在している。 その穴と穴の間の砂の平地の一角に突立った呉一郎は、鍬を杖にしつつ腰を伸ばして、苦しそうにホッと一息した。その顔は真黒く秋日に焦けている上に、連日の労働に疲れ切っているらしく、見違えるほど窶れてしまって、眼ばかりがギョロギョロと光っている。流るる汗は止め度もなく、喘......
魂も一緒に抜け出ていきそうな、深いため息
関連カテため息・吐息
ほっとしたように太い息をもらしました。
......はこの返事を聞いた時、てれたように頭をかいていました。が、そこにい合わせた産婆はたちまち細君の生殖器へ太い硝子の管を突きこみ、何か液体を注射しました。すると細君はほっとしたように太い息をもらしました。同時にまた今まで大きかった腹は水素瓦斯を抜いた風船のようにへたへたと縮んでしまいました。 こういう返事をするくらいですから、河童の子どもは生まれるが早いか、も......
どっはああぁぁー、と、俺は肺ごとこぼれ落ちてしまいそうな深い息をはく。
......。 俺の溜息を耳にして、バス停の前でコーラなどをごくごく飲んでいた先輩と司が声をそろえた。「ええ、もうあきらめるのかよ瀧!?」「私たちの努力はどうなるのよ!」 どっはああぁぁー、と、俺は肺ごとこぼれ落ちてしまいそうな深い息をはく。先輩の妙に気合いの入った本格トレッキングファッションと、対照的に近所に散歩に来ただけのような司のごく普通のチノパン姿が、今となっては非常にムカつく。「あんたたち......
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
いまいましそうにため息をついてまたソファの背にもたれる。
......たら分かる! 他人に触らせたらそいつの念が入ってきて、おれの石が穢れるだろうが!」「そうだったね、ごめんなさい」 あわてて手を引っ込める亜美ちゃんに、崇志さんがいまいましそうにため息をついてまたソファの背にもたれる。喫茶店中に響き渡る大声だったのに、客も従業員も驚いて反射的にこちらを振り向くこともなく、平然と談笑を続けている。 亜美ちゃんはあんまり懲りてなくて、また顔にはす......
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
なるほどな。もう一度、深呼吸とともに思う。なるほどな。吐き出す息が、ため息の重さになる。
......、もちろん。いまだって、美代子の言葉を噓だと断じる証拠など、なにもない。だが、僕はもう知っている。我が家の終わりがどんなふうに始まったかを、もう見てしまった。 なるほどな。もう一度、深呼吸とともに思う。なるほどな。吐き出す息が、ため息の重さになる。確かに、ここも、僕にとってたいせつな場所だ。あの頃は気づくことのなかった、たいせつな一日の、たいせつな場所に、いま、僕はいる。 あとしばらくすれば、広樹が姿を現......
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
胸の中をからっぽにするぐらい深いため息をついた。
......じてるわけじゃないから」「信じなくてもいいよ、受験のことは。でも、引っ越すことは考えといてくれ。それだけ、覚えててくれればいいから」 美代子は黙ってうなずいて、胸の中をからっぽにするぐらい深いため息をついた。 僕はキッチンに入り、ドリッパーにペーパーフィルターとコーヒーの粉をセットした。うんと苦いコーヒーを飲みたい。いつものカップ一杯分よりも粉の量を多くして、ポット......
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
身悶えるようなため息
......見せた。《ユニバーサルスタジオ 俺も行きてぇ! でも年末年始は混んでるよ。そんじゃ、もう寝るよ。おやすみ》 沙里と眞子は順番にメールを読み終えると、やはり順番に身悶えるようなため息をつく。「ねぇ、これってユニバーサルスタジオに一緒に行こうって誘われとるっちゃない?」 根が素直なのか、メールを読み終えた眞子が羨ましそうに佳乃に言う。「そうか......
静かな吐息を肺量の底を傾けて吐き出さす
......かえる術は見出しにくいと思うほど、復一の人生一般に対する考えも絶望的なものになって来て、その青寒い虚無感は彼の熱苦るしい青年の野心の性体を寂しく快く染めて行き、静かな吐息を肺量の底を傾けて吐き出さすのだった。だが、復一はこの神秘性を帯びた恋愛にだんだんプライドを持って来た。 それに関係があるのかないのか判らないが、復一の金魚に対する考えが全然変って行き、ね......
岡本かの子 / 金魚撩乱 青空文庫関連カテため息・吐息
弾んだ呼吸をすっかり太息に吐き出す
......出したいと思った。傍の二人の女は其の時までの道連れだ。どれも向うからついて来た女達だ。自分の知ったことではない。この女達にあんまりこだわらないことにしよう。彼は
弾んだ呼吸をすっかり太息に吐き出すと、ベッシェール夫人は冗談のように言った。
――レデーを二人も傍に置いときながら国元の奥さんの想い出に耽るなんて、あたしたちに失礼だわねえ、マドモアゼル。さあ、も
......
酒にでも酔っているのか、わざとらしくつっぷして溜息をしていた。
......いても、こうして会ってみると、シャツが目立って白いのなんかも、とてもしゃくだったりする。 「いつまでもお金が返せないで、本当にすまなく思っています。」 松田さんは酒にでも酔っているのか、わざとらしくつっぷして溜息をしていた。さくらあらいこの部屋へ行くのは厭だけれども、自分の好かない場違いの人の涙を見ている事が辛くなってきたので、そっとドアのそばへ行く。ああ十円と云う金が、こんなにも......
わっと割れるような息をする。
......さいと頼んでみる。では特別ですよとこの間も十枚で一円五十銭くれて、まアよく勉強するンだな。アンデルゼンでも読み給え。はい、アンデルゼンを読みます。玄関を出るなりわっと割れるような息をする。 あの編輯者メ、電車にはねられて死なないものかと思う。雑誌も送って来やしない。本屋で立読みをすると、私の童話が、いつの間にか彼の名前で、堂々と巻頭を飾っている。......
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫関連カテため息・吐息
三十パーセントくらいの軽いため息をついて
......も台風のしるしなんてない。降水確率はみごとにゼロ・パーセントときている。天気図で見るかぎり、それは全盛時のローマ帝国のように平和な日曜日であるはずだった。 僕は三十パーセントくらいの軽いため息をついて新聞をたたみ、洗濯ものをタンスに整理してしまい、害のない音楽のつづきを聴きながらコーヒーを入れ、そしてコーヒーを飲みながら日記のつづきを書いた。 木曜日に僕はガ......
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
気落ちしたような吐息をつき
......、今のところ一番有望な手段は、おばあさんの殺人を立証することです」「いや、それは無理だと思います」 期待をかけられても困るので、雪見ははっきりと言った。 池本は気落ちしたような吐息をつき、首を振る。「じゃあ、あとは彼をじわじわ追い詰めて、馬脚を現すのを待つしかない。しかも、被害者が出る前に正体を暴かなきゃいけない。難しいけど、これをやるしかない......
(電話でため息)耳には聞こえないが、細く息を吐くような気配が届く。
......。「それではじめて、黒崎さんが、ゆ、行方不明になられたことを聞かされたんです。あのときはこっちからかけておきながら、驚いて電話を切ってしまって、失礼しました」 耳には聞こえないが、細く息を吐くような気配が届く。それからはじめて女の声が言う。「あの電話のことは刑事さんから聞きました。俊一の、昔の恋人だった方ですよね?」 架空の存在に過ぎなかったカヨが、突然実体となってそ......
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息電話で話す
それから彼は、しばらくベランダを見つめていたあと、ソファに突っ伏してゆっくり頭を振った。胸に溜まっていた息が大きく抜けていった。
......ら、何かあるなら話して。」「わたしは大丈夫。……ありがとう、話してくれて。……じゃあ、お風呂に入ってくる。」 城戸は、リヴィングを出て行く妻の背中を見守った。 それから彼は、しばらくベランダを見つめていたあと、ソファに突っ伏してゆっくり頭を振った。胸に溜まっていた息が大きく抜けていった。 18 城戸が担当した過労死事件の民事訴訟は、二月十五日に和解が成立し、被告の居酒屋チェーンとその役員個人は、併せて八千二百万円の支払いと、八項目からなる再......
なにかを吹っ切るように、はあっと短い吐息をついた。
......もうまく行きませんよ。本当に優秀なら、どんなことがあっても田村先生がお引き止めになったでしょう」「まあ、仰る通りかも知れませんね」 曖昧な返事を寄越した中川は、なにかを吹っ切るように、はあっと短い吐息をついた。「現段階で、代理人のことをあれこれいってもはじまりませんから、本日の本題に入りましょう。継続中の訴訟について、青山から途中経過を報告させていただきます」 その日......
震えるような細い吐息をゆっくりと吐き出し
......ゃねえの、これで。部品供給のセンがなくなるし、これで思った通りになるじゃん」 迫田はいってみた。江原からの返事はない。短くなったタバコを灰皿の底に押し付けると、震えるような細い吐息をゆっくりと吐き出し、「そら違うだろ」 そうつぶやいた。 迫田はその横顔を窺い見る。江原は、相変わらず夜空を見ていた。星のない空だ。前の道路をクルマが一台通り過ぎていった。「そうい......
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
ふう、と大きく息を吐いた。体中の力が抜けて、猫のように背中が丸まる。
......ントを撮るので、みんなこのままちょっと待ってて。うーんと、波奈から撮ることにしよっか。内容考えておいてね」 室内にいるカメラマンがカメラを下ろしたので、愛子は、ふう、と大きく息を吐いた。体中の力が抜けて、猫のように背中が丸まる。「ほんとに五人になっちゃうのかなあ?」 空いた席に座った真由は、愛子の返事を待つこともせず、カバンの中に突っ込んだ手をがさごそと動かし始める。あと二十分も電車に......
句読点を打つように短いため息をついた。
......えず責任者になって会社の面倒を見ることになったのよ。生活をうちの会社に頼っている親戚も何人かいたし、簡単に会社をやめてしまうわけにもいかなかった」 彼女はそこで句読点を打つように短いため息をついた。「父親の会社はもともとは韓国から乾物とか薬草なんかを輸入するのが主な営業内容だったんだけれど、今ではもっと広い範囲の品物を扱うようになっている。コンピューターの......
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
周囲の人間の溜息が彼ら自身を草木のようにそよがせる
......には、不良の令嬢の悲哀が滲み出る。彼女は、どのような景色の中にあっても決して同化してしまわない女だった。 J・トリックでも、そのような光景がくりかえされていた。周囲の人間の溜息が彼ら自身を草木のようにそよがせるのを満足げに感じ取っているはずのシンイチが、突然、忌々しげに舌打ちをした。「ちぇ、もうあんな連中が出入りし始めやがった」 サユリがシンイチの視線をなぞると、その......
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息
壁にもたれて彼はふかい溜息をついた。
......戸田で顔をそむけていた。「勝呂君、やってくれるだろう」「はい……」勝呂は眼をしばたたきながら、か細い声で答えた。 くたびれたようにおやじが廊下に出た時、大部屋の壁にもたれて彼はふかい溜息をついた。おばはんは毛布で体を包んだままベッドの隅から、まだ、彼を見あげている。その困ったような視線から彼はくるしそうに眼をそらした。手術をやればこの患者は百のうち五十は......
溜息 のような煙を吐く。
......わないと思うよ」「あたりまえじゃないの。私、何も悪いことしてないもの」 週刊誌をながめる夫の目はうつろだった。眼鏡をはずし、グリーン車の柔らかな照明を見上げて、溜息のような煙を吐く。「私じゃなくって、小野さんを連れてくればよかったのに。それの方がみんな喜んだわよ」「もう予定日が近いんだ。いま動かすわけにはいかないだろう」 怒りと情なさとで、......
浅田次郎 / うらぼんえ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon関連カテため息・吐息タバコ
安心したように息を吐いた。
......えのことだ。「好きです」 馬締はいままで生きてきたなかで、一番真剣に言葉を発した。「遊園地で何度も、もしかしたらと思った」 香具矢は馬締の胸もとに額を押し当て、安心したように息を吐いた。「でも、なにも言わないし、しないから」「すみません。慣れていないもので」「謝らないで。『じゃあ、もうちょっと様子見しようかな』って、ずるいこと考えてました。それ......
リラックスしたようにため息を漏らした。
......提案した。 私たち四人は大きな通りを延々と歩き、ようやく一軒だけ見つけた静かな雰囲気のダイニングバーに入った。 衝立のある奥の席に通されると、ようやくそれぞれがリラックスしたようにため息を漏らした。 小野君がカーキ色のジャケットを脱ぎ、シャツの袖を軽く捲りながら「今日は俺と黒川が奢るから、好きなもの頼んで」「分かった。じゃあ俺は志緒の分を払うから、おまえは......