職場で後輩から「事勿れ主義ですもんね」と言われて、ギョッとして、がーんときて、でも、私は何事も起きないように事前に根回ししたり小細工したりしてから仕事にあたっているので、そこをよく見てたのかもね、うんうん、などと、即座に慰めたりしたが、よくよく考えてみれば、私自身が『事勿れ主義者』を自称したことがあったかもしれず、それはその性質に自覚があるからこそ誰かに言われたくなくて卑下して自称したことがあったのかも、とか考えたら、出たな私の中のプチ李徴!尊大な羞恥心!臆病な自尊心!と中島敦の傑作小説・山月記を彩るパンチラインが全身を駆け巡り、と同時に、私は昔からこうなんだよな、とどうしようもなく変え難く強固な自分をまた確認したり、優柔不断さが功を奏して変わることを期待したりした冬の夜、がおー虎でも人生は続く、