陸前高田市探訪 「甦る記憶」リメイク版

震災前から震災を経て現在までの記録画像を纏めたリメイク版

小刻みな揺れが示すもの――南海トラフ地震への備え

小刻みな揺れが示すもの――南海トラフ地震への備え

ここ数ヶ月、特に昨年12月頃から、小規模な地震が気になるようになった。震度1~2程度の小さな揺れが日本各地で頻繁に観測されている。規模こそ大きくはないものの、その震源域が気になって仕方がない。もしかすると、これらの小刻みな揺れには何か意味があるのではないか、と不安を抱いているのは私だけだろうか。

ある地震研究者の話を聞いてさらに驚かされた。彼は、「石川県西方沖や山梨県東部・富士五湖、そして日向灘での地震は、南海トラフ地震の“下準備”と言える現象だ」と語っていたのだ。この言葉を聞いたとき、胸に冷たいものが走った。確かに、これらの震源域を地図で見てみると、それぞれが日本列島のプレート境界や活断層の上に位置していることがわかる。

彼の話に符合する如く2025年1月5日に山梨県東部・富士五湖震源域とした地震が発生しさらに翌日には日向灘震源域とする地震が発生しているが、偶然では無くて何故か符合している感があるのではないかと思う。

日本列島の地質構造を考えると、まさに大自然の力が創り上げた複雑な織物のようだ。東側には直江津平塚構造線、西側には糸魚川静岡構造線が走り、その間を貫くのがフォッサマグナ中央地溝帯)だ。このフォッサマグナの下にはユーラシアプレートが広がり、複雑な地質構造を形成している。これに加え、石川県西方沖や山梨県東部・富士五湖といった震源域、さらには日本の象徴ともいえる富士山も、このユーラシアプレートの境界線上に位置しているのだから、驚かざるを得ない。

資料データー ウェザーニュース
https://weathernews.jp/s/topics/201901/160215/

フォッサマグナに関しては、映画『黒部の太陽』の舞台として知られる黒部峡谷が思い浮かぶ。黒四ダム建設時、本道トンネルの工事で遭遇した破砕帯との戦いは、難工事として多くの人々の記憶に残っている。この場所自体がフォッサマグナ付近に位置していることを考えると、日本列島の地質的な複雑さとそれに伴う自然の猛威を改めて感じる。

ユーラシアプレートの境界線をさらに南下していくと、静岡県辺りからユーラシアプレートは分岐して駿河トラフと相模トラフとなり、駿河トラフは南海トラフに繋がり、相模トラフは関東近海を横断し、太平洋プレートへと繋がる。端的に言えばフィリピン海プレートユーラシアプレートの線上が駿河トラフと南海トラフという事になる。

そして北米プレートの先端が相模トラフであり、この地震活動が過去にどれほどの被害をもたらしてきたかを忘れてはならない。例えば、1923年に発生した関東大震災。相模トラフが震源域として知られるこの大地震は、当時の関東地方に壊滅的な被害をもたらした。

さらに、この相模トラフの下では、太平洋プレートとフィリピン海プレートユーラシアプレートや北米プレートの下へ潜り込む構造が存在している。これにより、日本列島全体が地震活動の温床となっていることは間違いない。特に近年では、小規模な地震が頻発していることが、その活発な動きを証明しているように感じる。

視点を西に移すと、日向灘地震活動にも注意を払うべきだ。ここは南海トラフの西端に位置し、この周辺で発生する地震が連鎖的に影響を及ぼす可能性があると指摘されている。過去を振り返れば、1854年安政東南海地震から、90年後に発生した1944年昭和東南海地震、そしてそのわずか2年後の1946年昭和南地震と、大規模地震が連続的に発生している。

現在、これらの地震から79年が経過していることを考えると、再び巨大地震が発生するリスクは高いのでないかと思っている矢先に2024年8月8日日向灘地震(M6.9)が発生し南海トラフ臨時情報が発表されるなど巨大地震に繋がってくるのではないかと危惧していてる。

こうした地震活動を耳にするたび、「備え」の重要性を再認識する。南海トラフ地震や首都直下型地震といった巨大災害は、30年以内の発生確率が高いとされているが、それでも、大きな揺れが来たときに備え、自分や家族の命を守る準備だけは怠らないようにしたいと思う。日本という地震大国に住む私たちにとって、それは日常の一部として受け入れるべき課題なのだろう。

内閣府の発表によれば、南海トラフ巨大地震が発生する確率は「30年以内に起こる」とされている。しかし、この「30年以内」という言葉の曖昧さが、かえって不安をかき立てる。「30年以内」とは、それが「今日」なのか「10年後」なのか、あるいは「もっと先」なのかは誰にも分からない。つまり、いつ起きてもおかしくない状況に私たちは置かれているということなのだ。

日々の生活を送りながら、ふと「自分は地震に対してどれだけ備えられているのだろう」と考えることが増えた。東日本大震災で被災した経験から非常食や水の備蓄、防災グッズの点検など、思いつくことはしているつもりだが、それでも本当に十分なのかと自問する。南海トラフ地震が現実のものとなったとき、被害は広範囲に及ぶことが予想されており、備えの重要性を改めて痛感している。

私たちができることは、地震に対する知識を深め、日々の備えを怠らないことだろう。そして、小さな揺れを軽視せず、常に「次の一手」を考えること。これが、自分や家族を守るための最善の道だと思う。揺れに敏感になったこの頃、改めて防災意識を高めるきっかけとなる日々である。


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