法華狼の日記

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藤子・F・不二雄作品には『伝説巨神イデオン』に影響を受けた描写が散見されるように思える

 先日、TVアニメ『伝説巨神イデオン』の総集編と完全新作の劇場版がサンライズチャンネルで無料配信された。
伝説巨神イデオン:「接触篇」「発動篇」YouTubeで公開 サンライズチャンネル「お正月スペシャル配信」 - MANTANWEB(まんたんウェブ)
 それをきっかけとしてか、よく指摘される『ドラえもん』の作中に出てくるパロディ作品にあわせて、『大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団』に登場する巨大ロボットが連想されていた。


ドラえもん』の「イデオン」パロディと言えば、「建設巨神イエオン」ですが、F先生はこのパロディ気に入ったんだろうと思うのは、『鉄人兵団』のザンダクロスが「工作用」という設定で、これは建設巨神を引っ張ってる気がする。

 しかし、そもそもザンダクロス自体のさまざまな描写に『伝説巨神イデオン』との共通点がある。

 最初はバラバラの部品で見つかり、それを合体させれば人型になることは後で気づくこと。隠し武器が腹部にあって主人公側が意図せず発動すること。


ドラえもんのび太の鉄人兵団でしずかちゃんがただのフレーバーな飾りだと思ってザンタクロスのスイッチを押したら必殺武器が発動して目の前の建物を粉々に粉砕してしまい慄然とする場面を思い出していた。自分たちが目覚めさせ乗り込んだロボットの力に恐怖するってちょっとイデオンっぽいよな。

 さらに1983年から連載された『大長編ドラえもん のび太の宇宙小戦争』*1でも、破壊した敵機から飛び出た発信機が自機に付着させられて追跡されるという敵組織の作戦が似ている。

 1990年代に『伝説巨神イデオン』の劇場版をはじめて視聴した時は気づかなかったが、2000年代になってTV版を初視聴した時に上記の複数の類似に気づいた。
 当時の視聴者や読者は共通点に気づいていたのだろうか。明らかなパロディの「建設巨神イエオン」はくりかえし言及されてきたが、作品描写そのものの類似を指摘する批評のたぐいは読んだおぼえがない。それぞれのファン層が当時は断絶していたため、あまり気づかれなかったり、気づいても記録に残らなかったのかもしれない。『伝説巨神イデオン』は一部のアニメファンにこそ熱狂的に支持されたが、打ち切りになるくらいマイナーな作品だった。
 本当にそのようなマイナー作品から作品内容にまで影響を受けたのか、だとすればなぜか、それは作者が亡くなった今はわかりようもない。SF愛好者として純粋に『伝説巨神イデオン』を気にいったのかもしれないし、基本的に小学館でメディア展開されていたため目に入る機会が多かったのかもしれない。

*1:ちなみに別の邦画にも参照元と思われる描写があることを見つけた。 『宇宙からのメッセージ』 - 法華狼の日記