2024年に読んだ本は71冊。そんなに読んでいたとは…!
2024年に読んだ本の中から、面白かったものを挙げてみました。やはり、図書館で借りることが多かったため、それっぽく並べてみます。( )の数字は、そのジャンルで読んだ冊数です。
【総記(11)】
『あのとき売った本、売れた本』
某大型書店の元店員によるコラムをまとめた1冊。当時売れた/売った本のエピソードがコミカルな文章で書かれているから、思わず笑ってしまうところもあった。また、元書店員のコラムということもあり、本を仕事にする職場の裏側も知れるので、本好きとしてはたまらない。普段行く本屋がより近い存在になった気がする。
『企業ミュージアムへようこそ 上・下巻』
上・下巻合わせて33社の企業ミュージアムが紹介されている。どのミュージアムも面白そうで、知的好奇心をくすぐる。歴史の教科書に載っていない生活史はここで学べそうだ。一度は足を運んでみたいものばかりで、アドミュージアム東京や島津製作所、第一三共、ダスキンの企業ミュージアムは特に興味を持った。
【哲学(4)】
『最強に面白い哲学』
すでにある「あたりまえ」を疑い、別の視点から捉え直す。哲学は、ある問いに関する答えが1つだけとは限らない学問だと思った。哲学から他の学問に枝分かれしていくことも書かれていたが、これは人類の歴史のなかでごく最近のことであることに驚いた。そして、哲学の対象はこれからどんどん広がっていく。常に更新をし続ける学問だ。
【歴史(7)】
『今こそ学ぼう地理の基本 防災編』
地図って大事だな、と思った。ハザードマップでどういう危険性があるかを確かめるだけでなく、想定以上のことも考えて自分たちで防災力を高めることが重要だと知った。自然の営みの上で私たちの生活があるということをしっかりと認識していきたい。国土地理院で防災に関する地図が見られるということも、この本で知った。
『スイスの素朴なのに優雅な暮らし365日』
写真とテキストの日めくりカレンダー形式で、スイスの特徴や国民性、食、季節、イベント、有名スポットなどがまとめられている。365日分あるため読むのは大変だったが、1つ1つのテーマが分かりやすいし読みごたえがあった。ページをめくるのが楽しかった。
【社会科学(16)】
『給食の謎 日本人の食生活の礎を探る』
“給食マニア”の男性栄養士が、給食室の中身や献立作成といった栄養士のお仕事のことから、給食の歴史、お金事情まで、学校給食について幅広く解説している。子どもたちが安全においしく給食を頂くまでに、いくつもの課題をクリアしなければならない。栄養士がここまで頭を悩ませているのは想像以上だった。
『「行きたくなる」オフィス』
働き方が多様化し、オフィスの意味合いが大きく変わった現代。在宅ワークやリモートワークもできる世の中で、オフィスに行きたくなると思わせるのはどのような空間か?本書では「空間」「視線」「接触」「位置」の4つの視点から、働き方の研究で行われた実験を含めて解説している。オフィス環境の変化と未来について知ることができる。
『フェーズフリー』
日常時にも非常時にも価値を高める「フェーズフリー」は、防災の新たな考え方である…と思ったが、この言葉が定義される以前から、そういう仕組みは存在していた。この言葉で概念化することで、多くの人に意識づけをし、誰も取り残さない社会を目指す。事例をいくつか出しながら、本書で丁寧に解説されていた。
【自然科学(10)】
『もしも世界からカラスが消えたら』
「はじめに」からもう面白くてページを進む手が止まらない。全体的にユーモア溢れる文章で、思わずフフッと笑ってしまうところもあった。タイトルのような世界になってしまったら、いろんな鳥類にビクビクしながら生活をしなければならない。そういった意味では、カラスは案外良いヤツかもしれない。そう思わせてくれる1冊だった。
『朝日新聞宇宙部』
ペン記者らしいユニークでユーモアのある文章と、キレイな星空や天体の写真でスラスラと読めた。「朝日新聞宇宙部」ができた経緯、ハワイ・マウナケア山頂の星空ライブカメラがハワイ島の危機に役に立った話など、どの章も読みごたえがあってページがどんどん進んでいく。
【技術(6)】
『仕事と人生に効く 教養としての紅茶』
分厚い本だったがサクッと読めた。紅茶のイロハが詰まっている1冊。紅茶の歴史や世界各国の文化、茶葉の特徴などの基本的なことから、紅茶のシチュエーション・マナー・身だしなみといったセレモニー的なことも書かれているから、まさに「紅茶の教養本」となっている。
『おうちワークの文具術』
この本をきっかけに自分の部屋を整理した。文具の力を借りながら、おうちワークの空間をつくる。在宅ワークをするわけではないけれど、こうやってブログを書いたり勉強したりするのに快適な空間が欲しいと思っていたから、本書がそのきっかけを与えてくれた。おうちワークのための工夫が詰まっている1冊。
【産業(3)】
『逆境路線バス職員日誌』
元バス職員の著者が路線バスの現状とこれからを解説している。運行管理者というお仕事は初めて聞いたが、バスの運行には欠かせない存在であることを知った。また、著者が利用者としてバスに乗ったという章では、元職員だから言えるバス業界の厳しい現状が記されてあって興味深い。説得力のある1冊。
【芸術(5)】
『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』
普段あまり知られていない美術館の裏側や学芸員のお仕事を知ることができる1冊。保存と展示という相反するものをいかに両立させるのかが学芸員の腕の見せ所。また、展覧会のオススメ鑑賞方法も紹介されており、やってみようと思ったものもあった。学芸員視点の美術館と展覧会のことが書かれていて、とても面白かった。
【言語(4)】
『青椒肉絲の絲、麻婆豆腐の麻』
「中国語圏は中国料理圏である」ということがよく分かる1冊。中国語は漢字で表されているから理解しやすい反面、日本語の意味と異なることも多いからちょっとややこしい。しかも、中国国内でも地域によって捉え方が異なるという。ただそれは、広大な土地を持ち、それぞれの文化があるということだから奥が深い。この本を読むと、中華料理を食べたくなる。
『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』
他人の言葉と距離を置きながら、自分の言葉で「好き」を発信しよう!という1冊だった。推しのどこが「やばい!」と思ったのかを細分化してみる。このことが自分にしか書けない文章のヒントになる。ネガティブな感想には、「どこに退屈したか」や「どこが不快と思ったのか」を書くと良いという。
【文学(5)】
『ことばの魔法』
芸人、声優、書店員、絵本作家、短歌、落語家、翻訳家(日→仏)、ラッパー…。言語表現の名手20人が「ことば」について語られている。それぞれの分野でことばの捉え方が異なっており、ことばを扱う仕事の幅広さが面白い。日本語のあいまいさは奥深さと危うさが表裏一体となっている、という点に「なるほどなぁ」と思った。
『八月の御所グラウンド』
かなり久々に小説を読んだが、ほっこりするSFだった。『世にも奇妙な物語』に出てきそうなエピソード2作。1つ目の都大路の物語は、疾走感があって青春って感じ。2つ目の表題作は、読み始めは青春らしさを感じたが、ページが進むにつれて不思議な世界観に迷い込む。なんか京都だったらありえるかもしれないなぁと思った。
なんと、18冊も紹介しちゃいました(笑)。相変わらずの長文です。
ジャンルをもう少し細かく見ていくと、「博物館」「図書館」「地理」「整理術」「防災」「建築」「文房具」「エッセイ」「小説」の本をよく読んでいたようです。昨年は、能登の大地震もあったからか、「防災」の本を手に取る機会が多かった年でした。
また、本との出会いも図書館だけでなく、本屋さんで買うことも多い1年でした。選書サービスを初めて利用したり、旅先で個人経営の本屋さんに立ち寄り本を買ったりと、本との新たな出会いが増えました。
さて、今年はどんな本に出会えるでしょうか。