M3 Proの概要
Appleが2023年10月30日に発表したM3 Proチップは、MacBookやiMacなどのAppleコンピュータ向けに開発された高性能プロセッサだ。3nmプロセス技術を採用した初のAppleシリコンとして注目を集め、M3シリーズの中間に位置するこのチップは、標準のM3よりも高いパフォーマンスを提供しつつ、最上位のM3 Maxほどの価格にはならない絶妙なバランスを実現している。発売から1年以上経過した2025年現在でも、多くのプロフェッショナルにとって十分な性能を発揮し続けている。
M3 Proの主な特徴
- 3nmプロセス技術を採用し、より小さな面積に多くのトランジスタを搭載
- 最大12コアCPU(6パフォーマンスコア+6効率コア)構成で効率性を重視
- 最大18コアGPUを搭載し、グラフィック性能が大幅に向上
- ハードウェアベースのレイトレーシングとメッシュシェーディングをサポートし、3D描画能力が強化
- 最大36GBの統合メモリに対応し、大規模なワークフローをスムーズに処理
- 37億個のトランジスタを搭載し、複雑な計算処理を高速化
- 動的キャッシング技術により、メモリ割り当てが最適化され効率が向上
M3 Proの特徴・新機能まとめ
搭載デバイス
- 14インチMacBook Pro(2023年モデル)
- 16インチMacBook Pro(2023年モデル)
発表日
Appleは2023年10月30日の「Scary Fast」イベントでM3、M3 Pro、M3 Maxチップを同時発表した。これはAppleシリコンの歴史で初めて、標準・Pro・Maxの3種類のチップを同時に発表した画期的な出来事だった。2025年3月現在、これらのチップは依然としてAppleの最新ノートブックラインナップの中核を担っている。
チップの仕様・構成
- CPU: 11コア(5パフォーマンスコア+6効率コア)または12コア(6パフォーマンスコア+6効率コア)
- GPU: 14コアまたは18コア
- トランジスタ数: 37億個
- 統合メモリ: 18GBまたは36GB
- 製造プロセス: TSMCの3nmプロセス技術(N3B)
- Neural Engine: M1ファミリーと比較して最大60%高速化され、AI/ML処理を効率化
- メディアエンジン: H.264、HEVC、ProRes、ProRes RAWに加え、初めてAV1デコードをサポートし、ストリーミング視聴時のバッテリー効率を向上
- 最大クロック周波数: 全コア負荷時約2.748GHz
旧チップからの進化・比較
- M1 Proと比較してCPU性能が最大30%向上(シングルスレッド)
- M1 Proと比較してGPU性能が最大40%向上
- M2 Proと比較してGPU性能が約10%向上し、特に3D描画やビデオ編集で体感できる差を実現
- M2 Pro(8パフォーマンスコア+4効率コア)と比較して、M3 Pro(6パフォーマンスコア+6効率コア)はパフォーマンスコアが減少し効率コアが増加したことで、バッテリー効率が大幅に向上
- 新しいダイナミックキャッシング技術により、GPUのメモリ割り当てが効率化され、リアルタイムでの処理能力が向上
- Neural Engineの強化により、Apple Intelligence機能のオンデバイス処理が高速化
チップを搭載しているデバイス
- 14インチMacBook Pro(2023年後期モデル): M3、M3 Pro、M3 Maxから選択可能
- 16インチMacBook Pro(2023年後期モデル): M3 ProとM3 Maxから選択可能
ベンチマークスコア
- Cinebench 2024: シングルコア約138、マルチコア約617を記録
- Geekbench: シングルコアパフォーマンスはM2 Proより約15%向上
- マルチコアパフォーマンスはM2 Proとほぼ同等だが、効率性が大幅に向上
- 実際のワークフローでは、Adobe Photoshopでの巨大なパノラマ写真の処理速度が大幅に向上
- ブラウザベースのパフォーマンステスト(JetStream、Basemark、WebXPRT)でもM2世代から着実な性能向上を示している
- HandBrakeでのビデオトランスコード処理はM2搭載MacBookと比較して約1分15秒高速化
実際の使用感と長期評価
- 発売から1年以上経過した2025年3月現在も、多くのプロフェッショナルワークフローに十分な性能を提供
- 効率コアの割合が増えたことで、バッテリー駆動時間が向上し、16インチモデルでは最大22時間の駆動を実現
- プラグを抜いた状態でも同等のパフォーマンスを発揮するため、外出先での作業も快適
- Apple Intelligenceの機能を活用することで、コンテキストに応じた支援機能により生産性が向上
その他
- M3 ProはM3とM3 Maxの中間に位置づけられるチップだが、M2世代と比較すると、M3 ProとM3 Maxの性能差が拡大している
- Space Blackカラーオプションが追加され、より深みのある黒色を実現したデザイン
- Liquid Retina XDRディスプレイはSDRコンテンツで最大600ニト、HDRコンテンツで最大1600ニト(ピーク時)の明るさを実現
- 外部ディスプレイ接続は最大2台まで対応(M3 Maxは最大4台)
- プロフェッショナル向けの機能を「民主化」し、クリエイティブワークフローをより多くのユーザーに提供するというAppleの方針を体現
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