「時の支配者」と呼ばれる男性の仕事とは？

世の中の時計、特にコンピューターに内蔵されているようなデジタル時計が大きく狂うことなく時間を刻んでいるのは、その「時間」を守っている人がいるおかげ。それが「時の支配者」こと、ジューダ・レヴァインさんです。

Just Call Him the 'Time Lord' - YouTube

このムービーのタイトルは「THE KEEPER OF THE CLOCKS」(時計の番人)。

時計はあまりにも「生真面目」すぎる、と語るのはNIST(アメリカ国立標準技術研究所)のフェローであるジューダ・レヴァインさん。

レヴァインさんの通称は「タイムロード(時の支配者)」。これはSFドラマ「ドクター・フー」に登場する異星人種族の名称で、ドラマの主人公であるドクターもタイムロードの1人。彼らはタイムマシンを作り出した種族であることから「タイムロード(時の支配者)」と呼ばれています。

これを受けて、インタビュアーは「ターディスをご存じですか？」と質問。ターディスとは、タイムロードが持つ次元超越時空移動装置……つまりタイムマシンのこと。レヴァインさんは「持っているのはドクターだけですよ」と笑いました。

しかし、「時の支配者」と呼ばれるだけのことはあって、レヴァインさんが行っているのは「時間を守る」ということ。

コロラド州ボルダーにあるNISTの研究所。

ここでは原子時計を運用し、「標準時間」を定めています。

かつては「日の出」「日の入り」のようにおおまかな時間が分かればOKという時代もありましたが……

今は原子時計が安定して“正確”な時間を刻んでいます。高精度なものだと、その誤差は「1億年に1秒」。

45年前、この原子時計の仕組みをNISTのチームが制作。レヴァインさんもその中の1人でした。

原子時計から送られる「正確な時間」はスマートフォンや電力網、金融市場などを支えています。

レヴァインさんは毎日、この「正確な時間」が刻まれているかどうかを確認し、細かい調整を行っています。

保管庫の中にも原子時計。

もしもこの原子時計が止まると、世界中のスマートフォンを支えるシステムやインターネットが使えなくなるので、どんな酷いことになるかは想像するのも恐ろしいレベル。

実際のところ、原子時計はボルダーの研究所にあるものを含めて世界中に400台以上あり、その平均で時間を定めているので、1台だけが故障しても大きな問題にはならないそうです。