YouTubeがFlashではなくHTML5でのムービー再生を初期設定にすることを発表
By José Tomás Albornoz
YouTube上でムービーを再生する場合、ユーザーの視聴環境に適したプレーヤーが自動で選択されるようになっており、これまではユーザーがFlashに対応している場合はFlashプレーヤーが優先される仕様になっていました。しかし、これからはFlashではなくHTML5でのムービー再生が初期設定で実行されることをYouTubeが発表しています。
YouTube Engineering and Developers Blog: YouTube now defaults to HTML5
http://youtube-eng.blogspot.jp/2015/01/youtube-now-defaults-to-html5_27.html
YouTubeがHTML5でのムービー再生をサポートし始めたのは2010年からで、当時はFlashの方がHTML5でのムービー再生よりもユーザー側から支持されていたとのこと。これは、ムービーをストリーミング再生する際に視聴者側の通信環境に応じて自動でコンテンツのサイズを変更する「ABR(アダプティブビットレート)」にHTML5が対応していなかった、という点が大きかったそうです。
しかし、YouTubeはウェブブラウザの開発元やその他のさまざまな企業との調整を繰り返し、ついにChrome・Internet Explorer 11・Safari 8・Firefoxのベータ版といった主要ブラウザ上でYouTubeのムービーを再生する際に、HTML5でのムービー再生がデフォルトで行われるようになったことを明かしています。
By Thomas van de Weerd
そんなHTML5のキー・テクノロジーとなっているのは以下のような技術。
◆Media Source Extensions
「Media Source Extensions」はHTTPダウンロードを利用してムービーのストリーミング再生を行うために作られた、HTML5用のJavaScript APIです。W3Cによって標準化もされているこの技術は、XboxやPS4といったゲーム機やChromecast、ウェブブラウザなどでのストリーミング再生を可能にするためのテクノロジーです。
◆VP9
「VP9」はGoogleが開発しているオープンでロイヤリティフリーな動画圧縮コーデックです。HTML5はこのVP9を利用することで、高解像度のムービーを平均帯域幅で35%も削減できるようになりました。これにより、高解像度のムービーがより簡単に再生できるようになり、4Kムービーや60fpsのムービーなどがより手軽に楽しめるようになります。また、ムービーの再生が始まるまでのスピードは従来比で15~80%も速くなるようです。
◆Encrypted Media ExtensionsとCommon Encryption (CENC) — Unified Streaming
FlashやSilverlightはコンテンツ保護技術のAccessやPlayReadyなどと深く統合されており、ファイルフォーマットまで細かく指定され、ムービーを再生するには専用のプラグインが必要になっていました。
これに対して「Encrypted Media Extensions」はデジタル著作権管理(DRM)で保護されたコンテンツをウェブサイト上でプラグインなしで再生できるようになるというもので、「Common Encryption」は暗号化方式とDRMメタデータの持ち方を共通化させるための標準です。これらを組み合わせることで、さまざまなコンテンツ保護技術を駆使しながらも、HTML5を使用して手軽にムービー再生が行えるようになるそうです。
◆WebRTC
「WebRTC」はリアルタイムコミュニケーション用のAPI定義。これは、特定のプラグインなしでウェブブラウザからGoogleハングアウトのようなビデオ通話が行えるようにしてくれる技術。
◆Fullscreen
新しいフルスクリーンAPIをHTML5で使用することで、YouTube上で再生した4Kムービーをフルスクリーンで視聴することができるようになります。
なお、YouTubeではHTML5でのムービー再生が初期設定になるので、objectタグやFlash APIを使ったFlashムービーの埋め込みではなく、iframeを使ったムービーの埋め込みを推奨しています。
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