平衡感覚や遠近感を揺さぶる、傾斜だらけの心のテーマパーク「養老天命反転地」に行ってきた
天井から壁が生えていたり、壁に家具が埋まっていたりするパビリオンや迷路と傾斜で構築されたテーマパーク「養老天命反転地」に行ってきました。
ここは美術家の荒川修作とマドリン・ギンズによって岐阜に作られた広大なアート空間で、平衡感覚や遠近感を揺さぶって子どもの状態に戻し知覚を再構成するように計算されているとのことで、実際どのようなものなのかご紹介します。
詳細は以下から。
養老公園の中にある養老天命反転地。
出入り口前の看板。
チケット売り場。構造上ケガをしやすいので、ここでヘルメットや運動靴の貸し出しも行われています。
入ってすぐにあるミュージアムショップ。チケット売り場とつながっている建物です。
中はこんな感じ。基本的に道には傾斜がついています。
「養老天命反転地記念館-養老天命反転地オフィス」。
名前には記念館とついていますが、単に資料などを置いている所ではありません。
中は迷路のようになっています。
床が傾斜していて、しっかり立って歩かないと危険な構造。
ガラスの向こうに消火器。出口がどのあたりにあるのか分かりにくいので、案内も置かれています。
岩がゴロゴロと置かれている「昆虫山脈」。登ることができますが注意が必要。
頂点にはくみ上げポンプ。水を求めて登る人の姿を昆虫になぞらえているそうです。
「不死門」。
鳥居はもともと2本の竹から始まったものらしく、門としての意味を持たせる竹が生えています。
養老天命反転地の文字が彫られた床。
猫やウサギといった動物も配置されています。
「極限で似るものの家」。チケット売り場でもらえる案内パンフレットや公式サイトでは「中に入ってバランスを失うような気がしたら、自分の名前を叫んでみること。他の人の名前でもよい」などといった各パビリオンの「使用法」が書かれています。
下からはよく見ることは出来ませんが、屋根は岐阜県の形をしているそうです。
「家」というだけあって迷路のような内部には家具が配置されています。
あらゆるものの配置がすごいことになっています。
壁に埋まっている風呂おけ。
まともに通れない通路も。子どもはスルスルと通り抜けていきます。
地面に岐阜っぽい地図が。しかし「消えない道」などよく分からない情報も書き込まれています。
極限で似るものの家を歩いてみたムービー。ちなみに使用法通りに名前を叫んだりしている人はいませんでした。
YouTube - 養老天命反転地にある「極限で似るものの家」
「精緻の棟」。
坂の上には登らないよう注意書きがあります。
入り口が分からなかったので、壁の下をくぐって中に。
養老天命反転地のパビリオンは「極限で似るものの家」を分割した内部構造になっているそうで、精緻の棟の中も似たような雰囲気となっています。
「楕円形のフィールド」。巨大なすり鉢状になっていて様々なパビリオンが置かれています。
急角度の傾斜が多く、実際にケガする人もいるので監視員の姿も。
日本庭園などでは借景と呼ばれる庭園外の山などを取り込んだ見せ方をする技法がありますが、ここでは背景の山が遠近感を狂わせる一因となっています。
楕円形のフィールドはかなりの広さと高低差があります。
フィールドを見渡したムービー。
YouTube - 養老天命反転地にある「楕円のフィールド」
上記のムービーでズームした所に人の姿が見えますが、そこまでは1人通るのがやっというぐらい細い幅の道を歩いて行きます。
ここが終点。行き止まりになっているので、来た道をそのまま戻らないと帰れません。細い道なので、すれ違うときはみんな頑張って体を壁に寄せます。
終点から見た風景。傾斜具合がよく分かります。
高さがあるため降りることは出来ませんが、終点の先はこんな感じになっています。
終点の先に見えたところまでグルッと回りこんで行って、見上げるとこんな感じ。
終点の先に見えた部分をさらに乗り越えて先に進んだ所から撮影した写真。右上のあたりに見えているのが終点部分。
「白昼の混乱地帯」。使用法は「常に、ひとであるより肉体であるよう努めること」。
「切り閉じの間」。使用法は「夢遊病者のように両腕を前へ突き出し、ゆっくりと歩くこと」。中は迷路のようになっているのですが、真っ暗なので手で壁を探って進まなければなりません。
中には一部光が差している所があり、見上げると日本地図が見えます。
「運動路」。「楕円形のフィールド」の壁には、扉のような穴が空いている所もあります。
壁の外から中を見るとシュルレアリスムを思わせるちょっと不思議な光景になっています。
壁の外には、別の壁の穴につながる道があります。
「想像のへそ」。使用法は「後ろ向きに歩くこと」。当然後ろ向きに歩くと危険です。
内部は「極限で似るものの家」と同じ感じですが傾斜が激しく、転びやすくなっています。
「陥入膜の径」。「想像のへそ」とにたような構造で、使用法は「目を閉じること」ですが、実際に目を閉じて移動しようとするとかなり危険です。
「宿命の家」。壁が低いので休憩場のような感じになっていました。
「もののあわれ変容器」。
ここはほかのパビリオンと違って白黒なので雰囲気がちょっと違う感じです。
瓦が甲羅のように敷き詰められた場所。パビリオンとしての名前は付いていません。
「地霊」。使用法は「地図上の約束を忘れること」。
「切り閉じの間」ほどではありませんが中は暗い迷路で、明かりのある場所は見上げると日本地図があります。
「地霊」の上に登ってみると日本地図はこのようになっています。
施設内は全体的に傾斜ばかりでバランスを崩すため、普通のアスレチックなどより注意しないといけないレベルとなっていました。平坦な道に慣れた体には刺激的で、子どもはもちろん大人でも普段との知覚のギャップや体を動かす楽しみが持てるようにできています。狭いところも多いので、大きな荷物などは入り口にあるロッカーで保管した方が、このアート空間の体験には向いています。
養老天命反転地の場所はここ。入場料金は一般710円、高校生510円、小・中学生300円となっています。遊びに行く人は動きやすい服装で、ケガには注意するようにしてください。
養老天命反転地の「極限で似るものの家」は人が住むことはできない家ですが、三鷹市には荒川修作とマドリン・ギンズによる「三鷹天命反転住宅」があり、入居者を募集しています。1週間から泊まれるショートステイプログラムもあるので、不思議な空間で暮らしてみたい人は行ってみてください。
養老天命反転地
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