理系の定番ツール「LaTeX」がクラウドで!?
みなさんは「Cloud LaTeX(クラウド・ラテフ https://cloudlatex.io/)」というWEBサービスをご存じでしょうか?
ブラウザ上で文書を作成できるサービス、と言ってしまうとよくあるツールのように聞こえますが、理系にとってはおなじみの「LaTeX」を簡単に使えるようにしてくれるすごいサービスなのです。
「LaTeX(ラテック or ラテフなどと読みます)」とは、理系分野の論文執筆などによく使われている組版システムです。これは非常に高機能なシステムで、高品質な文書を作成できることが知られており、ブルーバックスにもLaTeXで組版されている本が何冊もあります。
LaTeXは何がすごいのか? 特長のひとつは数式の表現が得意だということです。レポートを書いていて、数式が入力できず困った、他の部分と大きさが微妙にずれてかっこ悪い、フォントが変、といった経験はないでしょうか? LaTeXを使えば、これらの問題の多くはすぐに解決できるはずです。
しかしLaTeXは、まずインストールするのが大変で、初心者には使うのが難しいという声もよく聞きます。
そんなハードルを打ち破る画期的なサービスが株式会社アカリクの運営している「Cloud LaTeX」です。クラウド環境でLaTeXを実行、リアルタイムでプレビューを表示、出力をPDFとして得るところまでできてしまいます。
こんなすごいツールが誰でも使えるのにはなにか裏があるのでは……。そんな気持ちを抱いた編集部は株式会社アカリクの畠野拓人さんにお話を伺ってみました。
Cloud LaTeXが始まったきっかけは
そもそも、このようなサービスを運営しているのはなぜなのか? この疑問をさっそく聞いてみました。
「もともと、Cloud LaTeX のサービスは、弊社が開催した学生アプリコンテストに提出された作品でした。コンテストで優勝した作品を、その後、弊社が一般向けのサービスとして運営することになり現在まで続いているものになります」(アカリク畠野さん、以下同)
アカリクと言えば、大学院生・ポスドクの就職情報をWebサイトであるアカリクWebや各種イベントで支援しているというイメージがありますが……
「弊社は『知恵の流通の最適化』を企業理念としています。キャリア支援の事業はそれを達成するひとつのソリューションですが、もっと直接的に大学院生や研究者を支援できることとして「Cloud LaTeX」のサービスを続けています」
「キャリア支援事業」と「Cloud LaTeX」を結びつけているもの。それは、「知恵の流通の最適化」という理念だったのです。
2013年にサービスが始まった「Cloud LaTeX」は、年々利用者を増やしており2020年8月の時点で、累計登録者数は4万6000人以上、コンパイル数は累計4100万回に達しているそうです。
また、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、大学に集まって授業を行うことができない状況が続きました。これによって「Cloud LaTeX」を使う人が急増しているといいます。
「大学の講義で初めてLaTeXを使う場合に、自分のパソコンにインストールしてもらうのは、それなりに大変な作業なんです。普通の講義でもそこには時間がかかりますが、それをリモートで教えることになったら、先生も学生も労力が何倍も必要になります」
それに対して、Cloud LaTeXを使えば、いきなりレポートを書き始められるわけですから、これは便利です。さらに、全員が同じ環境で進められるということも大きなメリットです。