きれいなおねえさんは、好きですか。
「きれいなおねえさんは、好きですか。」
こんな刺激的なキャッチコピーの広告をご記憶だろうか。いまから26年前の1992年に女優の水野真紀(初代イメージキャラクター)を起用し、2008年まで16年も続いた松下電工(当時/現パナソニック)の広告だ。
この広告は認知率が9割を超え、パナソニックの美容家電を世に知らしめるうえで、きわめて大きな役割を果たした。
パナソニックはその後も、美容家電のブランドコンセプトを巧みに変遷させながら、商品を丁寧に売ってきた。
たとえば2008年からは、「美しいをつくる、テクノロジー。」として、商品が最新技術や新機能を盛り込んでいることをアピールし、化粧品と美容家電を技術で差別化した。
それが2010年からは「忙しいひとを、美しいひとへ。」と変わり、自宅にいながら本格エステの気分を味わえる、効率美容を前面に打ち出した。現在のイメージキャラクターには、モデルで女優の水原希子を起用、このコンセプトはいまも続いている。
こうしたコンセプトの変遷にともなって、新商品も相次いで投入してきた。
1992年当時、「きれいなおねえさん」の商品は、ヘアドライヤーや脱毛器、スチーマー(美顔器)など10機種にも満たなかったが、現在では「Panasonic Beauty」の統一ブランドの下で、29機種まで増えている。
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とはいえ、美容家電市場は、7兆円を超える国内家電の小売市場に対して、1201億円(富士経済調べ/2018年見込み)しかない。美容家電で代表的なヘアドライヤーの市場は217億円(同)、肌の保湿などに使われる美顔器市場は109億円(同)である。たいへんニッチな市場だ。
そんな小さな市場に、巨艦・パナソニックは、なぜこだわるのか。
「美容家電に明確な定義はありませんが、パナソニックでは、スキンケア、ヘアケア、ボディケアができる商品と位置づけています。ユーザーは、ほぼ女性です。また、美容家電は必需品ではなく、『必欲品』ととらえています。
ドライヤーを除くと限界普及率は約24%と考えます。たとえば、スチーマーの普及率は7%程度なので、まだ伸びる余地があります」(パナソニック・スモールアプライアンス商品部ビューティーヘルスケア商品課課長・神本暁氏)