太陽光発電は原発の代わりになるの?
7月3日付のこの欄で、ドイツの脱原発計画が、かなり混乱している話を書いた。(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44017)
太陽光発電が増えれば原発も火力も要らなくなると思っている人は、ドイツにも日本にもたくさんいるが、それは大間違い。実情は、一歩先を行っているドイツを見れば、よくわかる。太陽光と風力が爆発的に伸びた結果、火力が増えてしまった。さらに、これからは原発も止めていかなければならないので、今、新たな火力発電所を10基以上も建設している。
脱原発して、その分を再エネで代替するというのは、口で言うほど簡単ではない。やる気だけで解決できない難問が世の中にはたくさんあるのだ。
7月10日、アゴラの子供版に、「太陽光発電は原発の代わりになるの?」(http://agora-web.jp/archives/1647924.html)という池田信夫氏の文章が載った。もちろん、代わりにはならないのだが、その理由は子供にもわかるほど簡単だ。なのに、わからない大人が大勢いるのは、聞く耳を持たないからだろう。
氏によれば、同日の日経新聞に「金融会社のオリックスのエネルギー事業では、太陽光発電の発電能力が3年後に原子力発電所1基分に相当する90万キロワットとなる」という記事が載り、これでは、あたかも原発が1基、めでたくメガソーラーと入れ替われるように聞こえるという。しかし、実際にはメガソーラーは、夜はもちろん、雨の日も曇りの日も発電が全くできないか、あるいは少なくなるので、稼働率は12%ぐらいだ。
だから、原発の稼働率をかなり少なく見積もって70%として、このメガソーラーと単純に比べてみると、メガソーラーの方は原発の17%しか発電できない。池田氏の文章は子供向けの啓蒙記事だから、とてもわかりやすい。ちなみに、もし、本当に原発1基分の電気を太陽光発電で賄おうとすれば、山手線の内側とほぼ同じだけの面積(58万㎢)が必要になる。
このメガソーラーがすでにたくさんできてしまったのが、ドイツだ。しかも、ドイツは日本ほど太陽が出ないので、稼働率は9.5%(13年)、10.5%(14年)と、さらに低い。