石破が不快感を示すほどに、財務省が消費増税実施に自信を持つのも無理はなかった。
景気指標はかなり良くなっているのに加え、8月下旬、消費増税について有識者60人から意見を聴いた「集中点検会合」では約7割の人たちが予定通りの引き上げに賛成した。
消費増税を実施しないなら、見直し法案を秋の臨時国会に提出しなければならないのに、官邸から指示はなく、臨時国会の早期召集を目指す動きもない。
安倍の信任が厚い内閣参与の浜田宏一、本田悦朗が14年から1%ずつ5年間上げていく方法などを唱えた。
それでも、2016年に衆院選、参院選が行われる見通しという政治日程を考えれば、国政選挙が行われる年にも消費税を上げ続けなければならず、政治的にはあり得ない。
財務省の読みは正しかった。しかし---。
その読みは正しかった。
しかし、5兆円規模の景気対策の内容を詰める作業を始めると、状況は暗転した。
公共事業でお茶を濁そうとする財務省案に対し、安倍や菅は経産省が提示した復興特別法人税の1年前倒し廃止案やその後の法人減税に乗ってしまった。
公共事業なら1年限りで終わるが、法人減税に手をつけると先々まで税収減を招くことになる。
それを案じた財務省は自民党税制調査会や公明党税制調査会の幹部に
(1)復興法人税を前倒し廃止しても、給与アップにつながる保証はない
(2)復興所得税がそのままでは不公平感を生み、企業優遇という批判を受ける
などと説明した。