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あの市民団体も登場
同日中にこのやり取りを聞いた「京都POSSE」のメンバーは、女性と一緒に同市に抗議。申請書を渡すように要求した。しかし市役所の態度は頑なで「(申請は)受け付けない。お断りする」の一点張り。
その後、同団体は京都府に一連のやり取りを報告し、善処するよう訴えた。さすがにこれはマズいとなったのか、府は舞鶴市に対して保護業務の改善指令を出し、ようやく女性の申請も受理されるに至った。
この女性に同行した同団体の川久保尭弘代表はいまでも憤りを隠さない。
「女性はすでに所持金が600円しかなかった。子どももいるわけですし、本来ならば緊急保護[注5]の案件ですよ。しかし河本騒動まで"利用"して、舞鶴市は水際で阻止しようとした。人間の命をなんと思っているのか」
ちなみに京都府においては今年3月、宇治市役所職員が、生活保護を申請した母子世帯の女性に対して、異性との生活を禁止したり、妊娠・出産した場合は生活保護に頼らないことを誓わせたりする旨の誓約書に署名させていた事実も発覚している。
「おそらく我々の知らないところで多くの申請拒否が起きているに違いない」(川久保代表)
こうした行政の過敏に過ぎる対応を引き出しているのは、いうまでもなく、先に記したような「世間の声」であろう。
エキセントリックとしか形容のしようがない反応を見せる人たちもいる。本誌において私が一昨年から追い続けてきた「在特会」(在日特権を許さない市民の会)をはじめとするネット右翼だ。
6月3日、吉本興業東京本社(新宿区)の前において、在特会などによる「生活保護不正受給を許さない・吉本興業糾弾街宣」がおこなわれた。「国民最後のセーフティネットを護るために不正の温床である吉本興業を許さない」といったスローガンのもと、集まったのは若年層の男女を中心とする数十人。
参加者はそれぞれ日章旗を掲げながら「売国奴!」「河本出てこい!」「吉本芸人を養うナマポ(生保を言い換えたネット用語)はねえぞ」「恥を知れ!」などと社屋に向かって絶叫。抗議文を同社に手渡した。
参加者はさらに吉本の劇場がある新宿駅南口へ移動し、ここでもやはり「吉本をぶっ潰せ」「叩き出せ」などとシュプレヒコールを繰り返した。この際、たまたま通りかかった老人が「うるさい」と抗議すると、参加者はその老人にわっと詰め寄り、よってたかって殴る蹴るの集団暴行をおこなうといった一幕もあった。
この件に関して、在特会若手メンバーの一人は、私に次のように話している。
「我々の血税が無駄に使われていることに腹が立つんです。河本は在日(コリアン)[注6]だという噂もあるから、ますます許せないんですよ」
彼の意識の中には、彼の何十倍もの税金を納めているであろう"納税者としての河本"といった視点は存在しない。とにかく「税金が無駄に使われた」という思いが、排他的でナショナルな気分も相まって、自制の利かない怒りを沸騰させているのだ。
おそらくは"河本叩き"に加わる多くの人々が共有するのも、こうした感情ではなかろうか。
私個人の意見としても「高収入を得ているなら親の面倒くらい見てやれよ」という気持ちがまったくないわけじゃない。だがこれはあくまでも一般的なモラルの問題である。制度上[注7]は不正でもなんでもない。
こうした生活保護バッシングの波に押される形で政治も動いた。厚生労働省は不正受給に対する厳罰化、親族の扶養義務強化などの方針を矢継ぎ早に打ち出した。8月17日に政府が閣議決定した来年度予算の概算要求基準でも、生活保護費の見直し、圧縮の方針が盛り込まれた。
生活保護を見直せ---「河本騒動」を端緒に湧き上がった怨嗟の声に、政府は珍しく迅速に対応したのだ。数万人規模の反原発デモが何度繰り返されようとも「大きな音ですな」としか反応しなかった、あの野田内閣[注8]が、である。
「ジャンヌ」片山の主張
騒動は、思わぬ「時の人」をも産み落とした。ネット上で「ジャンヌ・ダルク」とまで賞賛されるようになったのが、自民党の片山さつき参院議員である。
当初は匿名で報道されていた「お笑い芸人」が河本であることをツイッターで明かし、「怠け者がトクするような社会を見直せ」と、「生保改革」の旗を振り続けているのが彼女だ。いまや「ナマポ追及の急先鋒」である。
7月30日。新宿区内で、この片山議員を囲むトークイベント「片山さつきと語り合う! 『生活保護問題』」が開催された。参加者は"片山ファン"を中心に約50人。私は本誌編集者とともに出席し、会場の最前列に陣取った。
なお、当初このイベントは「生活保護・あなたの隣にもいる"河本"!?」なるタイトルが付けられていた。生活保護そのものを否定的イメージで捉えるかのようなタイトルに、私は強い違和感を覚えた。なによりもダシにつかわれる河本が哀れにも感じた。これじゃまるでバケモノだ。
同種の意見は少なくなかったのであろう。主催者である企画会社の担当者は、イベントの冒頭で「多くの批判が寄せられたのでタイトルを変更した」と参加者に告げた。
片山議員はこの日も饒舌だった。生活保護見直しを滔々と訴える。
「私は生活保護の不公平感を正したいわけです。正直者がバカを見るような世の中であってはいけない。そんな大勢の方からの声が私のもとには届いています。一部には私が河本さんの個人批判をすることで制度改正に利用しているといった声もあるようですが、それは違う。税と社会保障の一体改革を進めていくうえで、この問題を捨て置くわけにはいきません」
地方議員を通して不正受給の情報も入手しているのだと、密告された事例が記されたと思われるペーパーをひらひらと目の前で掲げてみせる一幕もあった。
会場からは賛同意見が相次いだ。
「(生活保護を)ズルしてもらっている人はたくさんいるはず。そのことを批判するきっかけを片山先生がつくってくれた。感謝しています」(OL)
「先生の主張に大賛成。簡単に生活保護がもらえてしまう仕組みがおかしい。だいたい河本だって在日なんでしょう? 制度の歪みを感じる」(男性会社員)
彼女を支持する"場の雰囲気"を壊してしまうようで、やや躊躇を感じないでもなかったが、私は片山議員を真正面に見る席から質問した。
---片山さんの"河本攻撃"が、結果的に受給者バッシングにつながっているような気がする。たとえば大津のいじめ事件の加害者の家族がネットで勤務先や実名をさらされたりするような動きと、私の中ではシンクロするのです。その点、片山さんはどう思いますか?
片山議員はなにひとつ表情を変えることなく、次のように答えた。
「加害者よりも被害者の権利が貶められてきたこの国において、一罰百戒は歓迎すべきこと。生保の不正受給にしても、これまで色々と問題があったにもかかわらず、取り上げようとすると反貧困ネットワークのようなところによって潰されてきたんです」
なによりも生保制度の改革[注9]こそが急務なのだと強調する。その重要性に比べれば、生保バッシングなど取るに足らないということなのだろう。一点突破・全面展開の、まさにジャンヌ・ダルクのようなパワーを私は彼女に感じた。
「生活保護は恥」という思想
続いて本誌編集者が「片山さんがある種の理念を持っていることは理解できる」としたうえで次のように質問した。
---片山さんの話を聞いていると、生活保護を受けることが、「いけないこと」のようにも感じてしまうのですが・・・。
これにも片山議員は、自信たっぷりに応じた。
「生活保護というのは日本の文化からすれば恥です。人様の税金で生活しようとするのですからね。それがいいことなんだと、権利を謳歌しようなどと国民が思ったら、国は成り立たなくなる」
生活保護が恥---その言葉に思わず「はあ・・・」と溜め息を漏らした私は、会場でも圧倒的に少数派であったはずだ。片山議員が「国は成り立たなくなる」と言い終えた瞬間、待ってましたとばかりに会場からは一斉に力強い拍手が沸いた。
おそらく、これが生活保護をめぐる世の中の"空気"なのだと思う。頭の良い彼女はそのことを十分に理解しながら言葉を発しているはずだ。
実は、私が片山議員と向き合って話したのは、このときが2度目である。
その1ヵ月前にも、私は同議員と『週刊朝日』(7月20日号)の企画で、やはり生活保護を題材に対談を行っている。
その際には「恥」といった言葉こそ出なかったものの、生活保護に対する彼女の物言いがあまりにも紋切り型であることに私は脱力した。
〈(河本問題は)日本のモラルはここまでダメになったのかという衝撃ですよ〉
〈大阪の西成で、65人の居住者のうち64人が受給者だというマンションを見てきましたが、一部屋が4畳半か6畳一間とかだよ。私が1982年に大蔵省に入省したときの寮なんて、それより狭かった〉
〈本当に生活に困窮して三食食べられない人がどれほどいると思う? ホームレスが糖尿病になる国ですよ。ホームレスの血糖値を測ったら高かった、というのは有名な話でしょ〉
〈生活保護をもらって毎日、ゲートボールをしてる人はいるんですよ〉
また、記事には掲載されていないが、彼女は対談の中で「アクセサリーを身につけて生活保護の申請にくる女性もいる」「スマホを持つ受給者もいる。私なんかまだ旧型の携帯電話なのに」と眉をひそめた。
実にわかりやすい。だが、何ら具体的なデータを示すことなく受給者の「モラル」ばかりを言い立てるのは、単なる感情論に等しい。これらの言葉から、片山議員が思い浮かべる生活保護受給者のイメージが伝わってくる。
ラクして儲ける日本の恥。まさに、それだ。
そして―何度でも記す。日本の「気分」は、大筋においてそこに同調している。
「ナマポのくせに」
こうしたなか、困惑の表情を隠すことができないでいるのは当の受給者である。
「あなたはナマポでラクできるからいいね、と友人に言われたんです」
そう話すのは都内在住の40代女性。シングルマザーである。うつ病も抱えて就労困難なため、昨年から生活保護を受給している。
「それまで就労できない私を励ましてくれていた友人も、一連の騒動以降、嫌味を言ってくるようになったことが辛い。月に一度、子どもと回転ずしに出かけるときも、どこかおどおどしてしまうんです。ナマポのくせに寿司など食べていいのかと言われそうで」
やはり精神的な疾患を抱え、生活保護を受給している大阪市内のシングルマザーも、周囲の厳しい視線に耐えられないとこぼす。
「友人と喫茶店に入った際、タバコを吸ったんです。すると友人が『生活保護のくせにタバコなんて吸うんだ』と呆れたように話すんです。ものすごく肩身の狭い思いをしました。私、タバコは1日に5本と決めているのに。もうお酒も飲みに行くことはできないなあと思いました」
そうした周囲からの無遠慮な批判にさらされているうちに彼女は生きていくことすら嫌になり、市販の睡眠薬を大量に飲み込んで自殺まではかっている。
彼女はネット[注10]を見るのも嫌になったという。
「(受給者は)甘えているだけ」「クズ」「怠け者」そんな文言がネット掲示板にはあふれている。
8月3日、生活保護の申請・受給の相談に乗っている市民団体「全大阪生活と健康を守る会連合会」(大生連)と大阪府との間で、保護行政のありかたをめぐる集団交渉が行われた。会場となった府庁舎2階の会議室には大生連スタッフをはじめ、100人を超える生活保護受給者も集まった。
会場からは「肩身の狭さ」を訴える声が相次いだ。
「生活保護バッシングの報道を見るたび、身を切られる思いがする」「不正しているのではないかという周囲の視線が怖い」「近所に配慮してエアコンさえつけることができない」。
大生連の大口耕吉郎事務局長は顔を歪めながら話す。
「いったいなぜ、受給者がここまで追い込まれないといけないのか。世間の冷たい視線によって、いま、多くの受給者はますます孤立を深めていますよ」
不正許すまじの大合唱は止まらない。
それにしても、生活保護は「不正受給」によって本当に危機的状況にあるのか。取材を進めてみると意外な事実が見えてきた。
受給者急増の背景
生活保護の受給者数が増え続けているのは事実だ。厚生労働省のまとめによると、全国で生活保護を受けている人は昨年度、月平均で210万人を突破した。生活保護費の総額は2010年度で約3兆3000億円にものぼる。統計が開始された1951年度以来、過去最高の数字だ。
ちなみに同年度の受給者数は約204万人と記録されている。受給者数だけを見れば、戦後混乱期を上回るものだ。もっとも受給者数が少なかったのは1995年度。受給者数は約88万人である。
その後、バブル崩壊の影響などを受けて上昇に転じ、特に09年度以降における伸びが著しい。同年度の受給者数は前年比10パーセント増の約176万人。以降、現在までの間に30万人ほどの増加を見せている。これはリーマンショックの影響でリストラ、派遣切りが相次ぎ、失業者が急増したことが背景にある。
「09年、厚生労働省から『職や住まいを失った方々への支援の徹底について』と題された通達があったんです。これが流れを変えました」
受給者急増の流れを解説するのは、前出・都内勤務の40代のケースワーカーだ。
「もともと生保受給者の多くは高齢者、障害者、母子世帯で占められていました。ところがリーマンショックによって、職と住居の両方を一度に失ってしまう人が増えたことで、多くの若年層を含む生活困窮者が生まれてしまったのです」
首切りに遭った派遣労働者の多くは、派遣会社が用意したワンルームマンションなどの寮で生活していた。つまり、派遣切りとは住居を失うことをも意味していたのである。
「これによってホームレスなどが爆発的に増えてしまえば深刻な社会問題になりかねない。そこで厚労省は"職や住まいを失った方々への支援"、つまり、そうした方々への生活保護適用を認めるよう、通達を出したわけです」(同)
それまで、いわゆる「稼働世代」(働ける能力のある世代)が生活保護を受給するのは非常に厳しかった。「まだ若いのだから」と申請すら受け付けてもらえないケース、あるいは住居がなければ受け付けてもらえないといった事例も多かった。
生活保護法では、たとえ住居がなくとも申請用件を満たせば生活保護の受給は認められる。だが、それまで多くの自治体では「ホームレスは受給できない」「まずは家を確保してから申請に来るように」といった対応をしていたのである。厚労省の通達は、法に則った対応を厳格に求めるものでもあった。
この措置によって派遣切りなどに遭った「稼働世帯」(行政用語では、障害、高齢、母子以外の世帯という意味で、「その他世帯」と呼ばれている)の受給者が増えたのである。
そして、この現象が「怠け者が生保を受給している」といった世間の見方に結び付いている。
データが語る真実
受給者の急増、そして国家予算への圧迫。少なくともこれだけで判断すれば、「大問題」という認識を否定するわけにはいかない。
だが、これを果たして「日本文化の恥」であるなどと片づけてよいものなのか---。
「もう、誤解だらけですよね。生保バッシングには何か意図的なものを感じるんですよ」
うんざりした表情で話すのは、生活保護に詳しい小久保哲郎弁護士(大阪市)だ。生活保護問題対策全国会議の事務局長を務めている。日常的に受給者の相談に乗っていることから、昨今は世間の風当たりも強い。なぜ怠け者を助けるのか、といった事務所への"苦情電話"も少なくないという。
「自分はこんなにも生活が苦しいのに、一方では生保でラクしてるヤツがいる。お前はそんな人間の味方なのか---そんな批判の声が多いわけです。よくよく話を聞けば、その人も十分に生活保護を受給できる生活レベルにあったりする。そんな時は『あなたも受給しませんか』と勧めてみるのですが、たいていは『そこまで落ちぶれてたまるか』と電話を切られてしまいますね。生活保護への偏見がよくわかりますよ」
その小久保弁護士が指摘する生活保護への「誤解」とは、次のようなものだった。
まず、生保制度はじまって以来の最高受給者数について。
「単純に人数だけで比較すればそうかもしれません。ですが正確には人口を母数にした受給率でみれば、必ずしも過去最高とは言えません」
たとえば制度が開設された1951年。前述したようにこの年の受給者は約204万人である。当時の人口は約8457万人。人口における生保の受給率は約2.4パーセントだ。
対して昨年度の人口は約1億2700万人。受給者数(約210万人)は51年を上回っているが、受給率は1.6パーセントとなる。
「過去最高だと騒いでいますが、冷静に判断すれば受給率はそれほど高くない。全国民の1.6パーセントという数字が、それほど危機的なものでしょうか。これはヨーロッパ諸国などと比較すれば相当[注11]に低い数値です」(小久保弁護士)
さらに生活保護を受給できる資格を持った人々のうち、実際にどれほどの人が受給しているかを示す「捕捉率」に関しても、日本は相当の低水準だという。
2007年、厚生労働省は「生活扶助基準に関する検討会」を開き、本来、生活保護を受けるべき水準にある家庭が人口比の6~7パーセントに及ぶことを示した。これはリーマンショック以前の数字であるから、現在はさらに上昇していることであろう。仮に、生活保護を受けるべき水準にある人々を人口比の6~7パーセント≒1000万人とすれば、捕捉率は2割程度[注12]となる。
この1000万人は決して大袈裟な数字ではない。国税庁の「民間給与実態統計調査」(平成21年)を見ても、年収200万円以下の就労者は約1100万人にも上っている。
「日本の捕捉率の低さは異常です。つまり多くの"受給漏れ"があるということなんですね。日本人特有の生活保護を受けるのは恥ずかしいというスティグマ(社会的恥辱感)の問題もありますが、それ以上に、制度そのものが"狭き門"であることを示した数字だと思います」(同)
『g2(ジーツー) vol.11』242~252ページより抜粋
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1964年静岡県生まれ。週刊誌、月刊誌記者などを経て2001年よりフリーに。著書に『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『外国人研修生殺人事件』(七つ森書館)ほか。新刊『ネットと愛国』(小社刊)で2012年度講談社ノンフィクション賞、JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞
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ドラフトの超目玉が味わってきた「挫折と栄光」
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激論! 講談社ノンフィクション賞選考会 208
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生活保護「受給者バッシング」の正体 安田浩一(ジャーナリスト) 232
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アメリカの「意外に手厚い」生活保護制度 矢部武(ジャーナリスト) 268