「遅刻してヘラヘラと挨拶」「お骨上げはわずか5分」葬儀屋は走り回り、携帯を鳴り響かせ…「遺体の取り違え」を起こした火葬場の「ずさんな実態」《火葬場職員が明かす》

元火葬場・葬儀屋職員の下駄華緒さんが、1万人のご遺体を見送ってきた経験を元に原作をつとめた『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』(漫画:蓮古田二郎)が、重版を重ねるヒット作となっている。

10月31日には、最新刊となる『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常(4)』が発売された。その衝撃的な内容が、ネットを中心に話題沸騰中だ。

4巻目では一般人がほとんど知らない火葬場のディープな内容まで紹介されている。その知られざる世界を、下駄さんに案内してもらった。

最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常 (4)より
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「遺体の取り違え」が起こる理由

今回は、火葬場職員にとって絶対的なタブーである「遺体の取り違え」を起こした火葬場について取り上げよう。まずもって考えられないような事故が、なぜ起きてしまうのか? 下駄さんはその理由についてこう語る。

「取り違えは絶対にあってはならないことなのですが、毎年起きてしまう事故ですね。それらのほとんどは、やはり『確認不足』と『間違えるわけがない』という思い込みによるものです。特に『間違えるわけがない』という意識は非常に厄介で、いくらマニュアルで確認項目をつくったとしても、この気持ちがある限りは、確認を怠って取り返しのつかないミスを引き起こしてしまう。もちろん、色々と対策は講じるのですが、毎日同じことを何度も繰り返すわけで、どうしたって慣れが生じる。

どの仕事でも同じでしょうが、最もミスを犯しにくいのは常に『間違っている可能性はある』と固定概念にとらわれず、自問自答できる人でしょうか。とはいえ、人間はミスを犯す生き物。難しい問題です」(下駄さん)

職員たち一人ひとりの姿勢も大切だが、ときには職場環境がミスを誘発することもある。下駄さんとともに働くベテラン職員・尾知さんは、遺族としてある葬儀に参列した際に、そのヒントとなるような貴重な経験をしたという。

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