2024.09.12
# 東証 # 日本株

いまVTuber事務所が“UUUM化”している?「エニーカラー」「カバー」が直面する株価「行き詰まり感」への処方箋

“UUUM化”チラつくVTuber業界

決算や業績自体は高い成長率を維持しており、黒字で絶好調であるVTuber事務所のエニーカラーとカバー。しかし株価を見るとここ一年で大幅に低迷、2024年全体を通じて、VTuber事務所2社は日経平均株価のパフォーマンスを大きく下回っていることなどを前編記事〈「VTuber事務所」の株価はなぜ暴落したのか?「エニーカラー」「カバー」の時価総額を押し上げた“神話”の崩壊〉でお伝えした。

近年稼ぎ頭のVTuberが次々卒業している両社の状況もあり、「UUUM化」という言葉がVTuber業界に影を落とし始めている。

Photo by iStock
 

UUUMは、日本最大級のYouTuberマネジメント事務所として、一時期は時価総額1000億円をこえる大企業となったが、タレントの独立、競争激化により株価は大きく低迷、現在では100億円程度の時価総額で推移している。

VTuber事務所がUUUMと同じ運命を辿るとしたら、カバーやエニーカラーも同様に、タレントの退所ラッシュに伴い、収益が急減するシナリオとなるだろう。

UUUMは、YouTuberの収益が大きくなればなるほどマネジメント手数料の金額が大きくなるという点がYouTuberの不満要素となって脱退が相次いだという見方が有力だ。確かに、同じ2割の手数料でも年間100万円稼ぐ人と1億円稼ぐ人の間には9980万円も手数料が違う。

その額を事務所に取られるのであれば、自身でスタッフを雇って個人で活動する、もしくはもっといい条件の事務所に乗り換える、という選択を取るようになるのも納得だろう。そして、これはVTuber事務所でも無縁というわけではない。

実際のところ、卒業して新しい姿で配信をしているVTuberは所属時のファンを引き連れて一定の成功を収めることに成功している。

つまり、ファンは、事務所が権利を押さえているガワではなく魂(中の人)についていくことが明らかになってしまった。成功例が続出すれば、「私でも独立できそう」と考えるVTuberが増え、それが2024年の卒業ラッシュにつながっている可能性がある点を見逃せない。

ここにVTuber事務所の行き詰まり感の正体が隠されているだろう。VTuber事務所も「UUUMと同じ運命を辿るのではないか」と市場からは見られつつあるのかもしれない。

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