「NHK×性×松本人志って斬新でしょ!」とスタッフは自画自賛…NHKが“リスキー”な「松本人志」のキャスティングを決めた「知られざる裏側」

週刊文春の報道をきっかけに芸能活動休止を発表したダウンタウン・松本人志氏を巡って、NHKでも火種がくすぶっています。それは去年10月に放送された特番「松本人志と世界LOVEジャーナル」。実は放送前からキャスティングを巡ってはNHK内でも批判がありました。NHKは今や吉本芸人の力無くして番組制作が成り立ちませんが、他のお笑いタレントにも“飛び火”が懸念されています。私個人のディレクターとしての経験と、現場からの声を元にNHKと吉本興業について改めて考えてみます。

「松本人志と世界LOVEジャーナル」の舞台裏

去年の10月17日に放送されたこの番組については、実は放送前から現場職員の一部で番組を不安視する声が上がっていました。松本人志氏と呂布カルマ氏の過去の言動に、女性蔑視的な要素が多く含まれていたからです。NHKの番組公式サイトには「思春期の娘の父親でもある松本さんと、多様な立場の出演者たちが、楽しくまじめに語り合います」とありますが、こんなコンセプトは世の中に受け入れられないだろう、というわけです。

放送が近づき番組情報が公表されると、一部の職員の不安の声は現実のものとなります。放送中止を求める声がSNSで巻き起こり、署名運動にまで発展する異例の事態となったのです。

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私が聞く限り、NHK内部では「世間の圧力に負けるな!」というトーンだったとのことですが、放送後の炎上を警戒してか、できる限りリスキーな表現を和らげるため、放送直前まで何度も修正が重ねられたそうです。その努力が奏功してか、NHKが公開する「週刊みなさまの声」によれば、NHKに直接寄せられた意見の数は134件(出演者への意見・感想、再放送予定問い合わせ等)。反響が大きい番組の場合、500~1000件は寄せられるので、番組自体は無難に着地したと言えるでしょう。

では、そもそもなぜ「松本人志と世界LOVEジャーナル」が制作されたのでしょうか?

去年はジャニーズ問題がNHKも巻き込んでハレーションする中、週刊誌各紙は吉本興業をはじめとする大手事務所のタレントのスキャンダルも追いかけていました。そんな状況下、特に松本人志氏はリスキーな人選だったのは間違いありません。

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