前編『【元空自幹部も称賛】米軍による中国偵察気球撃墜は「新幹線で自転車を追うような超難度ミッション」だった』より続く。
先月28日に米国、カナダの上空に飛来した中国のものと見られる偵察気球は、2月4日、大西洋上に出たところで米軍戦闘機により撃墜された。
この米軍による要撃作戦は、実は信じがたいほどに難易度の高いミッションであり、バイデン大統領の「撃墜を成功させた飛行士らを称賛したい」という言葉は、決して大げさなものではなかったのである。
しかしこの華々しいミッションの成功の陰に隠れてはいるが、今回の米国および米軍の動き、作戦の詳細や過去の中国の動向を通して見えてくる真実がある。本項ではそれを指摘したい。
威信をかけたミッションは情報戦
まず、この作戦には、主役となった戦闘機F-22 のほかにも、米空軍のF-15戦闘機や、米海軍からは、タイコンテロガ級ミサイル巡洋艦「フィリピン・シー:CG-58/10,000トン級」、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「オスカー・オースチン:DDG-79/9,500トン級」、ハーパーズ・フェリー級ドック型揚陸艦「カーター・ホール:LSD-50/16,000トン級」などの艦艇が支援部隊として参加している。
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今回、このミッションの立役者となったF-22のパイロットに、第一次世界大戦時の米陸軍の撃墜王の名前からとった「フランク01」のコールサインが付与されたことや、海軍の中でも錚々たる艦艇がこれら支援に当たったことを見ると、今回の「偵察気球撃墜作戦」が、小規模ながらいかに米国の威信をかけたミッションであったかということが窺い知れるのである。