ここにきて、トヨタの「劣化」がはじまった…!「エース社員」退社のウラで起こっていること
いま、トヨタに異変が起きている。昨年末に突如退社した大橋俊介人事部長を筆頭に、ミドル世代の優秀な管理職の社員たちが続々とトヨタを辞めているという。一体何が起こっているのか…? 前編記事『トヨタ「業績絶好調」のウラで、いま「エース社員」たちが続々と逃げ出している…!』に引き続き明かす。
「御曹司の側近」の影響力
豊田章男社長の長男の大輔氏は'16年にトヨタに入社後、現在は自動運転のソフトウエアやスマートシティを開発する子会社「ウーブン・プラネット・ホールディングス」でシニアバイスプレジデントを務めている。慶應義塾大学を卒業後、米バブソン大学に留学した学歴は父と全く一緒だ。
この大輔氏に絡んで、大出世を遂げた幹部もいる。日本製鉄との価格交渉や特許侵害訴訟で矢面に立つ、調達本部長の熊倉和生氏だ。
熊倉氏は'20年4月1日付でトヨタグループの豊田自動織機執行職からトヨタの調達本部副本部長に返り咲いた。'85年に慶応大学を卒業してトヨタに入社、調達部門一筋に歩み、'16年に54歳でトヨタの部長職から豊田自動織機に転籍。
ここまでならグループ内でよくある幹部人事だが、定年近い58歳でトヨタに舞い戻り、調達本部副本部長という重責を担うのは異例だ。しかも戻ってわずか3ヵ月後の7月1日には、かつては専務級が就いていた本部長に昇格した。
この人事の裏側を、別の社員がこう話す。
「実は、熊倉氏の息子は東京大学を出てトヨタに入った。東大時代に自動車部所属だったことを買われ、章男社長のプライベートレーシングチーム『ルーキーレース』に大輔氏が参戦した際、補助運転者を務めた御曹司の側近の一人なのです」
章男社長の好き嫌いや思いつきで、出世できるか否かが決まる—。急速な人材流出の陰には、そんな理不尽な思いを抱く社員が増えていることがあるのは間違いない。