夫にも妻にも子どもにも会えない
パートナーと一緒に暮らせない、と聞いたときの困惑は大きかった。
本来なら、今年2月に結婚したばかりの外国出身のパートナーが東京を訪れ、筆者と一緒に暮らし始めるはずだった。しかし、日本政府の政策のために、日本にて同居することが叶わない状況にある。
幸せな新婚生活を始める見通しがまったく立たないことの精神的な負担はもちろん、余計にかかる家賃などの経済的なコストもじわじわとのしかかってくる。
こうした状況に困惑し、あるいは抜き差しならない状態を余儀なくされているのは筆者たち夫婦だけではない。
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新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、日本政府は4月初頭以降、世界各国からやってくる外国人の上陸拒否を行った。
前後して、日本の在外公館では日本への入国に必要とされるビザの交付が停止され、入管では「在留資格認定証明書」(長期滞在者がビザ申請を行うために必要な書類。以下、COE)の交付も取り止めとなった。

これらの入国制限の多くは現在も継続され、長期化している。とくに、日本で暮らしてきた在留外国人が再入国することすら上陸拒否の対象となってしまっていることには、既に複数の報道があり、多くの批判が噴出している。
ただ、入国制限により引き起こされた問題の中で、つい最近まで注目されて来なかった人たちがいる。偶然この時期に国際結婚をして日本での同居を予定していたか、生活拠点を日本に移そうとしていた国際カップル(日本人+外国人配偶者)である。彼らは、日本人の配偶者として日本に滞在するための「配偶者ビザ」の申請中、またはCOEの申請中に、コロナ禍によるビザ・COEの交付停止に際会した。
筆者もその一人であるが、外国人配偶者が日本に入国できないため、日本で共に暮らすことができない状態にある。これらの人々の中には、妊娠中であったり、小さな子どもがいるにもかかわらず、外国人配偶者とのゴールの見えない別離を強いられるなど、極めて深刻なケースもある*1。
入管の統計によれば、「日本人の配偶者等」の在留資格申請は、近年は年間9000人前後で推移している。 従って、2月以降から現在までの入国制限により影響を受けた外国人の数は、単純に計算すると4500人前後になると推測される。彼らの日本人配偶者や子どもを含めれば、9000人以上にはなるだろう。