レビュー

“牛耕式”や“傘連判”などのスタイルにも対応する縦書きエディター「TATEditor」

もちろん横書きも可能。テキストエディターに必要とされる基本的な機能も充実

「TATEditor」v3.0.3

 「TATEditor」は、縦書き表示が可能なテキストエディター。Windows XP以降およびMac/Ubuntuに対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 8.1で動作を確認した。作者のWebサイトからダウンロードできる。

 『日本語の文章を書くなら、やはり縦書きで書きたい』というユーザーは少なくないだろう。高機能なワープロソフトならば縦書きもこなせるが、ちょっとメモを取りたい場合や、ふと思いついたことをまとめるときなどには、軽快なテキストエディターの方が望ましい。

 本ソフトは、そんなニーズにぴったりフィットするテキストエディター。縦書きだけでなく、一般的な横書きのテキストエディターとして利用することもできるので、「メモ帳」の代わりに常用してもよいだろう。

 さまざまなスタイルのテキストを柔軟にレンダリングすることにこだわりがあるようで、一行ずつ交互に文字を書く方向を変える“牛耕式”や、一行ずつ円環状に並べた、百姓一揆の署名などで見られる“傘連判”などの一風変わったスタイルにも対応しているのが面白い。これらの機能は[設定オプション]ダイアログで有効化できる。

“傘連判”。ダイアログやサイドバーはメイン画面とドッキングさせたり分離させたりできる
一行ずつ交互に文字を書く方向を変える“牛耕式”。古代の写本や名文に使われていた筆記様式

 さらに、文章構造をツリーで表現するアウトライン機能や、特定の記法でマークアップしたルビ・傍点・割注・縦中横といった文字装飾をレンダリングする機能などを備えるのもユニーク。マークアップ方式に“青空文庫形式”を指定すれば、“青空文庫”のテキストで利用されるルビ記号“《》”や注釈記号“[#]”などを適切に解釈してレンダリングできるので、「TATEditor」を“青空文庫リーダー”として使うことも可能だ。また、EPUBを生成するWebサービス“でんでんコンバーター”向けにMarkdown記法を拡張した“でんでんマークダウン”もサポートされている。

アウトライン機能
“青空文庫”のテキストをレンダリング

 そのほかにも、複数ドキュメントのタブ切り替え、正規表現も利用できる検索・置換機能、文字エンコードの自動判別、フルスクリーン表示対応、無限アンドゥ・リドゥ、定期バックアップなどの機能を搭載。カラー絵文字の表示やIVS(漢字の字形指定)にも対応するなど、テキストエディターに必要とされる基本的な機能もきっちり押さえられているのが好印象だ。

ソフトウェア情報

「TATEditor」Windows版
【著作権者】
496_ 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
3.0.3(15/01/18)

(樽井 秀人)