どこ言ってもネット系スタートアップはエンジニアの募集に苦労している話を聞く。
聞くと応募が全然来ない、ということらしい。
しかしその一方で、ネット系のテクノロジはコモディティ化のスピードが早いため、自分のスキルが無効化されてしまうんじゃないかと戦々恐々としている人たちがいる。
不安に思うぐらいなら、それなりの人数がいるハズで、危機感なり向上心(?)を持った人がいて、うまく出会えれば、採用可能性があるってことだよね。
…の割にエンジニアの採用に困っている声が絶たないのは何故だろう。
仮説としては、
・求めるスキルに不整合があって、応募したくない。
・求めるスキルに不整合があって、応募があっても採用できない
・スタートアップだと給料が下がるんじゃないか?!と思って応募できない
・スタートアップに興味が無い。不安定だし。
・自分の実力ではスタートアップは無理じゃないかと思っている。
・実はエンジニアの数が少ない
・各自それなりの職場で安定しているので、転職市場にめったに人が出てこない。
・自社が採用している技術に対する市場性がない。
最近、すごく興味があるのが、
「PHPを使う会社に転職したい人」
「PHPを使う会社に転職したくない人」
「Rubyを使う会社に転職できるスキルや経験を持った人」
「Rubyを使う会社に転職したいけど、スキルがたりなくてできない人」
|_「だけどPHPを使う企業には転職したくない人」
みたいにRuby vs PHPという軸で見た時に、どういう人口分布になっているのか?!を知りたい。
あと年齢分布ですかね。高齢化してしまって家族を持ったからチャレンジできない、採用する側もまだリスクを受け止めきれないというのは、やっぱり重要な問題だったりします。みんな一律に年を取っていくわけですしね。老化というどうしようもない問題を一旦置いておくと、人生の融通が効くか?!という問題と考えてもらってもかまいません。
こんな話もありつつ。
Z80が原因でメイン基板のプログラマーの高齢化が進む – パチンコ日報
(この記事はコメントまで読むと実に面白い。ある意味このエントリーで言ってることと同じなんだなぁ。)
人材の母数の話で言うと、ちょっと前だとソーシャルゲームが活況だったので、「できるPHPエンジニア」がごっそりG社に持っていかれていると言う噂が跡を絶たなかった。紹介会社に払われるフィーが半端無かったという話も聞くので、ある程度、事実だったのでしょう。ただ、相応に厳しい人選をしていたと思うので、どこまでが本当なのかがわかりません。今はソーシャルゲームの波は一段落しているので、もしその仮説がPHPエンジニアが不足している理由なら、これからは変わるのかもしれません。
(これからの問題は、これからG社を退職して、市場に出てくるエンジニアの人たちの生活レベルの高さを、どうやって精神的に受け止めるかという部分にあるのかも。それこそ、今度、僕がハッカソンイベントに参加するリクルートさんのように大企業のWeb系求人も増えているだろうから、やっぱりスタートアップが人を採用する難しさは変わらないのではないか、とも。)
○○という言語を使う人は、すごくできるエンジニアが集まってて、オンラインでは良質なコミュニティができてるんだけど、その人達は基本的に大企業志向であの会社とかこの会社しかいきたいと思わない人しかいない、のであれば、うっかりスタートアップで採用すると地雷になるテクノロジーかもしれないわけです。もしくは、その言語コミュニティのリーダークラスの人材がいる会社じゃないとダメならタレントバイイングでハブの人を採用できないとダメ、とかですね。(それはそれで怖いけど、想定できる未来ではある。)
昔は、高額なプロプライエタリなソフトや設備を買える会社が大企業しかないので転職ニーズも限られるから新卒で育てていくしかない、という判断ができたわけですが、オープンソースの時代であらゆるソフトウエアが表向き平等に見えるので、その実体となる開発者コミュニティがどういう人達、どういう経済状況、どういう年齢構成なのだが、あんまりよくわからなくなっている状況のように思えます。
もちろん、ソフトウエアが安価ないしは無償で手に入れられるということが、スタートアップが成立する理由でもあるので、やっぱり企業として魅力的な姿勢を見せて、やりたいことに共感、賛同をしてもらうしか無いという現実は変わらないのですが、それを言ってしまうと話が終わってしまうので、もう少し書きますね。
一節によるとPHPとRubyの開発者比は、肌感覚で10:1ぐらいなんじゃないか?!という説も聴いたことがあります(実際は知らんですよ)
その話を真に受けるなら、Rails使ってます!で注目されている会社以外がRailsを採用してしまうと人材採用に苦労しそうですが、そうは言ってもPHP系の求人も、どこも大体、困っています。
PHPが一番開発者層が厚いと思うのですが、PHP特有の自虐的ノリからか、開発者に目を向けてもらうには、注目されやすいRailsなどを採用しないとダメなんじゃないの?!という言説も後を絶ちません。
その一方でPHPを使い続ける会社は、言語に囚われない技術者が欲しいと言う話もよく聞きます。
さらに、その一方で、エンジニア自身のキャリアパスやこだわりの中で、コードを書くならRubyじゃなきゃ、Pythonじゃなきゃ、という部分もあるでしょう。
面白いのが何故、PHPでフレームワークを使ってないと、みんな申し訳なさそうに言うんですかね。誰でも知ってる超巨大サービスはフレームワークなどと言ったリッチなプログラムを通さない方が、コスト効率は高いわけで、それを支えるのもエンジニアの大切な仕事じゃないですか。本当のエンジニアリングというのはそういうことだと思うのです。そもそも、みんなvimとかemacsとかプリミティブで小難しいエディタをいつまでも使ってんじゃん。emacsがプリミティブって言ったら怒られそうだけど、GUIよりCUIって意味で…。プリミティブ好きなのってエンジニアのDNAだと思うのだけど、最近は、そうでもないのかなぁ・・・。でも、是非、もっと堂々としていて欲しいんですがw
逆にRailsでスケールしてしまった人たちはコストか何かとトレードオフをしているわけで、それがムーアの法則に支えられていたとしても、数が莫大になるとそうもいかないのが現実のハズで。経営判断としては正解はないです。
メディアに出てくる情報は「新規性のある情報」しか出てこないので、世の中の現実や実態は必ずしも反映されないです。多くの人達は、やっぱり自慢してウケそうな話しかしないですしね。
転職系サイトは、それ自体がビジネスなので転職したい人がどういうスキルを持っているのか?!というボトムアップ型のアプローチはなかなか見えてこない。採用系サイトに出稿した段階で負けているかもしれない、ということに気が付かず、応募が来ないことだけを嘆くしかない。
と、もろもろの状況の中で暗中模索しているというのが各社の現状なのかもしれない。結局、リアルな人脈をたどっていける人が強いというのは、本当に昔から変わってないよなぁという印象なんですが、もう少し解決できないものかなとは思います。
エンジニア版LinkedInが欲しいよね、という話なのかもしれない。そういうのにチャレンジしているサービスがあるような気もするが、是非、エンジニアのトレンドを可視化して欲しいよなぁと思いますね。
いろんなことを雑多に書いてしまったので、無理やりのまとめになってしまいますが、採用したい側の条件と制約として、
・年齢に代表される人生の自由度
・現状の年収レベル(生活レベル)
・こだわりと向上心のベクトル
・自社で使っているスキル、経験のマッチング
のあたりでバランスした人、期待できる人を採用したいと思っていて、制約の1つとして、そもそも開発言語の問題が無視できないのではないか?!と思っていること。
これに対する「転職したい人」のマッチング要件における開発言語の問題があまり見えてこなくて、みんな困ってるということなのかなと思っています。
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