アレックス・タバロック 「ミレニアム懸賞問題のほとんどが未解決なのはなぜ?」(2024年8月8日)

経済学者という立場から口を挟ませてもらうと、ミレニアム懸賞問題のほとんどが未解決である理由は明らかだ。答えは、インセンティブにあるのだ!
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2000年に、クレイ数学研究所が7つの「ミレニアム問題」――数学上の7つの未解決問題――のいずれかを解いた人物に100万ドルの賞金を進呈すると宣言した。「ミレニアム問題」というのは、バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想ホッジ予想ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさP≠NP予想リーマン予想ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題ポアンカレ予想の7つ。解決済みなのは、ポアンカレ予想だけだ。

経済学者という立場から口を挟ませてもらうと、ミレニアム問題のほとんどが未解決である理由は明らかだ。答えは、インセンティブにあるのだ! インフレのせいで、100万ドルの価値が年々目減りしているのだ。例えば、今の時点でリーマン予想を解いたとしても、受け取る賞金の購買力(実質的な価値)は、(インフレのせいで)2000年の時点と比べて半減してしまっている(56万5千ドルくらいにしかならない)。100万ドルの半分? まともな家を1軒買うのにも足りないじゃないか!

クレイ数学研究所としては、ミレニアム問題を解くインセンティブを年を追うにつれて弱めてやろうという魂胆なんだろうか? 年を追うにつれて、問題を解くのも簡単になるだろう――物価の上昇率と同じペースで簡単になるだろう――と見込んだんだろうか? そうは思えない。賞金に回すお金をそのまま放置せずに、S&P500指数に連動するインデックス・ファンドに投資していたら、ミレニアム問題のどれかを解いた人物に与える賞金の額を400万ドル以上に引き上げることも可能だったろう。

賞金の額が400万ドルなら、ミレニアム問題もあっという間に解かれる可能性があるのだ。

証明終わり。


〔原文:“An Economist Solves the Millennium Prize Problems”(Marginal Revolution, August 8, 2024)〕

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