ゆみるからカリーナさんへ 2023年8月2日
これは一昨年、カリーナとゆみるがメールで交わした往復書簡です。
カリーナ様
夏本番ですね。先日義母と一緒にブラタモリを見ながら、この夏初めてのウナギを美味しくいただきました。夏といえば夫がスイカ好きだったので、よくスイカを買っていたのですがですが、独りだとスイカってなかなか買わないものですね。ネコもスイカを食べられれば良かったのですが。スーさんはスイカが好きですか?
お葬式についてということで、葬儀の時に葬儀屋さんが作った葬儀アルバムを久しぶりに開いてみたのですが、何故こんなサービスが出来たのか悩みます。高齢で親戚家族が多く天寿を全うしたなら良いかもしれませんが。写真に写っている自分はどれも死にそうな顔をしていて、精神的に瀕死の重傷という感じでした。このアルバムを見たダメージが思いのほか大きくて、お返事がすっかり遅くなってしまい本当にすみません。こんなものを作った葬儀屋さんにマジで文句が言いたくなりました。
夫の葬儀は黒ヤギにも書きましたが、夫が亡くなる数年前に義父の葬儀をお願いした、夫の実家近くの葬儀屋さんにお願いしました。その葬儀屋さんは個人経営で社長さんは義母が長年続けているボランティアのお仲間なのです。
夫が亡くなった頃はまだワクチンが出来る数か月前だったので、当然葬儀は家族葬となりました。でも心の中で少しほっとしていました。もしコロナじゃなければ亡くなる数週間前まで現役で働いていたので、葬儀もそれなりにする必要があったと思いますし、それはいろいろな意味で家族のエネルギーをさらに消費したでしょうから。
夫が亡くなった翌日に葬儀屋さんと打ち合わせをしました。その時の私には正直もう葬儀なんてどうでもよかったんです。夫は病気がわかって一か月もたたずに天国に行ってしまったので、わたしの気持ちが全くついていきませんでした。
ただそんな中でもはっきりと覚えてるいのは、社長さんが葬儀用のカタログを取り出した時に「申し訳ないんですけど、こんなご時世だし家族葬だから、これからの生活もあるので一番お金のかからない葬儀をお願いします」と義母が初めに言ってくれた言葉でした。
結局夫の家族7人、私の両親と夫の友人2人の計十二人の小さな葬儀となりました。御棺も祭壇もお花もセットの中で一番安い物、唯一料金を一番高くしたものは忌中払いの食事だけ。幸いなことにお花は夫の友人たちや職場などからたくさん届いたため、一番安いタイプの葬儀だったのにお花のおかげで思いのほか豪華に見えました。
葬儀はトータルで70万位でしたが、お坊さんに払う料金は選べません。戒名代も含めて50万でした。これは後で調べたら相場でも高い方だったようです。お坊さんから後日領収書が送られてきて、宗教も商売と実感しました。ただ相続税の申告をする時に葬儀代は控除の対象だったので、私にとっても領収書は必要だったわけです。
香典については、私は夫の家族からも自分の両親親戚からも香典は受け取りませんでした。義理の弟は夫と同じ病気でまだ闘病中でしたし、義母は年金暮らし、義妹の夫からはこれからの生活もあるからと言われましたが、身内同士の香典のやり取りは家庭内麻雀みたいに感じてしまったからです。
その結果、私の母方の親類は冠婚葬祭を盛大にするのですが、そちらの香典もすべて断ることが出来て、香典返しやあいさつに回る手間が減りました。
葬儀からもう3年が経とうとしていますが、悲しみは私が思っていた以上に生々しくて、お金の話ばかりになってしまいました。その方が感情の湿度が低くて書きやすかったので許して下さい。おそらくカリーナさんが思っていたような葬儀の話は書けなかったと思います。本当にすみません。
暑さはまだまだ続きます。カリーナさんもスーさんもお体どうぞご自愛ください。そして夏の楽しいことを堪能されますように。