万年筆とは、右代宮楼座の得物EPISODE3筆記具の一種である。
ペン軸にインクを貯蔵する形式の筆記具としては世界最初の物とされる。
ペン軸にインクを貯蔵する形式の筆記具としては世界初と書いたが、むしろボールペン・フェルトペン以外でインクを内部にため込む筆記具は全部万年筆のカテゴリとして扱われてると言った方が正しい。このような広義の意味での万年筆の場合、中世・近世の定着せずに消えていった文具も万年筆に多数含まれ、wikipedia曰く10世紀まで歴史を遡ることができる。
現在の万年筆は1809年にイギリスで発明されたのが原型で、今のスタイルの万年筆になったのは1883年にアメリカの保険外交員がペンの芯に毛細管現象を応用した物を発明したものである。ちなみに、この人はその後文具メーカーを設立。現在もウォーターマンというブランドで続いている(後述)。
1960年代までは記録の改ざんが出来ない手紙・公文書・書類等を筆記する為の文具として広く使われた。しかし、メンテナンスがより簡単で値段も安いボールペンが台頭してきた事、特に80年代以降に軽い力で書ける水性インクやゲルインクのボールペンが開発された事が影響し、実用的な筆記具としては利用されなくなっていった。一方、最近はデザイン性や希少性が見直されて高級文具・趣味の文具としての地位が高まったり、100円、200円などボールペン並みの安価な機種が発売されたりするなど、復調の兆しも見せ始めている。
まあつまり、オッサンの筆記具と思って敬遠せずに、気軽に使ったらいいと思うよ。一番安いのだと100円。プレピーなんて、高級万年筆よりも書き味がいいくせに200円だよ200円。
万年筆のペン先(ニブ)は常にインクに触れている状態であるため、高い耐久性と耐摩耗性が求められる。かつてインクは酸性の物が主流だった(後述)こともあり、かつては金・金合金が主に使われていた。現在も1万円を超す高級筆記具では金合金が使われている。配合率は14K~18K(金配合率58.3~75%)が主流だが、20Kを超すペン先もある。一方、安価な品種ではステンレス製やプラスチック製のペン先も見られる。
結構勘違いされてそうだが、金のペン先の場合はペン先全部が金で出来ているという訳ではない。紙と触れる先端部分はペンポイントというイリジウム・白金系の硬い合金が使われている。これは、紙に触れている金だと柔らかすぎてすぐに擦り減ってしまうからである。
ペン先には筆圧が(かけないように心がけていても)かかるため使用し続けているうちに曲がったり磨り減ったりと徐々にクセがついてくる。これが所謂「手に馴染む」ということであり、愛用者としては嬉しい反面他の人には使いづらくなっていく。
また、ペン先に様々なバリエーションがあるのも万年筆の特徴である。EF(極細)、F(細字)、M(中字)、B(太字)などが代表的な表記だが、実際の太さはメーカーによって異なる。同じM(中字)でも日本・中国などアジア圏のメーカーは細く、欧米のメーカーは太い傾向がある。他にも楽譜用のミュージックペン、角度によって太さが変えられるペンなどメーカー独自の規格、オーダーメード規格も数多くあるので、買う時は試し書きをすることをお勧めする。大抵の文具店では試し書きをさせてもらうことができる。むしろ試し書きさせてもらえない文具店からは購入するべきではない。
万年筆のインクの補充方式は時代によって変化してきた。戦前まではインク止め式や吸入式が一般的だったが、現在はカートリッジ式が主流である。前者はどのメーカーのインクでも使用できる事、インクを出し入れするときに細かいゴミなどを掃除できる事が利点だが、内部の洗浄がしづらく分解も原則としてできないという欠点がある。一方、カートリッジ式はメンテナンスが簡単という利点があるが、カートリッジがメーカーごとに異なりインク代が高くつく、吸入式よりもインクの貯蔵量が少ない、という欠点がある。また、カートリッジを挿す部位に装着し、インク瓶からインクを吸入出来るようになるコンバーターという物もある。
インクの種類はつけペンの時代から続く染料系の水性インクが主流である。しかし、これだと耐光性・耐水性に乏しく公文書などで使用するには適さない。そのため、書類の筆記には化学反応によって紙に定着するインクが広く使われていた。これがいわゆるブルーブラックインクと呼ばれるタイプのインクである。筆記したばかりだと染料(書いた事が分かるように添加されている)の青色が、時間が経過すると酸化により鉄が沈殿し黒色になる事から、ブルーブラックと呼ばれる。字の耐久性は優れている反面、強い酸性で金属を侵すという欠点があるため、近年では色だけを模した染料系インクも多い[1]。
近年は染料の技術が進歩したことに加え、趣味の文具として万年筆の地位が高くなっているため、黒、青、ブルーブラック以外にも彩り豊かなインクが発売されている。万年筆趣味の方の中にはインクを独自にブレンドする人も。ちなみに、顔料系インクは粒子が粗くインクが乾くと目詰まりを起こすため、万年筆用として特別に開発されたもの以外は万年筆には使うべきではないとされている。[2]
前述の通り、万年筆はボールペンなど他の筆記具と比べてメンテナンスが複雑である。万年筆の最大のメンテナンスは定期的に筆記する事。[3]と言われているが、PCが文章作成の中心である現在では、簡単なようで難しい作業である。だがその一方で、何年も放置していてインクが乾き切っていたとしても、ぬるま湯で吸引を繰り返したり(吸引式)、1晩漬けておけば(カートリッジ式)大抵復活するという耐久性の高さもある。超音波洗浄機も効果があるが、やり過ぎると表面のコーティングなどが剥がれる危険性がある(これは眼鏡も同様)ので限度を守ろう。定期的なメンテナンスが必要な反面、メンテナンスをしていればその名の通り何十年も持つということが万年筆の特徴である。
前述の通り万年筆の筆記は毛細管現象を利用している。したがって筆圧をかけ過ぎるとペン先の切れ目が広がってかえってインクの出が悪くなってしまう。そのため、万年筆で書き込む際には筆圧をかけないようにすることが大切である。指でなぞるくらいの筆圧が目安。
コツさえ掴めばスラスラ書けるが、急ぎすぎてインクが乾く前に手が当たって台無しに...なんてことにならないよう注意。
マンガや小説を執筆するイメージとして万年筆が持ち出される事が多く、PCでの執筆・描画が中心となった現在でも小説を執筆する象徴として万年筆が描写されるシーンは多い。とはいえ、例えば、アニメ『犬とハサミは使いよう』の、万年筆の描写は、実際の万年筆とは異なっていたりするんだけれど細かいことは気にしちゃいけないよね、うん。
創作の世界では武器・凶器としてペン先を刺すというネタが存在するが、前述の通り万年筆のペン先は柔らかい金属で出来ているため、突き刺すとその万年筆は変形して使用不能になる可能性が高い。犯行の決め手が刺した衝撃で変形した万年筆であるというミステリーも数多いため、良い子は絶対に真似してはいけない。また、不慮の事故で刺してしまった場合は刺青と同じ原理の傷になってしまうため、傷痕がかなりの間残ることになる。
その他、詳しい事はWikipediaを参照。→Wikipedia - 万年筆
掲示板
43 ななしのよっしん
2023/02/07(火) 21:53:19 ID: 5dWk9L24gn
→インクの質や色にこだわる→ガラスペンも考えてみる
結果、沼る
44 ななしのよっしん
2023/07/27(木) 20:07:50 ID: 2nTa5aPwel
先ごろ亡くなった森村誠一さんは愛用のガラスペンが廃盤になると聞いて、
2万本購入して2002年の段階で残り8千本まで使ったそうだが、
最後何本残ったんだろうな。
45 ななしのよっしん
2024/04/30(火) 10:21:53 ID: TPUgRyg9YQ
プラチナのデスクペンがよかったからほかの安価なのも試してみたくなってしらべたら多すぎてわからん
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/23(月) 00:00
最終更新:2024/12/23(月) 00:00
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