マーベラスカイザー(Marvelous Kaiser)とは、2008年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
熊沢重文に史上初の平地・障害両GⅠ制覇を贈った、マーベラスサンデーのもう1頭の代表産駒。
父マーベラスサンデー、母マーベラスウーマン、母父Woodmanという血統。
父は*サンデーサイレンス初年度産駒の1頭で、何度もの骨折や生命の危機を乗り越えて、サクラローレル・マヤノトップガンと「97年古馬三強」を形成した宝塚記念馬。種牡馬としてはキングジョイとマーベラスカイザーの中山大障害馬2頭を輩出したほか、平地ではシルクフェイマスなどを送り出した。マーベラスカイザーは10年目の産駒。
母は持込馬で4戦未勝利だが、叔父に大種牡馬Danzigを持つ。マーベラスカイザーは第8仔。
母父ウッドマンは早熟短距離馬を出す種牡馬として活躍した。日本では直仔にヒシアケボノ、母父としての産駒にはエイシンデピュティやアストンマーチャンがいる。
2008年4月29日、新ひだか町の松田牧場(主な生産馬にテンモン、ケイアイエレガントなど)で誕生。オーナーは両親と同じく、「マーベラス」冠名を用いた笹原貞生。
柴田政人騎手の兄である、栗東の柴田政見調教師に預けられたマーベラスカイザーだったが、デビュー時の評価は極めて低かった。2010年7月10日、阪神・芝1400mの新馬戦で渡辺薫彦を鞍上にデビューしたが、285.0倍のブービー17番人気。レースも出遅れてしまったが、最後方から上がり3位の脚で9着とまずまずの内容を見せる。
続く札幌・芝1800mの未勝利戦では古川吉洋を鞍上に13.7倍の5番人気に評価を上げ、後方から断然の上がり最速で差し切って見事勝利を挙げる。
しかし続くコスモス賞(OP)では2番人気に支持されるも、スローペースを好位から伸びきれず4着。札幌2歳ステークス(GⅢ)では出負けして最後方から大外を捲っていくも見せ場を作るには至らず8着。池添謙一に乗り替わった萩ステークス(OP)も見せ場なく7着に終わる。
そんなこんなで、和田竜二を迎えた京都2歳ステークス(OP)では10頭立ての8番人気、単勝62.1倍という完全な人気薄だったが、良馬場で1000m62秒4というスローペースで道中ごちゃつく中をインでやや掛かり気味に押し上げていくと、直線で逃げ粘った5番人気プレイと追いすがる断然人気ダノンバラードとの追い比べをクビ差制し、オープン勝利を挙げた。
これでクラシックを目指すことになったが、引き続き和田と向かった年末のラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ)では出負け最後方からスローペースの流れを捲っていき4角で外から先頭集団に取り付くものの直線で沈んで15着。明けて3歳も渡辺薫彦に戻ったシンザン記念(GⅢ)は単勝万馬券の14番人気で6着とそこそこ頑張ったが、きさらぎ賞(GⅢ)は見せ場なく9着に終わり、クラシックは断然することになった。ちなみにシンザン記念ときさらぎ賞では三冠馬オルフェーヴルと一緒に走っている。
6月、自己条件の1600万下から再始動するも、4戦して見せ場なく13着、9着、11着、13着と完全に壁にぶつかってしまい、あっさりと平地に見切りを付けて障害競走に転向することになった。
2011年10月、平地最終戦で騎乗した熊沢重文をそのまま鞍上に、阪神の障害未勝利戦にて障害デビュー。1番人気に支持されると、オープン勝ちの平地力を見せ付けて9馬身差で快勝。しかしその後骨折が発覚、3歳シーズンはここで終了となる。
明けて4歳、3月の阪神の障害オープンにて小坂忠士を鞍上に復帰。復帰戦は離された2着に敗れたが、続く4月の京都の障害オープンでは後方からシゲルジュウヤクをクビ差差しきって勝利。
5月の京都ハイジャンプ(J-GⅡ)で北沢伸也を迎えて障害重賞初挑戦。後ろの方で前に離されてのレースとなり、前2頭のレコード決着には8馬身離されたものの3着に好走する。
一休みして11月、京都の障害オープンにて再び熊沢重文を迎えて復帰。1番人気に支持されたが3着。
そして年末の大一番、中山大障害(J-GⅠ)。このとき1.4倍の断然人気に支持されていたのは前年覇者でこの年の中山GJも勝ったマジェスティバイオ。中山GJ2着のバアゼルリバーがそれに続き、マーベラスカイザーは9.5倍の3番人気に支持される。
レースは大障害で少し躓くところもあったが折り合いを付けて前目の好位で進め、最終障害で逃げるスプリングゲントを捕まえる。直線でスプリングゲントを振り切ると、後ろから追ってきたバアゼルリバーやマジェスティバイオを寄せ付けず、3馬身差で完勝。重賞初勝利を大舞台で飾った。
熊沢重文騎手は、1999年の障害グレード制導入以降では史上初となる平地・障害両GⅠ制覇を達成。「大障害については二十数年の念願だったレースなので、勝ったら障害騎手を卒業しようと思っていましたが、いざ勝ってしまうとまだまだやめられないという気持ちが強いです」と語った。
その言葉通り、熊沢騎手は引き続きマーベラスカイザーとコンビを継続し、翌2013年は中山グランドジャンプを目標に阪神スプリングジャンプ(J-GⅡ)から始動。先行したシゲルジュウヤクにクビ差振り切られて2着に敗れたものの、本番へ向けては上々の立ち上がり。
……のはずが、レース後、左橈骨遠位端骨折が発覚。中山GJは回避となり、放牧に出されることになる。
それだけなら、競走生活の中で怪我はつきものだし、障害馬としてはまだ若い5歳。中山大障害連覇へ英気を養えば良い。それだけのはずだった。
だが。
4月27日、放牧先のイクタトレーニングファームで彼は腸捻転を発症した。競走馬にとって腸捻転は命に関わる病で、多くの名馬が腸捻転で亡くなっている。マーベラスカイザーもまた手の施しようがなく、安楽死の措置がとられ、新たな障害王はあっけなく天国のターフへと旅立っていった。
通算20戦5勝 [5-2-2-11]。熊沢重文騎手は2023年に現役を引退したが、このマーベラスカイザーが最初で最後のJ-GⅠ勝利となった。他に平地・障害両GⅠ制覇を果たした騎手は、2024年現在も柴田大知騎手がいるのみである。
マーベラスサンデー 1992 栃栗毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
モミジダンサー 1980 栗毛 |
*ヴァイスリーガル | Northern Dancer | |
Victoria Regina | |||
*モミジII | Laugh Aloud | ||
Hold Me Close | |||
マーベラスウーマン 1997 栗毛 FNo.7-a |
Woodman 1983 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
*プレイメイト | Buckpasser | ||
Intriguing | |||
*ノンダムール 1988 鹿毛 |
The Minstrel | Northern Dancer | |
Fleur | |||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | ||
Petitioner |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.50%)、Tom Fool 5×5(6.25%)、Native Dancer 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/12/31(火) 02:00
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