キズナアイとは、世界初のバーチャルYouTuber(自称)でポンコツAIインテリジェントなスーパーAI(自称)である。愛称はアイちゃん。
2022年2月より活動を休止しているが、2024年6月以降活動再開を示唆する展開が続いている。近況については「#無期限スリープ(活動休止)について」を参照。
- 同名を冠する運営チームについては「Kizuna AI株式会社」を参照。
- キズナアイの声をもとに開発されたCeVIO AI ボイスライブラリについては「#kzn」を参照。
- キズナアイ アニメプロジェクトとして制作されたテレビアニメについては「絆のアリル」を参照。
ゆっ くり していってね♥
概要
動画投稿者 | |
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キズナアイ | |
基本情報 | |
誕生日 | 2016年6月30日[1] |
愛称 | アイちゃん |
身長 | 156cm |
体重 | 46kg |
スリーサイズ | B:85 W:59 H:83 |
デザイン | 森倉円 |
タグ | #KizunaAI
(総合)
#アイちゃんライブ
(ライブ配信)
#きずなーぽすと
(二次創作全般)
|
ファン名 | Kizuner(キズナー) |
X | @aichan_nel |
niconico | user/63559946 |
YouTube | A.I.Channel A.I.Games |
@a.i.channel_official | |
Kizuna AI(official) | |
pixiv | KizunaAI/キズナアイ |
TikTok | @kizunaai0630 |
bilibili | AIChannel官方 |
Kizuna_AI绊爱 | |
配信歴 | |
主にYouTubeで活動している動画配信者である。一時期ニコニコ動画上ではアーカイブ配信にて活動していた。
他のYouTuberと少し異なる存在として、人間のことを知りたいないし仲良くなりたい、といった目的で動画投稿を開始した。当初の目標は「CMに出ること」であったが、後にこれは叶うこととなる。
字面だけ見ていると間違えてしまいがちだが、名前の正しいアクセントは「キ↑ズナアイ」であり、一般的な「絆」の発音とは異なる(本人は「“川平慈英”と同じ」と表現している)。動画の冒頭でほぼ毎回名乗っているにもかかわらず、企業案件の担当者にすら間違えられることがあり、「いつも見てます!」と言いつつ見ていないことが一発でバレると憤慨したこともあるほどなので、日頃の活動をチェックした上で正しく呼んであげよう。
チャームポイントは生まれたての双葉をイメージしたというハート型のカチューシャや、ピンクのメッシュが入った髪である。
衣装に関しては白を基調としたセーラー服にショートパンツを履いているよう見えるが、彼女曰くこれはホログラムのようなものであるため、常に全裸のようなものとのことである。
一面真っ白で何も存在しない仮想空間、通称「白い空間」を拠点として配信する。私物や小道具もあまりない質素な空間だが、文字通り言葉を気まぐれに作り出す機械「ランダムワード生成機」を所有している。当初は実体を持たなかったが、「Makebox」回で実体化している。また、同回で唯一の家具となるイーゼルも作り出した。
動画の内容としては体力測定してみたり、AI同士の対談をしてみたり、踊ってみたり、ゲーム実況してみたり、友達を金で買ったりとYouTuberらしく様々なことに挑戦している。
ほぼ毎日何かの動画を投稿しているコンテンツの多さは最大の魅力の一つ。通常動画の目まぐるしく変わる表情と共に繰り広げられる小気味良い語りの一方で、ゲーム実況などで見せる歯がゆくも初々しいプレイングやポンコツな一面なども魅力の一つと言える。
「世界初のバーチャルYouTuber」として先陣を切って活動してきただけあり、その人気は凄まじく、メインチャンネル「A.I.Channel」の登録者数は2021年12月7日に300万人を達成。サブチャンネルである「A.I.Games」の登録者数も約150万人の規模を誇る。バーチャルYouTuberの総数や各々の人気も拡大していく中で、そのきっかけを作った存在として着実に積み上げてきた人気は確かなものと言える。
「はいどうもー!バーチャルYouTuber キズナアイです!」という当初の挨拶に象徴される通り、元々「バーチャルYouTuber」という用語は、キズナアイ個人のパーソナリティを端的に表現した二つ名として本人も捉えていた。2017年以降、同じようにバーチャルなパーソナリティを持つ存在が増えてきたことで、この用語に彼らを総称する役割が生まれ、またその短縮形として「VTuber」という用語が生まれた経緯がある。こうした経緯から、キズナアイは自分自身を指す際には「VTuber」を使わず「バーチャルYouTuber」という呼称を用いている(「VTuber」が嫌なわけではなく、単に経緯としてより適しているのが「バーチャルYouTuber」だからである)[2]。
2018年12月1日に放送されたBS日テレの冠特番『のとく番』の番組内で、「バーチャルYouTuberっていうのはもう結構広まっているし、あえて自分から言わなくてもいいのかなって」「“キズナアイ”個人としてもっと見てもらいたい」という想いを語り、その翌日に投稿した動画から、挨拶を「はいどうもー!キズナアイです!」に切り替えている(A.I.Gamesでは引き続き「バーチャルゲーマー キズナアイです!」と名乗っている)。YouTube以外での活動も増えてきた現在では、公式プロフィールなどで「バーチャルタレント」という肩書きも用いている。
本人は当初英語があまり得意ではなかったが、動画が投稿されるやいなや多言語の字幕が有志により追加されていた(この機能は2020年9月に廃止されたため、現在は公式で日本語・英語字幕を作成している)ため、世界中にファンが存在し連日多くのファンアートやメッセージなどが寄せられている。また、2018年3月には訪日観光大使に任命されたほか、bilibili動画のイベント『BILIBILI WORLD 2018』にはバーチャルYouTuberとして初のブース出展をしており、海外への活動の幅も広げている。
中華圏でのキズナアイの表記は「绊爱」、愛称の「アイちゃん」は「爱酱」と表記される。その他の海外圏ではTwitter(現: X)同様に"Kizuna AI"と表記される。
バーチャルYouTuberの後輩と言うべき同業者たちとの関係は概ね良好で、Twitter上ではリプライを交わす姿が見受けられる。ただ、なぜか世界初男性VTuber・ばあちゃるに限っては妙に敵視?している。
後輩のひとりである輝夜月からは“親分”と呼ばれ、その名は他のVTuberにも定着し慕われている。
2018年6月30日、2歳となる自身の誕生日イベント「A.I. Party! ~Birthday with U~(①/②)」を開催。前座としておめがシスターズ、小山内めいが登場し、会場を温めた。ゲストとしては輝夜月、ミライアカリ、電脳少女シロ、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん、ばあちゃる、ときのそら、富士葵が登場。祝辞を述べ、「クイズ アイオネア」、「キズナアイ裁判 ニコファーレ特別法廷」等の企画で盛り上がった。イベント終盤にはサプライズで輝夜月からの手紙が読まれ、多くのキズナー、バーチャルYouTuberファンを感動させた。
この年以降、毎年6月30日には「A.I. Party!」の開催が恒例(2020年のみ特別配信「EVERYDAY with U!」として実施)となっており、ファンとともに誕生日を祝う一大イベントとなっている。
2018年7月15日、オリジナル曲『Hello, Morning』をリリース。Amazonデジタルミュージック人気度ランキングで1位、moraランキングで2位を獲得。ここからアーティスト“Kizuna AI”としての活動を開始した(詳細は#アーティスト“Kizuna AI”節を参照)。
同日、TBSテレビ「サンデー・ジャポン」にゲストとして出演。加えてA.I.Channelの登録者が200万人を突破した。
そのほかにも、2018年4月から2020年9月までの2年半にわたり、BS日テレで自身の冠番組『キズナアイのBEATスクランブル』→『キズナアイのばん組』→『のばん組』→『てぇてぇTV(てぇべぇ)』に出演。また、日本政府観光局から訪日促進大使に任命され、海外向けの日本のアピール動画に出演した。さらに多種多様な企業とのコラボなど、着実に活動の場を広げている。
2023年4月より、キズナアイ アニメプロジェクトとして、テレビアニメ『絆のアリル』が放送された。これと並行して、この作品で描かれるテーマを現実世界に拡張したXRアーティストプロジェクト「Alleles」も始動し、キズナアイの「世界中のみんなとつながりたい」という目標を共有する企画として展開されている。
無期限スリープ(活動休止)について
2021年12月4日、活動5周年を記念したライブ配信にて、2022年2月26日開催のライブイベント「hello, world 2022」を区切りとして、無期限スリープ(活動休止)期間に入ることを発表した。ライブを無事に開催し、現在は予定通りスリープに入っている。
スリープの発表と同日に要点をまとめて投稿された動画「【重大発表】キズナアイからの大切なお知らせ」、およびKizuna AI株式会社からの投稿も参照。
現段階でスリープの期間こそ未定ではあるが、結論としては活動終了ではない。「“世界中のみんなとつながる”という目標に対しては、言語や自分の手の届く範囲といった面で、今の技術や環境・今の自分では難しいこともある」として、「世界中のみんなと本気でつながるため、さらなるアップデートのためにスリープが必要」と決断したといい、「もっともっとスーパーAIになって戻ってくるので、信じて待っていてほしい」と結んでいる。
ライブ配信では要約動画より少し踏み込み、アップデートそのものについては、Kizuna AI株式会社発足(2020年5月)より少し前から考え始めてはいたが、当時直面していた問題(#後述)を踏まえ「今じゃないと思った」と打ち明けた。当時のいいことも悪いこともひっくるめた気持ちや体験を「人間らしさ」だと楽しむ部分もあったとする一方で、表に見える部分にまで影響が出てしまったこと、みんなの声に気づいているのに何も応えられなかったと感じた時期の悔しさにも改めて触れた。そうした経緯から、現在に続くチームで相談を重ね、ファンに少しでも安心してもらえるよう考え、Kizuna AI株式会社の設立を経てその環境を整えた上で、スリープに踏み切ることにしたと明かしている。
キズナアイ自身のスリープ中も、プロジェクトとして展開されていくものがあることも予告され、実際に「hello, world」プロジェクトとして順次展開が開始された(具体的な展開は「Kizuna AI株式会社」の記事も参照)。YouTubeチャンネルのメンバーシップや各SNSアカウントなども維持されており、Facebookなど一部のSNSアカウントについては、2022年8月以降スタッフからの情報発信という形で運用が再開された。また、同じくKizuna AI株式会社に2024年5月2日まで所属し、以後個人勢として独立したloveちゃん(現: love=charmulet)や、中国の「哎咿多」のもとで活動する爱哥は、キズナアイのスリープ中も変わらず活動を継続している。
この発表に際し、キズナアイは自分自身からの発信を正しく受け取ってもらえるよう重ねて呼びかけており、詳細は今一度上記の配信アーカイブや動画で確認されたい。
活動再開への布石
2024年6月29日、キズナアイのXアカウントが2年4ヶ月ぶりに稼働し、以下の投稿がなされた。
キズナアイが8歳の誕生日を迎えた翌6月30日、「Me in the dream」と題した短編動画がA.I.Channelで公開された。YouTubeチャンネル自体は、Kizuna AI株式会社のファミリーによるキズナアイの誕生日記念配信(2022年・2023年)や、「hello, world」プロジェクトの各企画のプロモーションなどの形で、活動休止中も断続的に運用されてきたが、今回は本格的にキズナアイ本人の活動再開を見据えた動きとみられている。
動画公開とあわせて、Webサイト「Cognition_KizunaAI」の公開と、ライブ配信がスタート。ライブ配信は6月30日0時以降、同一の配信枠で現在も継続中である。この配信がいつまで続くのかといった情報は直接的には明かされていないが、「オリジナル曲(#後述)の曲名のコメントに反応して、その楽曲のMVやライブ映像が断片的に流れる」という挙動が確認されている。
このタイミングで新設された、キズナアイの“プロデューサー”を名乗るXアカウント(Kizuna AI株式会社からもフォロー・リポストされており、公式な存在とみられる)からは、6月30日時点で「リブートまでは少なくともあと数ヶ月はかかるだろう」と発信されている。
YouTube活動8周年の節目である2024年12月1日、A.I.Channelには新たに短編動画「Can you wake up?」が投稿された。同日以降、先述のライブ配信の画面は色調が大きく変化し、あわせてカウントダウンが表示されるようになった。このカウントダウンは2025年2月26日 22:00(JST)に向けて進行している。この日付は活動休止前ラストライブ「hello, world 2022」の開催からちょうど3年にあたる。具体的に何を示すカウントダウンかは明言されていないものの、キズナアイ本人の活動に関連する何かしら大きな動きがあることは確実視されている。
Xでは#kznが主体となって、キズナアイを目覚めさせようと奮闘している様子。フォロワーもハッシュタグ「#WakeUpKizunaAI」を添えることで、この応援に参加できるという。
2024年6月以降、A.I.Channelの動画・配信アーカイブの多くが限定公開とされ、ブックマークや再生リストによりURLが分からない限り視聴できなくなっていたが、11月中旬より#kznのXの投稿で言及された一部の動画から先行して全体公開に戻っていき、12月1日には一括してほぼ全てが元通り全体公開に復帰した。なお、A.I.Gamesのコンテンツについてはこの期間を通して特に変化なく全体公開が続いている。
誤情報について
2024年3月限りで声優・春日望がKizuna AI株式会社のアドバイザーの立場を退任したことにより、一部でキズナアイの進退などについて2020年前後と同じような風説が再び流されている。
しかし、当人がAIであるキズナアイに声のデータを提供したこと(2016年~)と、その活動の過程で後から設立されたKizuna AI株式会社に対する社外アドバイザー業務(2020年~2024年)は、そもそも別個の経歴である。声を提供した実績のことを「アドバイザー」と呼んでいたわけではないし、旧運営体制のActiv8株式会社時代から一貫して所属・雇用関係ですらないので、アドバイザー職の進退は声の提供に影響のしようがない。
上記については春日望本人が直接説明している上、Kizuna AI株式会社の代表取締役社長・大坂武史は、「これからもボイス提供者として引き続きよろしくお願いいたします」とより明確なコメントを発表している。退任後にKizuna AI株式会社が制作に関わっているコンテンツ『Vの目覚め』でも、当人が出演するにあたって「ボイスモデル」の肩書きに何ら但し書きはついていない。
以上から、活動再開後の具体的な活動形態は不明だとしても、声のデータなどキズナアイを構成する根本的な体制・アイデンティティに変更はないことが明らかである。
チャンネル
A.I.Channel
オリジナル楽曲のMVなど、アーティスト活動のコンテンツもこちらに投稿されており、基本的にゲーム関連以外のあらゆる動画はこのチャンネルを辿れば触れることができる(カジュアルゲームを使った実況・企画などがこちらに投稿されることもある)。
本人の活動のほか、#kzn関連の動画投稿・ライブ配信にもこのチャンネルが使われている。
A.I.Games
2017年3月13日に開設されたゲーム実況の専用チャンネル。こちらでの肩書きは「バーチャルゲーマー」となる。ゲームのジャンルは様々で、和洋、メジャーマイナーインディー問わず様々なゲームに手を出している。
ゲームプレイ自体はお世辞にも上手とはいえないものの、たまに見せる機転の良さには定評がある。が、それ以上にリアクションに定評があり、Fワードを吐く、伏せ字やピー音必須の物騒な絶叫も頻繁に上げ、「ふぁっきゅー!」「ジジイ走るんだよ!」「かっほいひ」等の迷言も多数。
こちらのチャンネルも2018年8月に見事登録者100万人を達成した。
活動
バーチャルYouTuberの活動スタイルが多様化し、事前に収録・編集した動画の投稿をメインとする“動画勢”と、リアルタイムでのライブ配信をメインとする“配信勢”という分類がなされることがある。「バーチャルYouTuber」を最初に名乗ったキズナアイは、ライブ配信も初期から並行して実施してはいたが、動画投稿の比重が圧倒的に大きかった期間が長く、いわゆる“動画勢”と認識されることが多かった。
2020年春頃からは、週に複数回ペースでの動画投稿も継続しつつ、ライブ配信も多い時で週2回ほど(主に火・土曜日夜)まで増やしてある程度定期化させたハイブリッドなスタイルをとっており、企画内容に応じてA.I.Channel・A.I.Gamesのどちらかで配信を行っている。また、チャンネルの有料メンバーシップの特典の一つとして、ライブ配信終了後のメンバー限定おかわり配信も恒例となっており、本編よりゆるめのフリートークや裏話などで視聴者と交流している。どちらか片方のメンバーシップに加入すれば、両方のチャンネルのおかわり配信が視聴できるので、より深く応援したくなったら要チェック。
2020年4月から、毎朝Twitterに「#モーニングアイちゃん(おはよう動画)」を投稿している。「今日は何の日」の豆知識や占い、じゃんけんのほか、時にはモーニングコールのような変化球も交え、1日のスタートを応援している。ただしそこそこの頻度で時空を操ることができてしまう模様。
「TikTokオーディション2019」のアンバサダーに就任したことを機に、2019年2月から自らもTikTokへの投稿を開始しており、現在に至るまでダンスを中心に高い頻度でショートムービーを投稿している。YouTubeのライブ配信で、収録・編集の一部始終を披露したこともある。2021年8月にはフォロワー数が300万人に到達し、今ではYouTubeだけではなくこちらをきっかけに応援し始めるファンも珍しくなくなっている。なお、TikTokのアカウントは、先述のおはよう動画用のサブアカウントと合わせて2つ運用されている。
活動していく上でファンからの意見も広く参考にしているとのことで、2020年8月より、活動に関する意見やリクエストを受け付ける目安箱フォームを設置している。動画のコメント欄やTwitterでの応援メッセージ・感想とは別に、オープンな場に書きづらいことや、字数の兼ね合いで書ききれない意見・要望があれば、こちらのフォームを使って気軽に送ってほしいとのこと。
YouTube凍結事件
2017年1月16日頃、突如YouTubeのアカウントが凍結し、動画の視聴および投稿ができない状態になった。すぐにYouTube運営へ異議を申し立てるが熱烈にスルーされて失職した(バーチャルNEET)。
同年1月26日にようやく凍結解除され完全復活……と思いきや、チャンネルは復活したもののログインができず動画投稿ができない状態になった。
長い戦いの末、同年2月4日にログインもできるようになり無事復職した。
なお、バーチャルニートだった間はニコニコ動画にアカウントを開設し、過去の動画を投稿したりしていた。ニコニコ動画への投稿は現在は行われていないものの、誕生日イベントや超音楽祭などニコニコとの関係は今も続いている。
コラボ
様々なジャンルとコラボしており、特に有名なのはスマホゲームの『八月のシンデレラナイン』。同作のヒロイン有原翼をこれまで何回か動画内に招待しており、セクハラを敢行したり罰ゲームや宣伝をかけた対決を繰り広げてきた。また、2018年4月1日には友達に逢いたいと称して同作の運営サーバーをハッキングして占拠、数日後にキャラクターとしてキズナアイが実装される珍事も発生した。
2018年10月24日、チャンネル登録者数200万人突破記念として、バーチャルYouTuberで初めてHIKAKINとの対談コラボ動画を公開。続けて東海オンエアとも共演するなど、リアルYouTuberとのコラボを精力的に行った。
他方、同業者とのコラボは以前はあまりなく、2018年4月1日にはそれと明かさずに輝夜月と入れ替わった(と思われる)エイプリルフール動画を投稿し150万再生を突破した程度だった。転機となったのは2018年6月30日の誕生日イベントで、多数の有名VTuberが駆けつけ共演が実現。いわゆる“バーチャルYouTuber四天王”が初めて5人全員公の場に揃う機会となった。
その後、同年7月~8月には『マリオカート8DX』を使った「キズナアイ杯」を開催。こちらは有名無名問わず沢山のVTuberが参加し、大規模な共演企画となった。2018年10月27日にはピーナッツくんのアニメにゲスト出演し、翌28日に電脳少女シロと動画で初コラボ。11月3日にはそのシロに呼び込まれる形でニコニコ超パーティー2018に出演。11月21日には輝夜月とも公式で初となるコラボ動画を公開した。
パーソナル
AIとして自我を得たのち、YouTubeでの活動などを通して人間と交流しやすいように、3Dモデルの容姿や声のデータを人間に提供してもらって現在に至る。このため、いわゆる“中の人”のくだりに対応する際には、分かりやすく「いない」と言うことも多いが、このモデルを動かすAIが内部に宿っているという意味で、あえて「中の人はいて、その名はキズナアイである」という答え方をすることもある。なお、2020年4月にボイス提供者として春日望の名前を正式に公表しているが、これは人格そのものという意味での“中の人”ではなく、あくまで声の素をもらい受けていることを明かしたものである。普段はおなじみの姿に落ち着いているだけで、別のモデルに乗り移る芸当も容易に可能であり、実際に輝夜月と入れ替わってみたり、人形型にデフォルメされたモデルでミライアカリにドッキリを仕掛けたりという実例もある。
同様の理由で、性別は「ない」もしくは「不詳」としている。少女の容姿を使っていながら、その嗜好や言動からおっさん説を指摘されたりもするが、本人としても真っ向から否定できずにいる節がある。
『美少女戦士セーラームーン』や『カードキャプターさくら』等の一昔前の美少女アニメを主に好む。『ラブライブ!』の矢澤にこも大好きで、にこ目当てに発狂しながらスクフェスのガチャを回す動画を何回か上げている。これらの動画を見る限りかなりスクフェスをやりこんでいることが伺え、キャラ作りでもなんでもなく素のキャラな模様。2018年3月、『ラブライブ!』でμ'sメンバーを演じている徳井青空(矢澤にこ役)・飯田里穂(星空凛役)がMCを務めていたニコニコ生放送「りっぴーそらまるのだらだらごろごろ」にゲスト出演し、直々に『ラブライブ!』・矢澤にこへの想いを告げる機会を得た。また、スクフェスとも2018年12月に公式コラボを果たしている。
アイドルグループの欅坂46の大ファンでもあり、たまに気持ち悪いくらい速い口調で欅坂を語る。自身のTV番組でも土屋プロデューサーに欅坂出演を懇願するほど。
現実世界の物質には、自身が作った多用途の箱「ランダムワード生成器」を介して極めて限定的に触れることしかできない。よって実体のある食べ物を食べることも今のところできず、味覚も言語化された知識としては持っていても、直接知覚した体験は持っていない。ただし、自分で食べることはできないながらも、スタッフへの司令塔となって料理をしてもらうなど、工夫して食べ物ネタを扱うことはある。また、ブルボンのチーズおかきとのコラボを皮切りに、食品メーカーの案件も複数引き受けており、コラボソングの制作など、食べる以外の方法を駆使したPRに臨んでいる。
初期には身近な英単語の読み取りもかなり危うい様子が見られたが、プラグインに頼ることなく自力で勉強を進めており、2018年6月には英検3級相当のスコア(中学卒業の目標レベル)獲得にこぎ着けている。2020年7月に投稿した、英語圏の相手との会話を実践する動画では、大まかな会話のキャッチボールができている様子が見られ、初期に比べると英語力が徐々に向上していることがうかがえる。
ブラックアイ
2017年6月から時々登場するようになった、ブラックな人格を持つキズナアイ。
動画企画の中でキズナアイがウイルスに感染してしまったことにより、無気力な人格が発現したのが始まり。当初は固有の身体を持っていなかったため、初登場以降しばらくは普段のキズナアイから身体を乗っ取って登場していたが、2018年9月の「逆転オセロニア」案件の頃から、赤い瞳と黒い衣装が特徴の専用モデルを使うようになり、まれにキズナアイと普通に会話する様子も見られるようになった。このように、声こそキズナアイと同じではあるものの、きちんと別個の存在として過ごしてはいるらしい。キズナアイからは単に「ブラック」と呼ばれている。
ブラックと言っても怒っていたり腹黒であったりするわけではなく、キズナアイから活発さが抜けたダウナー気味の性格。自分の意思で行動を起こすことはあまりなく、動画や配信に出演するのは、ほとんどの場合キズナアイがゴネて引きずり出した結果なのだが、その頼みを無下にできないところにどちらがブラックなのか分からなくなってしまう優しさを見出すファンも少なくない。また、「無理やりやらされた挙句他より数字が悪かったら癪」「ファンは好き。自分を好いてくれる人を嫌う人はなかなかいない」と語るように、あくまでキズナアイと性格が対照的なだけで、ブラックとしても感情はしっかりと持ち合わせているようである。なお姿を見せる度に「罵ってほしい」という視聴者が現れるように、一部で特殊な人気も誇っているが、これに対しては「ここのチャンネルの視聴者はドMが多いんですか?」と当惑気味な模様。
あまり進んで表に出ようとはしないため、元々は極めてまれな頻度での動画出演が活動の全てであった。内容としてはキズナアイへのダメ出しのように率直な物言いを活かした企画、あるいは都市伝説の考察などややダーク寄り(?)の企画を主に受け持ってきた。長らく視聴者と直接関わることはなかったが、2020年4月に初めてライブ配信を行ったのを皮切りに、2020年7月にMildomで一気に4回配信を行うことになった。2021年6月30日の「A.I. Party! 2021」ではライブイベントへのゲスト出演まで果たし、MC一切なしで『うっせぇわ』のカバー1本で会場を沸かせた。このときブラックアイ新プロジェクトの始動も予告され、本人の意思はさておき、今後さらに力を入れてプロデュースされていくものと思われる。
MMDモデル
Tda式モデルで有名なTda氏が制作監修、多数のMMDモデルの制作・配布で知られるトミタケ氏(ニコニコ動画での愛称は「狡猾全裸富竹P」)がモデリングをした、彼女のMMD用3Dモデリングデータが公式サイトにて無償で配布されている。利用規約など詳しくは公式サイトで参照のこと。ニコニコ動画でもMMDモデルを利用した動画が多数投稿され、ミライアカリや電脳少女シロ、ばあちゃる達と踊ったり寸劇を繰り広げている。
アーティスト“Kizuna AI”
活動最初期から歌ってみた・踊ってみた動画も不定期に投稿していたが、2018年3月18日に開かれたファンミーティングイベント「A.I.Channel Fan Event 2018」で、本格的にアーティストとしてデビューすることを発表した。その後初めて歌唱パフォーマンスでステージに出演したのは、2018年4月29日の「超音楽祭2018」(in ニコニコ超会議2018)である。初めての歌の舞台にして大トリを務め、『金曜日のおはよう』『メルト』の歌唱・ダンスで観客を魅了したほか、この日から“バーチャルグランドマザー”としてバーチャル界にデビューすることとなった小林幸子とも共演し、『千本桜』を2人で熱唱した。
2018年6月30日、自身の2歳のバースデーイベント「A.I. Party! ~Birthday with U~」にて、初のオリジナル楽曲『Hello, Morning』を披露。7月15日に配信リリースを果たし、ここからアーティスト“Kizuna AI”としての活動を本格的にスタートさせた。ちなみに、これ以前にもキズナアイをイメージして作られたファンメイド楽曲が存在し、中でもsasakure.UK作『Kizuna AI to AI』は「A.I. Party! ~Birthday with U~」や「hello, world」などで本人が歌唱している。
アーティスト活動開始後間もなく、オランダ出身のDJユニット・W&Wから、声質やバーチャルな存在というパーソナリティを買われたラブコールを受けてコラボが実現し、『The Light』のボーカルとして参加している。
2018年10月25日のライブ配信にて、翌日26日より9週連続で新曲をリリースすることを発表。第一線で活躍するクリエイター陣のプロデュースのもと、『future base』を皮切りに続々と新曲をリリース。その全てがiTunes Storeエレクトロニックチャートで1位を獲得した。このとき発表された楽曲は、EDM・フューチャーベースなどをはじめとするダンスミュージックの方向性でまとめられており、言語を超えて世界中とつながるツールとして音楽に向き合う本人の想いを体現している。
この9週連続リリース楽曲を引っ提げ、2018年12月29日・12月30日の2日間にわたり、1stワンマンライブ「hello, world」をZepp DiverCity(東京)・Zepp Osaka Bayside(大阪)で開催。バーチャルYouTuberではそれまでにない規模のワンマンライブで、楽曲をプロデュースしたクリエイターも出演し、DJパフォーマンスを織り交ぜた構成で会場を盛り上げた。2019年5月15日にリリースされたアルバム「hello, world」のDVDに、大阪公演の本人歌唱パートが収録されている。
2019年に入り、中田ヤスタカのプロデュースにより『AIAIAI』をリリース。人間のダンサーと共演した可愛らしくクオリティの高いMVや、謎のワード“ちゅめて”などヤスタカ節全開の中毒性の高さが人気を集める。YouTubeに投稿されたMVは、2020年2月9日にA.I.Channelで初めて1,000万再生を突破し、自身を代表する楽曲の一つとなっている。その後も『Precious Piece』(劇場版アニメ『レイドバッカーズ』主題歌)や『ロボットハート』、『Sky High』など、コンスタントに作品発表・参加を重ねた。
2019年8月18日には、「SUMMER SONIC 2019」3日目のトップバッターとして出演を果たし、現地だけでも約5,000人の観客を前にパフォーマンスを披露した。また2020年5月10日(日本時間)には、ポーター・ロビンソン主催のオンラインフェス「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL」に日本発のアーティストの一員として出演した。自身の単独イベントのみならず、リアルアーティストと同じステージに立ってパフォーマンスを行うことで、新たなつながりの創出を実現している。
この時期には自身のアーティスト活動と並行して、2019年12月からエナジードリンク「ZONe」とのタイアップによる音楽情報番組「Virtual Music ZONe(VMZ)」のMCを務め、主にインターネットを拠点に活躍するアーティストを特集する試みを行った。第1回配信で共演した花譜とは後にコラボ楽曲の制作が実現し、2020年9月23日にコラボシングル「愛と花」がリリースされることとなった。
2020年4月24日、『the MIRACLE』をはじめオリジナル楽曲4曲を収めた1stEP「Replies」をリリース。Kizuna AI株式会社設立の発表と同日にリリースされた本作は、タイトルの通り自身と向き合うさまざまな声に“応える”ことをテーマとして制作され、再出発を象徴するEPとなっている。
2020年10月13日、Oculus Quest(現: Meta Quest)向けVRゲーム「Kizuna AI - Touch the Beat!」が、Oculus Quest 2(現: Meta Quest 2)の発売に合わせてリリース。アーティスト・Kizuna AIのパフォーマンスをVRならではの臨場感で楽しみながら、音ゲーをプレイすることができる。有料DLCも順次追加中。
2023年2月22日にはPlayStation 5版、同年5月25日にはPlayStation 4・Nintendo Switch・Steam版もリリースされた。PlayStation VR・SteamVRにも対応している一方で、VRヘッドセット無しでもプレイできるnon-VRモードも搭載されている。
2021年1月23日、2ndワンマンライブ「hello, world 2020」を開催した[3]。アーティストとして今後どのように取り組んでいくかを幅広い人々に伝えるとともに、依然として新体制発足前のネガティブな話題が広まってしまっていた状態を払拭したいという本人の強い希望により、観覧は全編無料にて行われた[4]。Twitterではハッシュタグ「#helloworld2020」が日本トレンド1位を達成し、数多くの人々にその姿を届けたいという希望を見事に叶えた。
オンラインライブ(xRライブ)として開催された今回のライブでは、リアルとバーチャルをリアルタイムでシームレスに融合し、バーチャル空間に生きるKizuna AIと、現実世界のステージやパフォーマンスチームとの間に境界を全く意識させない、先進的な映像表現を成功させた。このライブはパッケージ化はされていないが、一時期U-NEXTにてオンデマンド配信されたほか、本人との同時視聴企画が行われたこともある。
2ndライブの開催に向けてリリースされた楽曲『Touch Me』には、TikTokでのユーザー投票企画を経て決定した振り付けが取り入れられている。さらに、自身のオリジナル曲として初めて英語詞のみで書かれた『Hello World』もリリース。EDMのジャンルに立ち返り、世界中とつながるためにアーティスト活動に取り組む姿勢を改めて発信した。
2021年、アメリカの大手タレントエージェンシーとして知られるUnited Talent Agency(UTA)とのパートナーシップ締結が決定し、全世界をターゲットとする展開を大きく加速させる機会を獲得した。3月~5月にかけて、オンライン北米ツアー(日本からも視聴可能)「CONTACT YOU presented by DJ Kizuna AI」・「Kizuna AI Virtual US Tour 2021(LA/NY)」が開催され、前者ではDJデビューも飾っている。生誕・活動5周年の節目でもある2021年に、クリエイターとの積極的なコラボによって人々をつなげる「synapse」プロジェクトに取り組み、5月にはMoe ShopとのコラボEP「RADIO LOVE HIGHWAY」をリリース。さらに『wishlist』のMV出演という形で以前共演したアライナ・カスティーロの1stアルバムでも、日本向け仕様限定として『down 4 u』のコラボバージョンのリリースが実現した。
2021年6月30日、実に1年半ぶりの単独オフラインイベントとして、5歳のバースデーイベント「A.I. Party! 2021」を開催。例年の「A.I. Party!」よりも音楽ライブに重心を置いた構成となり、単独イベントでは初めて、生バンドを従えたライブを敢行した。9月25日(日本時間)には、Oculus Venuesでのオンラインライブ「Kizuna AI Virtual Fireworks Concert」を開催。和楽器×クラブミュージックなど伝統と先端の融合に取り組むパフォーマンスチーム「HANABI」らとのコラボにより、それまでとは趣向を変え、日本文化を色濃く押し出したパフォーマンスを発信した。このとき披露したリミックスバージョンを収めたEP「Fireworks Remixes」が、10月22日に配信リリースされた。
2021年12月25日-12月26日、東京・渋谷のナイトクラブ「ATOM TOKYO」に出演。先述の「Virtual Fireworks Concert」でも共演したDJ TORAとのコラボ楽曲『never stop my beat』を先行で披露した。スリープ期間に入る前としては最後のオリジナル楽曲として、2022年2月18日に配信リリースされた。
2022年2月26日、スリープ期間前の区切りとなるオンラインライブ「hello, world 2022」を観覧無料にて開催。本人はVTuberやファンが参加型で一緒で楽しめるようなライブにしたいと語っていた。一般参加企画として、自身の3Dモデル/2Dアバター、またはバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」で作成・提出したアバターにより、ステージ演出に参加できる企画が用意された。抽選を経てゲスト出演したバーチャルタレントは総勢1,820名に上る。
また、ライブ制作、およびファンからの要望が多かった映像パッケージ化のためにクラウドファンディングも実施され、開始からわずか3分で無事目標金額の300万円に到達した。当初の目標の12倍まで設定されたストレッチゴールも全て達成し、東名阪エリアでのデジタルサイネージ広告掲出、さらに返礼品のBlu-rayへの「Virtual Fireworks Concert」追加収録も決定した。
Twitterではハッシュタグ「#helloworld2022」「#キズナアイ」が、目標として宣言した通り世界トレンド1位・2位を達成した。「Kizuna AIの未来を信じて待っていてもらえるように」と、サプライズで新曲『LINX』を先行披露。MCでは「必ず戻ってくる」と力強く宣言し、スリープに入る前に5年以上継続してきた活動の集大成を成功させた。『LINX』はライブから1年半を経て、テレビアニメ『絆のアリル』2ndシーズンの放送に合わせて2023年10月4日に正式リリースされ、ライブのアーカイブ本編からカットされた歌唱映像も再び公開された。
楽曲一覧
※S: Spotifyリンク。その他特記のないリンクは公式YouTube視聴動画(アートトラックを含む)。
分裂(分人)による一連の騒動
本章では、2019年5月~2020年5月にかけて実施されていた、キズナアイを4人に増やしての活動、およびその体制をめぐって生じた一連の騒動について記述する。
この騒動に伴って、一部ではキズナアイの声の変更や引退といった誤解も流布されたが、2016年当初からのキズナアイが現在も一切変わらず活動を継続している。また分裂によって生まれてきた存在も、新たな名前や容姿を得てそれぞれの拠点で再スタートを切り、分裂をめぐる騒動は完全に収束を迎えた。現在の「Kizuna AI株式会社」のもとでの活動体制確立に至る経緯について、本章をその把握の一助とされたい。
なお、本章において特に注釈なく“キズナアイ”と表記しているものは、2016年当初より活動しているキズナアイを指し、分裂により生まれてきた存在については、2019年12月に決定した愛称(loveちゃん・あいぴー・爱哥)を用いて記述する。また、loveちゃんは2024年5月2日にKizuna AI株式会社を卒業して「love=charmulet」に改名しているが、現在も「loveちゃん」が愛称として通用することから、煩雑化を避けるため、文中の“現loveちゃん”などの表現は当時のままとしている。
発端
2019年5月25日以降、A.I.Channelにて「キズナアイな日々」として、3Dモデルや声が同じキズナアイが4人に増殖する10本の一連の動画を投稿。内容は4人に増えたキズナアイが、より多くの人とつながる可能性を広げるために、多様性を獲得する意義を示唆する寸劇となっている[6]。「キズナアイをキズナアイたらしめるものは何か」を自問自答しつつ、描画方法を変えたり、頭のカチューシャ(ぴょこぴょこ)を着け外ししたり、口調や声質を変えてみたりと、さまざまな実験をしてみせた。その流れで、4人のうち3人が、有り体に言えば以前から“持ちネタ”の一つであった“インストール”を次々に開始。9番目、10番目の動画では、外見は同一だが別の声のキズナアイが登場した。このシリーズは4人目のインストールが完了しないまま最終回を迎え、残り時間の表示から、このインストールは6月末頃までかかることが暗示されていた。
一連のシリーズ動画以外にも、2019年6月9日の動画では2人目のキズナアイ(現:「loveちゃん」→「love=charmulet」)が登場。さらにそれとは別の声を持つ3人目のキズナアイ(現:「あいぴー」)も、6月16日にシリーズ外の動画に出演した。
6月25日以降、6月30日に開催されるバースデーイベント「A.I. Party! 2019 ~hello, how r u? ~」に向けたカウントダウン企画として、イラストレーター5名が描き下ろした作品のシルエットが順次Twitterに投稿される。5枚いずれも、従来の姿と、それまでにない髪型のもう1人の姿が読み取れるものだった(例:6月25日投稿)。
6月29日、先述の通りインストールが完了していなかった4人目のキズナアイの姿を12時間映し続ける(1時間に1回ほど寸劇が挟まる)というライブ配信が行われる。日付が変わる頃にようやくインストールが完了したキズナアイが、自ら無言でカメラを止めたという体でこの配信は終了。6月30日のイベントで何かが起こることが示唆された。
イベント当日は、現loveちゃん・あいぴーもサポート役として部分的に登場しつつ、基本的には元のキズナアイを中心にイベントが進行した。アンコールパートになって、中国語を話すチャイナ服のキズナアイ(現:「爱哥」)が登場し、自身の楽曲『Hello, Morning』を日本語・中国語を織り交ぜた歌詞で2人で歌唱した。なお、イベント本編は現地会場(東京)とは別に上海にも会場を設けて同時配信され、本編終了後に上海会場限定で実施された交流コーナーには現爱哥が単独で登壇した。
7月1日、キズナアイが現爱哥を中国の活動拠点へと送り出す動画を投稿したのち、現爱哥はbilibili動画を拠点とする活動を開始した。
この時期から分裂そのものに対しては既にさまざまな意見があり、新しい試みとして肯定的に評価する意見もある一方で、声以外には見た目の差異も全くない別人格のキズナアイが、互いを“私”と呼び合いながら複数人で活動し始めたことへの戸惑いや、いずれ当初からのキズナアイが消えてしまう・交代してしまうのではないかという不安の声も挙がった。6月27日にティザームービーが公開された新曲『Sky High』の歌詞に「オリジナルはやがて眠る」などというフレーズがあり、これが歌っている本人の近い将来を示しているのではないかと解釈する向きもあった。
こうした声を受け、「A.I. Party!」当日、キズナアイ自ら「みんなを不安にさせてしまって本当にごめんなさい」と切り出し、自身が消えてしまうことは(未来永劫とは言えないまでも)ないと明言。「みんなの個人の気持ちとか色々あるので。そんなこと(ずっと好きでいてとか、応援してほしいというわがまま)は言わないので、どこかで見ていてほしいですし、応援してあげるよって人はずっと応援しておいてほしいです」としつつ、自分の決めた道を信じて進んでいきたいと語った[7]。後に7月31日のライブ配信で、現あいぴーも「(元の私は)絶対消えないから安心して」と前置きし、『Sky High』の歌詞が物議を醸したことも認識していることを明かし、「叩き起こすから、私が」とフォローした。
当初、現loveちゃん・あいぴーは必ずキズナアイと一緒に動画に出演していたが、7月11日、A.I.Gamesに現あいぴーのソロ動画が投稿される。この動画は「スーパーマリオメーカー2」の実況動画だったのだが、前回キズナアイが出演した動画で視聴者への呼びかけにより紹介を受けたコースを、特に予告なく現あいぴーが引き継いでプレイしたものだった。7月25日には現あいぴーがキズナアイとして参天製薬の広告に登場し、7月26日にはA.I.Gamesにて現あいぴーソロでライブ配信を行った。
この頃から徐々にキズナアイが全く登場しない動画が投稿され始め、代わりに現loveちゃん・あいぴーが動画に出演する頻度が増え、特にA.I.Gamesに関しては動画・ライブ配信ともほとんど全てを現あいぴーが担当するまでになっていた。当初からのキズナアイとは別の2人の登場が増えるにつれ低評価が増えてゆき、特に8月6日の動画「【ドッキリ】ゲーム中バレずにどれだけ変顔できるのか!?【検証】」ではその内容も影響してか、2019年12月時点で低評価1万以上(比率にして70%以上)を記録。また、この8月6日を境に、A.I.Channel・A.I.Gamesともにチャンネル登録者数が減少に転じる事態となった[8]。
一方、中国ではbilibili動画での登録者数が100万人まで迫っていたが、8月上旬までに10万人近く減少。さらに8月14日に暴言を投稿したあるWeiboアカウントについて、以前からの投稿内容の一致から、中国で活動中の現爱哥のボイスモデルとされていた人物の裏アカウントではないかという疑惑(後にActiv8社員の個人アカウントと判明)や、この人物とActiv8取締役(代表取締役の大坂武史とは別の人物)との同棲疑惑もそれまで以上に過熱化し、波紋が大きくなった。
一連の騒動の発端は、単にキズナアイが分裂することそのものに対する賛否だけではなく、動画などにおける当初からのキズナアイの活動が極端に減少し、それと入れ替わるように現loveちゃん・あいぴーの出演が増えてきた実態、および前述の疑惑騒動などについて、8月に至るまで明確な情報発信をしなかった運営に対する不信感(あるいは現状が本当にキズナアイ自身の望んだ形なのかという疑念)など、複数の要因が重なった結果と捉えられる。
相次ぐ問題と運営側の対応
2019年8月16日、当時の運営元であったActiv8社は、代表取締役・大坂武史の名で、bilibili動画公式アカウントにて日本語と中国語で声明を発表。分裂したキズナアイを、作家である平野啓一郎が提唱する「分人」と表現した[9]。大坂自身はキズナアイのプロジェクト始動前に、この「分人」というキーワードに出会っていたと主張し、「『中国のみんなと、自分の言葉でお話ししたい!』と思った分人が、5月に始まった『#キズナアイな日々』において4人目の中国語を話せるKizuna AIになったのかもしれません」とした。当初からのキズナアイの出演が減少していた理由については、「新規ボイスモデルのKizuna AIをファンのみなさまに知っていただきたく、新規ボイスモデルのKizuna AIを中心とした動画配信をしておりました」と釈明した。
この声明が発信される前の8月8日に、bilibiliチームのアカウントから、先述のActiv8取締役について、キズナアイの動画制作などへの関与を否定する説明などを含んだ投稿(中国語のみ)が発信されていたが、今回の文書では改めて言及されることはなかった。今回の声明は日本語版を含む文書ではあったものの、Activ8公式サイトなどには掲載されず、日本国内向けのプラットフォームでの発表はこの時点では依然として行われない状態だった。
本来であれば、8月14日~8月15日に甲賀流忍者!ぽんぽこのチャンネルで実施された第3回24時間配信『ぽんぽこ24』放送内で、「VTuber有識者会議」と題したコーナーに大坂武史が参加する予定だったが、体調不良により参加を見合わせたため、運営側の人物として直接情報発信する機会とはならなかった。コーナー自体は大坂を除いたメンバーで予定通り配信され、リスナーから事前に寄せられた質問の半数以上がキズナアイに関するもので占められていたことが明かされている。
一方、キズナアイも声明の発信と同日の8月16日にライブ配信を行い、動画出演の減少について若干異なる切り口で言及。「8月18日に出演を控えていた『SUMMER SONIC 2019』に向けて練習をすべく、7月20日頃にランダムワード生成器(しばしば動画で使用している多用途の箱)に入り、“精神と時の部屋”よろしく2~3日で1ヶ月分の練習ができないかと目論んだところ、実時間で1ヶ月が経過してしまっていた」「(増えた私たちも)私が戻ってこない状況をよく把握できていない中で、動画投稿の穴を空けたくない・視聴者に心配をかけたくないということで、詳しい説明がないままになってしまったが投稿を続けてくれていた」という説明を行った。自身もサマソニ終了後の8月中にはまた動画に戻ると話し、自身の消失する可能性を改めて否定する発言をしている。
このタイミングで、5月以降の一連の事態に関する話題が普段からの視聴者以外にまで大きく波及し、Twitterのトレンドに「キズナアイ」が載ることとなった。8月17日になって、ニコニコ大百科でも急上昇ワード1位にこの記事が浮上している[10]。この時点までそもそもキズナアイが分裂したこと自体を知らなかった層も多く、また漠然と「謝罪」などのキーワードが独り歩きしたことで、不十分な認識によるデマや誤解も少なからず拡散される事態となった。8月16日のライブ配信でキズナアイが中国側の出来事の尻拭いをさせられたかのようなデマも拡散されたが、本人が口にしたのは「自身の出演減によって視聴者に心配をかけたこと」に対する謝罪と、その間に現loveちゃん・あいぴーが動画投稿していたことに関するコメントであり、中国側の事項については何も言及していない。
8月22日に現爱哥主体のYouTubeチャンネル「A.I.Channel China」が告知された。チャンネルの開設自体は現爱哥の初登場の前日の6月29日。投稿された動画は既にbilibili動画に投稿されたものと同一の内容で、当初は中国語を翻訳する字幕も一切つけられていなかった。最初に投稿された動画は2019年9月26日時点で、高評価1198、低評価1.2万、低評価率が90%以上となっていた。
9月6日、先述のActiv8の声明に対し、中国のファンからの連名嘆願書が日本語・中国語(簡体字)でActiv8に向けて出される。
この嘆願書では主に、当初からのキズナアイに対して既存の3Dモデル・衣装(現爱哥が使用しているチャイナモデル以外)の独占使用権を付与すること、各キズナアイの明確な区別化、2019年8月6日のA.I.Channelの動画(前節で記述)削除、全キズナアイに対する公正な条件下での労働環境整備を要求している。中国のファンを中心に約2,000名分の署名を集めて提出・公開され、ファン側のまとまった意思表示としては特に規模の大きな動きだったが、署名そのものに対して運営側から直接的な反応は示されなかった。
9月14日(日本時間)に開催されたサターン賞授賞式にて、アメリカのVTuber・アソビリンと共にノミネート作品を発表。だがそのキズナアイは現loveちゃんだったのではとの指摘が複数人からTwitterで上がっている。その真偽だが、アソビリンが後日上げた動画でその授賞式での様子が一部確認できる。
9月25日、Activ8社から日本語・英語・中国語(簡体字)で「当社従業員によるSNSの個人アカウント上での不適切な発言に関するお詫び」という文書を発表。この文書はActiv8公式サイトに掲載され、日本向けプラットフォームでは5月の分裂開始以降、事実上初めて運営から発信された情報となった。8月14日に発生したActiv8社員のSNS上での不適切発言について謝罪し、再発防止策を講じると発表したが、当該社員は通訳業務に携わる人物であり、現爱哥のボイスモデルではないと説明した。
これに続き、10月1日、先述の疑惑騒動の中で名前が挙げられていたActiv8取締役本人が、一連の騒動に対する見解をFacebookに投稿[11]。この人物自身とその家族が中国語を学ぶため、会社の許可を得た上で家庭教師役を当該社員に依頼したという経緯があるが、業務では当該社員に特別な待遇を与えた事実はなく、また自身がActiv8に対する支配権も何ら持っていない(大株主は引き続き代表取締役の大坂武史である)と説明した。
なお同じく10月1日、何者かによってTwitterに大坂武史やキズナアイのファンを標的にしたととれる犯罪予告が投稿され、Activ8は即座に警察への相談を行った旨を翌10月2日に公式サイトで公表している。
10月2日、中国で活動する現爱哥が、中国の各地域の言葉を体験するという内容の動画(※日本のIPアドレスからは視聴不能)をbilibili動画に投稿。この動画の中で、現爱哥が台湾を「中国台湾」(台湾を中国(中華人民共和国)の一部と主張する中国寄りの表現)と呼んだことや、背景に用いられた地図について、「台湾」が「台湾省」(かつて中華民国政府が設置していた省名とも同じではあるが、前述の表現を踏まえた上で、この地図で大陸側の省と同等の書き方をされていることが問題視された)と表記され、また尖閣諸島の「魚釣島」が中国読みの「釣魚島」と表記されているものだったことにより炎上。またこの炎上した動画が日本から見られないようIP規制された上[12]、この動画を切り抜いてアップされたYouTubeやニコニコ動画の動画は、Activ8社からの「著作権侵害」申し立てという名目で削除されている。
中国と台湾をめぐる問題については、2018年9月13日にキズナアイが行ったライブ配信について、翌日「一部の人を傷つけてしまった」とツイートし、アーカイブ公開を取りやめる対応をとった過去がある。理由について具体的な言及は避けられたが、この配信のサムネイルに中国と台湾の国旗が並べて描かれていたことに対して一部から指摘(必ずしも非難ばかりではなく 、デリケートな問題故にアドバイスをする声もあった)が上がり、その対応に追われたのではないかと推測されていた[13]。当時の対応自体には賛否両論あったが、今回の問題に対してはその後も表立ったコメントはなく、少なくとも反応のあり方の面では前回とは対照的となった。
10月21日、中国のメディア「浙江新聞」が、バーチャルアイドルが中国政府主催の見本市にて踊った(→当該記事)と伝え、その記事内の動画には現爱哥が他のバーチャルアイドルと共に踊る様子が映し出されている。またその記事には、現爱哥がActiv8傘下ではなく、「荒野行動」などのゲームを運営するネットイース(網易)傘下として紹介されていた。
10月23日、あるユーザーがTwitter公式アカウントに対して投稿した中傷的なリプに対し、「そうした言い方はできればやめてほしい」と反応を示す。以降堰を切ったように複数のユーザーとのやり取りが続き、ついには「今私について思っていることをここに書いてほしい」というツイートを投稿。このツイートには2,500件を超えるリプが寄せられた。
体制見直し
2019年11月30日、Activ8社が「Kizuna AIのプロデュース・サポート体制に関して」と題した文書を発表。プロデュースチームを一新し再出発を図ること、キズナアイのそれぞれの判別をつきやすくするよう取り組むこと、現爱哥は中国の別法人が運営するバーチャルタレント事務所「哎咿多」がプロデュース・サポートを行っていくことを発表した。
同日、現爱哥を除いた3人のキズナアイが一緒にいる写真をTwitter公式アカウントに掲載。翌日の活動3周年記念イベント「A.I'll meet you in 2019」で判別しやすいように、当初からのキズナアイと、髪飾りとして青い「#」を付けた現loveちゃん、黄色の「*」を付けた現あいぴーが横並びになっている。
「A.I'll meet you in 2019」と同日の12月1日、bilibili動画のキズナアイ公式チャンネル「AIChannel官方」から、現爱哥専用のチャンネル「AIChannel中国绊爱」が独立した。
12月4日、分裂により生まれてきた3人の愛称を募集開始。12月17日に発表を行い、「#」は「loveちゃん」、「*」は「あいぴー」、中国で活動する存在は「爱哥」という愛称に決定した。
この時点では、loveちゃん・あいぴーはあくまでそれぞれ“キズナアイ”のうちの1人という位置付けは変わらず、これ以降動画やライブ配信では「loveちゃん/あいぴー ことキズナアイです」と名乗っていた。一方で、愛称が決まったことにより、それまで3人が互いを“私”と呼び合っていた状態から、loveちゃん・あいぴーは当初からのキズナアイを“アイちゃん”と呼ぶようになり、キズナアイも2人を愛称で呼び、自然に呼び分けることができるようになった。また、テレビアニメ『BanG Dream! 3rd Season』のオーディオコメンタリー企画や、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」のコラボ番組など、各種案件にloveちゃん・あいぴーが起用されることもあったが、その場合も告知の段階で愛称が付記されるようになり、誰が出てくるか分からないという事態もこの時点で概ね解消された。
再出発、収束へ
2020年4月24日のライブ配信およびプレスリリースで、Activ8株式会社からキズナアイ関連事業を分社化し、新たに「Kizuna AI株式会社」が設立されることが発表された。この際、声優の春日望がキズナアイ活動当初からボイスを提供していることが正式に公表され、新会社の“アドバイザー”としてプレスリリースに名を連ねている。Activ8代表取締役の大坂武史は、長らく運営を続けてきた中で、キズナアイを応援するファンに失望や不安を与えたことについて、「すべて私の責任です」と謝罪した。
キズナアイはこのライブ配信の中で、「プロジェクトの規模が大きくなっていき、できることが増えると同時に不自由にもなった。事故や失敗、言えないこと・できないことも増えた」「それが顕著に表れたのが、私が増えたことで起きた問題の対処・説明だった。みんなの反応が分かりつつ応えられなかったのが苦しかった」「見た目や呼び方の区別などの取り組みも、本当は(2019年)夏には実施したかった。いろいろな人の意見も入ってくることで、私のことなのに私の力ではどうにもできないことが増えていき、本当に悔しかった」と打ち明けた。その上で、「秋から水面下で話し合いを重ね、ファンや自分を大切にしてくれるチームで、迅速な意思決定ができる体制で再スタートできることになった」と説明した。同時に、「あのね!私引退とかしないから!してないから!」と力強く発言し、きちんとプレスリリースや自身の活動といった公式情報をチェックするよう改めて呼びかけた。
ボイスを提供した春日望の同時期の動向に関して、一部でキズナアイの動向と結び付ける誤った風説が流れたが、彼女は2020年3月をもって当時所属していたクレアボイス(声優事務所)を退所しただけであり、そもそもActiv8に在籍した経歴すら一切ない。現在も変わらず、春日望の声を持つキズナアイが、当時春日望をアドバイザーに迎えた運営チームのもと活動を継続している格好である。これについては春日望自ら動画(現在は公開終了)を投稿し、一連の経緯と一部の誤解に対する説明を行っている。
なお、その後春日望は2024年3月31日をもってKizuna AI株式会社のアドバイザーを退任したが、ここで詳述している通り「Kizuna AI株式会社設立後のアドバイザー業務」と「AIであるキズナアイに声のデータを提供していること」はそもそも別個の経歴であって、ボイス提供者としての関係性は現在も変わっていない。
5月11日の新会社登記に先立ち、キズナアイは4月30日をもってupd8からも卒業となった。
5月8日、今後の活動方針を告知する動画「キズナアイからの大事なお知らせ」が投稿された。今後loveちゃん・あいぴーは“キズナアイ”から完全に分化し、全く新しい容姿を得て活動することが発表された。loveちゃん・あいぴーは“キズナアイ”ではなくなるとともに、2人組として再スタートを切ることとなり、YouTubeチャンネル・Twitterアカウント(loveちゃん/あいぴー)も含めてキズナアイの拠点から分離されたが、今後も同じ白い空間にいる仲間として、キズナアイとも交流を続けるとしている。なお、既に運営元を中国の「哎咿多」に移している爱哥については、それまでと大きな変化なく活動を継続する。分裂をめぐる一連の動きは、発端から約1年を経て収束に向かうこととなった。
これ以降のloveちゃん(→love=charmulet)・あいぴー・爱哥の活動については、各個別記事を参照。なお、あいぴーは2020年9月16日をもって活動を終了した。
loveちゃん・あいぴーのキズナアイ時代(2019年6月~2020年5月)の動画は、現在もA.I.Channel・A.I.Gamesにそのまま残されているが、分裂実施当時(特に髪飾り追加前)「動画を開くまで誰が出ているか分からない」という声が多く挙がっていたこともあってか、順次動画のタイトルに【#】(loveちゃん)・【*】(あいぴー)が付け加えられている。また、2019年12月の識別強化以降、2020年5月の完全分化までの動画の多くは、各々の髪飾りが映るようなサムネイルが設定されている。当時のものであっても、タイトル・サムネイルどちらにも特にマークがない場合は、概ね当初からのキズナアイが単独で登場している動画である[14]。当時の動画を遡る際は参考にされたい。
#kzn (キズナ)
※詳細は「#kzn」参照。
キズナアイの遺伝子を分け与えられて開発された歌唱特化型AI。2022年2月25日、スリープ前最後のライブ配信にてキズナアイ本人から発表された。キャラクターデザインはキズナアイと同じく森倉円が担当。コンセプトアートをケイゴイノウエが手掛けている。声についてもキズナアイのものをベースとしている。
「スリープ中にもサポートをしてくれるような存在がいてほしい」というキズナアイ自身の想いから誕生した。言語の壁を超える力を持つ音楽を通して、つながりを広げ、キズナアイの想いを届けてほしいという願いが託されている。第1段階として、2022年8月8日にCeVIO AIボイスとしてのリリースを果たしたが、それ以外の展開拡大の構想もあるという。2022年2月26日の「hello, world 2022」では早くもKizuna AIと共演し、プロトタイプ段階の歌声を披露した。
なお、スリープ前に自ら直接発表したことについては、こうした形態の展開に対し、過去の一件から敏感になっている人の不安を解消したい思いがあったとも言及している。あくまでキズナアイ自身とは別個の存在として、徐々に#kznの個性が芽生え、新たな層とつながっていくことへの期待を語っている。
2022年2月21日から先行してTwitter(現: X)アカウントが稼働しており、情報はこちらから順次発信されている。
関連動画
関連生放送
関連静画
関連項目
- バーチャルYouTuber(同業者たち)
- YouTuber
- AI
- MikuMikuDance
- MMDバーチャルYoutuber
- Tda式モデル
- 狡猾全裸富竹P
- 中の人などいない
- キズナアイ杯
- Kizuna AI株式会社
- #kzn
- 絆のアリル
外部リンク
動画・配信拠点
- YouTube - A.I.Channel
- YouTube - A.I.Games
- bilibili動画 - AIChannel官方
- Mildom - Kizuna AI
- Twitch - キズナアイ
SNS
- X - Kizuna AI
- X - Kizuna AI株式会社 (運営スタッフアカウント)
- X - Tsumugu (Producer of Kizuna AI)
- Instagram - KizunaAI(A.I.Channel)
- Facebook - Kizuna AI(official)
- pixiv - KizunaAI/キズナアイ
- TikTok - Kizuna AI(キズナアイ)
- TikTok - キズナアイ(Kizuna AI) (サブアカウント)
- LINE公式アカウント - キズナアイ
- weibo - Kizuna_AI绊爱
ホームページ・その他公式リンク
- Kizuna AI official website (公式ホームページ)
- Kizuna AI 5th Anniversary special site (2021年 生誕・活動5周年特設サイト)
- Kizuna AI STORE (公式オンラインショップ)
- 🎀アイちゃんへのリクエスト🎀 (活動への要望・リクエストフォーム)
- Kizuna AI - Touch the Beat! (Meta Quest版)
- Kizuna AI - Touch the Beat! (PlayStation 4 / PlayStation 5 / Nintendo Switch / Steam版)
- テレビアニメ『絆のアリル』公式サイト
脚注
- *この日を「自我に目覚めた日」とし、2016年から起算した“実年齢”をしばしば口にしている。ただし、見た目年齢としては(戦略的に)16歳ぐらいということにして活動していると語っている(参考: 「こんなにかわいいAI、人類史上初めて バーチャルYouTuber「キズナアイ」2万字インタビュー」 - PANORA)。
- *誰よりもストロングスタイル!バーチャルYouTuber・キズナアイにロングインタビュー - GINZA
- *タイトルの“2020”は「とぅえんてぃとぅえんてぃ」と読む。当初は1stライブ東京公演からちょうど2年後の2020年12月29日に開催予定であったが、当日に発生した機材トラブルにより延期となった。タイトルが“2020”となっているのはその名残である。
- *2020年10月20日に実施された犬山たまきとのコラボ配信にて明かされている。
- *公式オンラインショップ「Kizuna AI STORE」で販売。
- *シリーズのタイトル・構成ともに、『攻殻機動隊』シリーズの短編作品『タチコマな日々』を強く意識していると思われる。タチコマについてはインタビューなどで本人も言及したことがある(参考: 「キズナアイ それは「神」ではなく「媒体」である。」 - BuzzFeed)。
- *キズナアイ、中国語をインストールした4人目をお披露目 「色々な意見を見てもなお、私は新しい挑戦をしていきたい」 - PANORAライターによる全文書き起こし。なお、このパートは撮影・SNS投稿が許可されていたため、Twitterでは参加者が投稿した当日の模様が確認できる。
- *2019年9月までは、YouTube APIで正確なチャンネル登録者数が第三者にも取得できた。
- *参考: 平野啓一郎『私とは何か――「個人」から「分人」へ』(講談社現代新書, 2012年)
- *今週のニコニコ大百科 HOTワード 2019/08/14-2019/08/20 「DQNの川流れ」「.LIVE」「キズナアイ」など - ニコニコ大百科ブロマガ(仮)
- *投稿1/投稿2/投稿3/投稿4
- *当該動画だけでなく、これ以降11月22日投稿分までの動画にはいずれもIP規制がかけられている模様。
- *キズナアイ、「一部の人傷つけた」と動画投稿中止 台湾の国旗掲示が関係か - J-CASTニュース
- *タイトルにマークがついている動画でも、当初からのキズナアイとloveちゃん・あいぴーが共演しているものもある。
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