阪神競馬場とは、JRA(日本中央競馬会)が所有・管理する日本の競馬場である。
概要・沿革
- 所在地:〒665-0053 兵庫県宝塚市駒の町1-1
- アクセス:阪神今津線 仁川駅 徒歩5分※専用地下道
- 入場料:200円(GⅠ開催日は500円 / パークウインズ時は無料)
- 開催GⅠ競走:大阪杯、桜花賞、宝塚記念、阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティステークス
1907年に兵庫県武庫郡鳴尾村の鳴尾川河口西岸(現・西宮市枝川町付近)に開場した「関西競馬場」を前身とする。1910年に、鳴尾川河口東岸(現・西宮市高須町付近)に存在した鳴尾速歩競馬場を閉鎖・統合し、「鳴尾競馬場」に改称。1937年の日本競馬会(JRAの前身)発足と共に現在の「阪神競馬場」へ改称される。
1943年、空襲で被災した川西航空機の工場跡地に移転し、現在の立地となる。開場当初はかなり苦しい経営が続いており、場内には戦災の瓦礫が放置され、中々に殺風景だったという。工場の名残は隣接する新明和工業の工場から伺える。
1986年にターフビジョンを導入。1990~1991年にスタンドの全面建て替えを行い現在の姿となる。2000年には新明和工業の敷地縮小に伴い、跡地を敷地内に加える。2006年にはこの追加敷地に外回りコースを追加するなどの大改修を行い、2009年にはターフビジョンが改修された。
2023からスタンドの改修工事を行い、2024夏~2025年春にかけての休催を挟み、「シン・阪神競馬場」としてリニューアルオープンしている。
過去のトピックス
1955年までは競馬場を建設した民間会社・京阪神ビルディングが施設の運営管理を行っていた。2023年現在では、民間企業が中央競馬が開催される競馬場の施設管理を行っている例は中京競馬場のみである。
阪神大賞典は正賞の1つが「京阪神ビルディング株式会社賞」であったりする。
1992年にアメリカのアーリントン競馬場と姉妹提携を行い、ペガサスステークス(GⅢ)から変更されたアーリントンカップ(GⅢ)が開催されるようになった。アーリントン競馬場でも阪神カップ(Hanshin Cup)(GⅢ)が開催されていたが、2021年に同競馬場は廃止・閉鎖。その後はチャーチルダウンズ競馬場において阪神ステークス(Hanshin Stakes)(L)が開催されており、2025年からは阪神競馬場でもアーリントンカップがチャーチルダウンズカップに改称され開催されている。
1995年の阪神大震災では、ダート馬場がひび割れ、パドック支柱も倒れる被害を受ける。厩舎区画を避難所として利用しつつ懸命の復旧作業が行われ、その年の阪神3歳牝馬ステークス開催週から競馬開催を再開している。
2008年から2013年まではジャパンカップダートの開催地であった。2014年以降はチャンピオンズカップに変更して中京競馬場に移動している。
施設案内
メインスタンド・パドック
- メインスタンド - 一棟式6階建て。コース側の2階から6階までは前面ガラス張りとなっている。中央部に観客席・パドックを繋ぐ複層構造のコンコースがあり、ここを境に東・西ウイングに分かれる。東スタンド3階のトイレはパウダールーム完備の「ラグジュアリートイレ」になっている。
- 各指定席 - 4階以上は指定席券が必要な専用エリアとなり、5階以上からは馬主・報道関係者専用エリアも存在する。2025年改修によって席数と馬券販売機の数を減らし、4~6名程度の「グループソファ」、16名定員の半個室型「グループルーム」、4人掛けテーブル20卓が集まった「グループラウンジ」、ネット喫茶みたいな完全個室型の「シングルブース」、半個室ブースの「プライベートシート」など、多彩なニーズに対応した指定席を導入している。
- 土産物屋・ターフィーショップ - 吹き抜け部1階と西ウイング2階に存在。西ウイング店はぬいぐるみ「アイドルホース」専売店。
- ROKKO VISTA - 西ウイング3階。カクテル販売店の隣に存在するイベントエリア。ガラス窓からは六甲山と住宅地を見渡せる。
- UMAJO SPOT - 女性専用休憩エリア。西ウイング3階、ROKKO VISTAの隣に存在。
- キッズゾーン - 東ウイング1階にはキッズ飲食エリアに加え、長さ約35メートルの屋内アスレチックエリアと、遊具メーカーのボーネルンド社がプロデュースする完全入れ替え制プレイゾーン「あそび馬!」が存在。あそび馬の利用は競馬場専用アプリからの事前申し込みが必要。
- 各指定席 - 4階以上は指定席券が必要な専用エリアとなり、5階以上からは馬主・報道関係者専用エリアも存在する。2025年改修によって席数と馬券販売機の数を減らし、4~6名程度の「グループソファ」、16名定員の半個室型「グループルーム」、4人掛けテーブル20卓が集まった「グループラウンジ」、ネット喫茶みたいな完全個室型の「シングルブース」、半個室ブースの「プライベートシート」など、多彩なニーズに対応した指定席を導入している。
- パドック(下見所) - 正門から入場すると最初にたどり着く区画で、阪神競馬場の象徴。
- 支柱式の屋根が特徴の半屋内式で、他競馬場にはない独特の感覚がある。一方で午後のレースでは逆光のため馬体が影になることが多く、更に周回路が狭いため出走馬を近くで観られるスペースは小さいという難点もある。トークショー会場としても利用されるが、設置スピーカーが少ないので場所取りには気を遣う。
- 屋根によって音が反響するため、観覧時は他場以上に静粛に。2歳馬戦・新馬戦では反響する館内放送に動じない馬を見定めるのもポイント。
- 電光掲示板は長らく電球型が用いられていたが、2025年改修時に他場に合わせた液晶型に移行。見やすさは改善されたが、見た目は改修前よりショボくなった。
- パドック側は階段状の積層構造になっており、各階でフードコートやレストランが営業している。屋根のため陽が当たらず、六甲山から吹く六甲おろしで夏も涼しい。お察しの通り冬場は結構キツイ。
屋外施設
- 阪急仁川駅・臨時改札口 - 厳密には競馬場敷地ではないが掲載。競馬開催日に解放される約230mの地下トンネルで、悪天候時にも楽に入場できる。2001年開通。
壁面には競馬イラストレーター・おがわじゅりのGⅠホースイラストや、名シーンハイライトの壁面プリントが掲示され、テーマパークさながらの気分に浸ることが出来る。 - サンライトウォーク - 臨時改札トンネルから直結する正門までの屋根付き通路。南側の壁面には「阪神競馬場重賞列伝」と題した、印象的な名馬の記録ボードが飾られている。
- イベント広場 - パドックの東側に広がるコンクリ敷の広場。キッチンカーの出店や、物産展などの特設企画が行われる。南端には各競馬場に祀られる馬頭観音像と、2024年4月にこの地で殉職した藤岡康太騎手を偲ぶ石碑とベニユタカの樹が存在する。
- セントウルガーデン - イベント広場の東側に広がる公園区画。シンボルのセントウル像のほか、巨大噴水と花壇が広がる。周辺にこの規模の公園施設がないこともあって、開催日は多数の親子連れで賑わう。
東端には旧イベントステージと、ポニー乗馬エリアが存在する。 - キッズガーデン - セントウルガーデン南の児童公園区画。ふわふわドームや大型アスレチックに加え、ミニ新幹線も運行されている。屋根付きの新イベントステージではヒーローショーも行われる。
- スカイガーデン - セントウルガーデン北・内回りコース最終直線入口沿いに広がる芝生広場。競馬開催日は多数のピクニック客で埋め尽くされる。
- さくらテラス - スカイガーデン内に存在する建物。UMACA投票専用スポット。屋上のテラスは自由解放されている。
グルメガイド
関西故かグルメスポットは豊富。2025年改修で一部テナントの入れ替えがあり、テナントの総数は減ってしまったが、代わりに券売機エリアを潰して居住性を高めている。
- 東ウイング1階フードコート - 立食型コートだが、壁を一枚挟めば着座できるスポットもある。名物店「宝塚カレー」を始め丼ものが豊富だが「うまか洋麺店」でパスタという選択肢もアリ。大手チェーン店では吉野家・KASUYA・築地銀だこが出店。
- 東ウイング2階フードコート - パドックから一番近い着席型コート。焼きたてパン&カフェ「Paddock side cafe」と西宮のローカルチェーン「宮っ子ラーメン」の2店が出店。
- 西ウイング2階フードコート - 立食型コート。名物・肉吸いご飯を擁する「ホルモン人」や特大若鳥からあげが名物の「ふうりん(旧・楓林)」などが入居。東1階に比べて渋い店舗が揃っている。
- 東ウイング3階外・グルメストリート - パドック側の屋外エリアで、開催毎に出店が変わる。4テナント分のブースが存在する。
- 西ウイング3階・ROKKO VISTA - ソフトクリームと「枠順カクテル」を提供している。
- 西ウイング3階外・UMAJO STAND - 限定お菓子を販売している。男性も利用可。
- 4階レストラン - 西ウイングに洋食店「ミュンヘン」、東ウイングに「とんかついなば和幸」が開店。
その他、各所にて売店が営業中。
コースの特徴
1・2コーナーと3・4コーナーの半径が大きく異なる、国内では珍しいおむすび型のコースとなっている。
- 芝・内回り: 1689m(直線356.5m)…3・4コーナーからゆるやかな下り坂が続くのに対し、残り200m付近から一転して急な上り坂になる。
- 芝・外回り: 2089m(直線473.6m)
- ダート: 1517.6m(直線352.5m)
- 障害: 1366.7m
2006年12月から芝の外回りコースが使用されているが、その内回りと外回りの結び目付近には小さな川が流れており、2度橋を渡るような形になっている(後述のリンクでも参照可能)。またAコース使用時の外回り1周の距離2089mは、2013年現在右回りの競馬場では最長で、これは東京競馬場の1周2083.1mよりもわずかながら長い。
また阪神競馬場の内回りの町名は宝塚市駒の町で増設した外回りは宝塚市新明和町となっている。
(これはこの土地にあった新明和工場から由来し町名が付けられ、その跡地に外回りコースが作られたため)
芝1600m
内回りコースしかない時代、芝1600mのスタート地点は1コーナーのポケット(カーブ途中からはみ出した直線)であった。スタート直後に2コーナーに差し掛かるため、内枠と外枠の有利不利、外枠の馬が内に押し寄せる危険があった。
G1である桜花賞、阪神ジュベナイルフィリーズはいずれもこの距離で行われるため、有力馬が外枠に入った際などは不安要素として挙げられることもしばしばあった。
改修後は外回りコースで、向正面の中間地点からのスタートとなったため以前ほどの枠による有利不利はなくなった。なお、現在この地点は厩舎区画となっているが、航空写真から名残が確認出来る他、スタート地点であったことを示す記念碑が建てられている(通常は関係者専用区域なので非公開だが、厩舎区画ツアーなどで見学することができる。)。
芝3200m
基本的に阪神の芝長距離レース(平地)は3000m(阪神大賞典)のみで、3200mは開催しない。
ただし、京都競馬場が整備工事の際は阪神で芝3200mのレースが開催される。
内回りコースしか無い時代、スタート地点は芝1600m同様1コーナーのポケットであるが、芝1600mの時よりも更に短い。とはいえ、長距離戦で内枠と外枠の有利不利はそこまで大きくなく、1994年の天皇賞(春)では大外11番のビワハヤヒデが勝利している。
改修後は向正面からのスタートとなり、1週目は外回り、2週目は内回りのコーナーを通過する変則的なコースとなっている。
そして、出走馬が外回りコースを通過すると同時に物陰に潜んでいたスタッフが一斉に出動。内回りに設けられた仮柵を外回りに設置することで内回りコースを開放している様子が動画から見てわかるだろう。この間僅か47秒。コース変更を終えたスタッフは再び物陰に潜み、2週目の馬群が内回りコースを通過するのを見守るのだった。
開催されたのは2021年と2022年、いずれも松嶺S(3勝クラス)と天皇賞(春)の2競走のみ。松嶺Sは元々京都芝2400mであったが、変則的なコースで開催される天皇賞(春)の予行演習という意味合いが大きい。ちなみに、JRAの条件戦で3000m以上のレースが開催されたのは2000年11月のドンカスターS(京都芝3000m)以来である。
阪神競馬場公式ツイッターアカウント
阪神競馬場は公式でツイッター(X)アカウントを所持していて、様々な情報を発信している、特に新型コロナウイルスの騒動で無観客開催になった後は、ヤフーニュースにも取り上げられるような企画の映像の提供その他を発信したりしている。阪神競馬場[【公式】(ツイッターアカウント)
一例として、一般客では到底見ることのない視点の映像、装鞍所からパドック、地下馬道を通ってコースに出てくるまでの様子や、ダートのハロー掛けの様子、競走馬のゼッケンはどのように制作しているか等を様々な情報や映像公開等をしている。
阪神競馬場のコース内の橋について(ツイッター公式アカウント)
関連動画
改修前の桜花賞
関連項目
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