Collar×Malice(カラー×マリス)とは、オトメイトから発売されている乙女ゲームである。
略称は『カラマリ』。
タイトルの「カラー」は色(color)ではなく首輪(collar)である。
概要
2016年8月18日に発売されたPlayStation Vita用ソフト。CERO判定はC(15才以上対象)。
原画担当は花邑まい(過去作:デザートキングダム、アムネシアシリーズ)。
2018年7月26日にファンディスク『Collar×Malice -Unlimited-』が発売になった。こちらもPS Vita用ソフトでCERO判定はC。
2020年3月12日に両作品をまとめたNintendo Switch版が発売され、2023年7月13日に冊子や復刻ドラマCDなどがセットになったスペシャルBOXが発売された。
劇場アニメ作品『Collar×Malice -deep cover-』が、2023年5月26日に前編、6月23日に後編が公開された。内容は原作を軸にしたオリジナルストーリーになっている。
ストーリー
連続凶悪事件――通称【X-Day事件】が起き、
危険な街となってしまった新宿で、警察官として働く主人公。地域の安全のために日々奔走していた彼女は、
ある夜、何者かに襲われ、
毒が内蔵された首輪をはめられてしまう。混乱する主人公の目の前に現れたのは、素性の怪しい男性たち。
元警察組織に所属していた彼らは、独自で凶悪事件を捜査してるのだという。彼らを信用していいのかわからないまま、
突如、大事件の鍵を握る存在となってしまった主人公。死と隣り合わせの首輪を外すため、
悪意に包まれた新宿を解放するため、
彼らと共に捜査を開始することになるが――。彼女の命は誰が握っているのか。
そして、新宿が再生される日は来るのか――。
公式サイトより
主な登場人物
- 星野 市香(ほしの いちか)CV:本渡楓 ※アニメ版のみ
この物語の主人公。警察官になって半年の新人。21歳。
新宿署で【X-Day事件】がきっかけで設置された『地域課 特殊地方防犯対策室』、通称『特防』に所属。
経験は浅いが、自分の手が届く範囲で人を助けようとする芯のある女性。
12月5日夜、【X-Day事件】の犯人を名乗る何者かに【毒が内蔵された首輪】をはめられてしまう。
死の恐怖と葛藤するが、自身が事件を解決する鍵になると考え、事件に立ち向かう。
はめられた首輪は音声傍受・送信機能も付いており、ある程度の捜査行動は犯人側に筒抜けである。
監視カメラはない。向こうからコンタクトを図ってくることも。
- 柳 愛時(やなぎ あいじ)CV:森田成一
「無理にしゃべるな。……俺は、お前を探していたんだ」
元・警視庁 捜査一課。28歳。
ある理由から離職し、独自で【X-Day事件】を追っている。
思慮深く、冷静で正義感が強い。
鋭い洞察力を持ち、知識だけに頼らず機転が利く。
個性が強いメンバーのまとめ役、メンバーや周囲からの信頼も厚い。
(本編では他4人を攻略しなければルートが開かれない)
- 岡崎 契(おかざき けい)CV:梶裕貴
「よかった。やっぱりキミは悪い人じゃないね」
愛時たちを警護する任務に就いている、警備部警護課、つまりSP。26歳。
要人ではない愛時たちを何故警護しているのか、理由は隠している。
おっとりとした性格で、言動もマイペースかつ天然気味。
自然と人の懐に入ってしまうような独特の空気を持つ。
愛時たちには警戒されているが、本人は良い関係を築きたいと思っているらしい。
探偵事務所に窓から入ってくることもある。特技はいつでもどこでも寝れること。
- 榎本 峰雄(えのもと みねお)CV:斉藤壮馬
「榎本峰雄たァ、この俺のことよ! よーく覚えておきな、新人ちゃん!」
元・新宿署 第二機動捜査隊所属。23歳。
直情型で猪突猛進。良くも悪くも嘘がつけず、裏表のない性格。歴史好き。
明るく前向きなムードメーカー。尊とは言い争うことが多い。
犯人と繋がっている可能性もある市香に疑惑を抱いている。
彼が疑心暗鬼になるのも、過去のとある事件がきっかけのようだが……。
- 笹塚 尊(ささづか たける)CV:浪川大輔
「……バカ猫。今言ったこと、忘れるなよ」
元・警視庁 サイバー犯罪対策課所属。24歳。海外育ち。
頭は良いが、綺麗な顔して毒舌+自己中心的な性格の為、反感を買うことが多い。
ハッキング等、専門スキルは相当の腕。
自分以外の人間は簡単に信用せず、利用できるか否かを考える。
市香のことも事件解決の進展に利用できると踏んでいる。
過去、とあることがあり『銃』というものにトラウマを抱えている。
クールに振る舞っているが、甘いもの(特にドーナツ)が大好物という一面も持っている(ただし、洋スイーツに和テイストはいらない、と抹茶等は拒否している)。
- 白石 景之(しらいし かげゆき)CV:木村良平
「お迎えにあがりました、捕らわれのお姫様。 いや……眠そうだから、眠り姫かな」
警視庁 科学捜査研究所所属。プロファイリング専門。29歳。
今は【X-Day事件】の影響で臨時で設置された新宿署 機動捜査支援係に主任として派遣されている。
いつも笑顔を湛えているが、真意が読めないミステリアスな人物。
人間観察が趣味の為、暇さえあれば周囲の人間を分析してからかったりして遊んでいる。
市香にはめられた首輪に興味を持っている様子。
- 星野 香月(ほしの かづき)CV:江口拓也
「俺に構うなっていってんだろ。姉貴面で干渉してくんな」
市香の弟。私立琴嶺学園に通う男子高校生。
市香と同じ家に住んでいるが、姉に対し何かと反抗的。
しかし外では明るく社交的で、学校でも人気者らしい。
バンド活動をしており、ギターの腕前はかなりのもの。
- 望田 政信(もちだ まさのぶ)CV:野島裕史
「俺たちの役目は、この新宿に生きる人たちを安心させることだ」
市香と同じ徳望に所属する上司兼先輩。
指導係として市香と行動を共にしている。
何かと市香を気遣い励ましてくれる温和な性格。
時々うっかりドジを踏むこともあるが、場数を踏んでいるだけあって冷静な対応でフォロー等してくれる。
妻子持ちで家族の話をしている時は幸せそうな顔をする。
- 冴木 弓弦(さえき ゆづる)CV:小野友樹
「俺が警察官になったのは人々の幸せと世界平和のため! って言ったら、爆笑されてさー
どこがいけないんだっつーの! 純粋な夢だと思うだろ? な!?」
新宿署地域課の交番勤務。市香とは警察学校時代からの同期。
困ったときは親身に相談に乗ってくる良き友人。
市香と飲みに行くと大抵は酔っぱらって上記のように熱く語りだす。
- 吉成 秀明(よしなり ひであき)CV:長瀬ユウ
「また来るッス!次は差し入れ買ってきますね!」
契の後輩であり、彼と共に愛時たちを警護するSP。
明るく元気で人懐っこい性格。
思ったことはつい口に出してしまう性格で、よく余計なことを口走っては契にお仕置きされている。
頻繁に出てくる設定・用語補足
- 新宿区隔離措置
最初の事件発生から5ヶ月の9月1日に政府は新宿区を危険区域に指定した。
これ以上被害を広げないことを目的に厚い壁や鉄線で区を封鎖している。 - 銃刀法の解除
新宿隔離措置発令と時を同じくして、新宿区限定で銃刀法が解除され、新宿区に隔離した20歳以上の人間に自己防衛の意味を込め拳銃が支給された。
区民に配られた拳銃は登録制でそれぞれにコードが記されており、発砲した場合すぐに調べられる。
使用に際して細かいルールが定められている。 - 特殊地域防犯対策室
通称・特防。X-Day事件の複雑化により新宿署に新設された。
相談窓口での対応や事件性があると判断された通報に対処。
区民からの苦情を受ける係でもあり巡回連絡も行っている。 - アドニス
【X-Day事件】の実行犯とされているテロ組織の名称。
動画で声明を出す際、自らのことを“アドニス”と名乗っており、『新宿を足掛かりにこの国を再生すること』が目的だと宣言している。
組織の規模、活動拠点などは不明。
2年前に起きた総理大臣暗殺未遂事件の実行犯と同名のため残党が集まり再結成したのではないかと囁かれている。
【X-Day事件】の現場には常に模造困難な技術で作られたコインが残されており、組織を象徴するアネモネの花と猫のモチーフ、"ADONIS"という文字が刻印されている。
【X-Day事件】とは
20XX年4月1日から新宿区でのみ発生している連続凶悪事件。
現場には共通して謎のローマ数字とコインが残されており、警察及び政府は複数犯または組織によるテロ行為と推察している。
事件では犯行予告とともに、警察の不祥事を明るみにする声明が出されている。
- 4月(カウントダウンⅨ)
新宿駅前の大型街頭ビジョンで突如として警察官らしき人物たちが拘束されている動画が流れた。
「汚れた日本を再生するため、これよりX-Dayへのカウントダウンを開始します」
ボイスチェンジャーで加工された音声が、彼ら4人の行った不祥事を次々と暴露。
違法捜査、誤認逮捕、暴力団との裏取引、横領、証拠品の捏造、
取り調べでの暴力行為、パワハラによる署内での自殺――。
「彼らのような犯罪者には裁きを下す必要があります」
「我々は世界の理を再生させる。弱者が虐げられるだけの世の中を変えるのです」
この動画を皮切りに、凄惨な“カウントダウン”が開始されることに。
- 5月(カウントダウンⅧ)
5月1日――警察官拉致殺害事件。
4月の不気味な動画に映されていた警察官4名は行方が不明のまま、事件は最悪の形で進展を迎える。
その動画は、4月とは違いネットで全国公開された。
「裁きの時間です」
短い言葉の後、画面の中で銃声が響く。
着ぐるみの頭部を被せられた4名が次々に撃たれていく間、加工された音声が笑みを漏らす。
「彼らは警察官という職に就きながら、罪を犯した罪人です」
4名の“裁き”が終了した後、声が告げた。
「来るX-Dayに向けて、裁きを実行しました」
「これで終わりではありません。我々は今後も、この国を再生するために正義を貫きます」
「我々の名は――"アドニス"」
――その後、警察が現場を特定した時には既に遅く。警察官1名の死亡が確認された。
だが、現場には複数名の血痕が残されていたのみ。他3名の姿は忽然と消えてしまっていた。
- 6月(カウントダウンⅦ)
6月1日――中学校爆破事件。
新宿区内の中学校で爆発事故が起き、1クラスの生徒全員が死亡した。
発生当初は理科の実験中だったことにより事故かと思われたが、被害規模から意図的な事件であると断定。
学校の屋上にローマ数字【7】の文字と5月の事件で現場に残されていたものと同様のコインを発見し、
4、5月と一連のテロ事件である可能性が高いと発表された。
現場の状況から指紋が検出できないことに加え、
その場にいた全員が死亡しているため、当時の状況には曖昧な点が多い。
爆薬の痕跡は発見されたが、素人でも手に入れられる素材で作られたものだった。
数日前に学祭があり学校関係者以外も多く出入りしていたため、容疑者を絞るのも困難。
事件後、6月中旬に“アドニス”と名乗る者がネットに動画を公開する。
「痛ましい事件が起きてしまいました」
「ですがこれは無差別殺人ではありません。死亡した全員が罪人です」
「どれほどの罪を負っていたか知れば、みなさんも納得して頂けるでしょう」
「我々アドニスは哀しみを救済するため、罪人への裁きを続けます」
この時に警察は一連の事件を"X-Day事件"と名付け、新宿署に捜査本部を設置。
- 7月(カウントダウンⅥ)
7月1日――ストーカー男性傷害致死事件。
ある女性を執拗にストーカーしていた男が通行人と揉めた末に殺された。
加害者は現行犯逮捕されたが、当時の状況、周囲の証言などにより正当防衛が濃厚だと思われている。
しかし、加害者が過去、5月のX-Day事件の容疑者として挙げられていた事実から
裁判は長引き、12月5日現在、加害者は未だ拘置所に拘留されている。
事件直後、被害者の自宅からローマ数字の【6】と例のコインが発見される。
それにより加害者やストーカー被害の女性のテロ組織への関与が疑われたが、
過去の経歴を洗っても根拠となるものは見つからなかった。
8月上旬にX-Dayのカウントダウンと称した動画がネットで流され、
7月のこの事件もカウントダウンの一環だと明かされる。
「正当防衛なのに一時でも身柄を拘束される。理不尽だと思いませんか?」
「彼はひとりの女性を救ったヒーローだというのに」
「その女性は昔からストーカー被害を訴えていたにも関わらず、警察は取り合わなかった」
「我々アドニスはこの哀しみを見過ごせず、被害者に代わり裁きを下しました」
「そして――今月はカウントダウン、Ⅴ。近々、再び裁きが下ります」
警察内部ではストーカー被害の女性がアドニスに関与していると推測する声と、
アドニスがこの事件を後付けで利用しただけだという声で二分している。
- 8月(カウントダウンⅤ)
――ネットゲームユーザー連続殺害事件。
この事件は、6月の【中学校爆破事件】に次いで被害者の数が多く、
全国に及ぶユーザーの数から、最も世論的に大きく騒がれた事件でもある。
8月2日。3名の男性が射殺される事件が発生。
殺された場所はいずれも新宿区内だが広範囲にわたり、殺害時間、被害者の年齢などに共通性はなかった。
ただし、現場に残された銃弾にローマ数字【5】の文字が刻まれていたこと、
模造困難な例のコインが残されていたことからX-Day事件に関連ありと認識された。
8月5日から7日にかけて、3日連続で3名ずつ、計9名が射殺される。
先の3名も含め、被害者がいずれも【あるネットゲーム】のユーザーであることが共通点として発覚。
警察は警戒を呼び掛けたが、件のネットゲームのユーザーは
全国に何百万人とおり、各地でパニック状態となる。
被害者の数を増やし、容疑者を絞り込めない警察への反発が強まった。
・事件現場には決定的な証拠が残されていない。
・現場周辺の聞き込みによる発砲音と死亡時刻が合わない。
・ネットゲームのユーザーは新宿区内だけでかなり多いことから、容疑者を絞りこめない。
・被害者のPCおよびゲームのサーバーデータが
ハッキングにより改ざんされており追跡は困難な状況。
――そして、8月11日。再び同ネットゲームのユーザー3名が別々の場所で射殺される。
被害者は全員が【新宿在住ギルド】に属しており、実際に新宿に在住していることも判明した。
SNSでは【ゲーム内でのいじめ】が原因ではないかと多数の憶測が溢れる。
ユーザー同士の確執は【新宿在住ギルド】に限ったことではなく、
多数のギルド、他のネットゲームでもで起こっていた。
少なからず加担した経験のある者たちは極度に怯え始める。
8月18日。
過去、ネットいじめに加担したことを悔いた自殺者が現れる。この人物は新宿区の人間ではなかった。
「無差別殺人だ。正義がない、と仰る方が多いようですね」
「あなた方は知らないだけです。彼らは殺される必要があった」
「裁かれるほどの罪を犯したのです。我々は未来の被害者を救ったのですよ」
国民はアドニスの凶行に怯えるが、捜査に進展のない警察に対する不信感も大きく膨らんでいった。
――今は新宿に限られた事件だが、アドニスが新宿外にまで目をつけたら?
――ゲーム内のいじめで殺されるならば、次はどのような【罪】で裁きが行われるのか?
――次は、自分の番なのではないか。
この事件がきっかけとなり【新宿隔離措置】及び【新宿区限定の銃刀法解除】を決定したと言われている。
「自分はこの世界から必要とされていない。そんな風に思ったことはありませんか?」
「生まれて来たことが間違い。存在する意味がない。未来を望めない」
「そんな世界を作り出したのは、誰でしょう? 本当に不必要なのは、誰でしょう?」
「絶望の色を生み出した人間に、アドニスが正義の裁きを下します」
同日、独り暮らしをしていた蜂須賀 兼(はちすか けん)が
アパートで首をつっているのを交際相手が発見する。
警察の調べによると、自殺を装った他殺であることが判明。
現場にはローマ数字のみが残され、コインは見つからなかったが――
警察はX-Day事件である可能性が高いという見解を強め、捜査を進める。
ほどなくして、事件当日に被害者のアパートを訪ねた男がいたことが判明する。
男の名は砂森 雄毅(すなもり ゆうき)。
10年前に被害者と同じフリースクールに通っており、交流があった。
現場に残されていた指紋が一致し、警察は容疑者として身柄を確保した。
砂森は【自分は選ばれた人間】だと話し、アドニスが事件現場に残す例のコインを所持していた。
解析の結果、コインは寸分違わず過去のX-Day事件のものと一致。
これらから警察は砂森を犯人と断定し、捜査は打ち切られた。
「僕は、私は、俺は――。この世界から必要とされていない」
「幸せを望むことを許されなかった。
この世に生まれ落ちたその時から、『いらないもの』だったのです」
「だから、我々も捨てましょう。哀しみを作り出すものを壊しましょう」
9月と酷似した動画に捜査本部は警戒したが、
9月の実行犯である砂森は起訴され拘置所にいたため、犯行は不可能。
加えて、当日は事件らしいものは起こらず死者が出たという報告もなかった。
しかし動画が流れた翌日、砂森は拘置所で首をつって自殺する。
X-Day事件における唯一の手がかりを失い、事件の真相は……闇の中となった。
- 11月(カウントダウンⅡ)
11月5日――交通事故偽装事件。
トラックと白バイの衝突事故により、2名が死亡した事件。
当初はただの事故かと思われたが、監視カメラの映像等により
信号が操作されていたことが判明し、事件性があると認識される。
警察庁の高度交通管制システムがハッキングされ、
乗っ取られたモニターにはローマ数字【2】の羅列が映り出されたこと、
被害者のうち1人の手に例のコインが握られていたことから、
X-Day事件に関連するものとして捜査が始まった。
「世の中には、生きてはいけない人間がいます」
「保身、顕示欲、承認欲求、優越感――
それらを満たすためだけに他人の尊厳を踏みにじる者」
「醜い欲にまみれた自我を持つ人間たちに、
我々アドニスが正義の裁きを下しました」
「X-Dayへのカウントダウンとして、12月6日、0時0分に新宿苑で1人の女性を毒殺します」
「助ける方法はただ1つ。下記に書いた解除コードを女性が付けている首輪に入力してください」
「もし彼女を救えたとしても、首輪の存在は明るみにしないでください。
我々は首輪を通じ、彼女とあなた方の動向を監視させて頂きます」
「我々の意にそぐわない行動をとった場合、彼女の命は保証しかねます」
関連項目
外部リンク
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