Billboard(ビルボード)とはアメリカの音楽業界の情報を扱った週刊誌である。また、同誌で扱う各種音楽ランキングの総称としても有名。日本でもBillboard JAPANとして展開されている。
概要(米国)
創刊は19世紀という、歴史のある雑誌。最初は各種興行(移動遊園地や演劇)の情報を載せていたが、次第に音楽情報へシフトしていった。雑誌名の「Billboard」は『(各種興行情報を貼り付けた)掲示板』という意味。
現在では音楽のヒットチャートで有名。以下に有名なものを示す。
Billboard Hot 100
いわゆるシングル曲のチャート。『セールス(小売店・インターネットでのCD売り上げ)』、『エアプレイ(提携ラジオでの放送回数)』、『ダウンロード(提携サイトでのダウンロード回数)』、『ストリーミング(サブスクリプションサービスやソーシャルメディアでの楽曲再生回数)』を元に決められる。日本で「ビルボード○○位」と言った場合は大抵これである(近年はビルボードジャパンチャートを指す場合もある)。
以前はシングルで発売されなければランキングされなかった。そのため、シングルカットされないアルバム収録曲がエアプレイで人気があってもランキングに乗らない事がままあった。が、現在は業界の変化により曲単位でランキングされることになっている。
Billboard 200
アルバムランキング。小売店・インターネット双方のCD売り上げ枚数、デジタルダウンロードのアルバム単位での販売数、ストリーミングでの再生回数をアルバムの販売枚数に換算した数値を元にランキングを決定する。EP盤(日本で言うマキシシングル)もこちらにカウントされる。廉価版やリマスター版が出た場合、カタログ・ランキングとして参考記録扱いとなる(マイケル・ジャクソン逝去後、カタログ扱いでなければ上位に食い込むほど売り上げていた)。なお、今後カタログ扱いは廃止される予定らしい。
このほかに、各種ジャンル(ポップ、ロック、R&B/ヒップホップ、カントリー、ジャズ、着メロなど)毎のランキングもある。
Billboard Global 200
こちらは2020年9月より開始した、日本を含む世界200以上の国と地域の楽曲を対象としたグローバルチャート。ダウンロード・ストリーミング双方のデジタルセールスを元に、上位200曲のランキングを決定する。ただ市場規模が大きいアメリカ主体のチャートになってしまうため、アメリカのデータを除外した「Billboard Global Excl. U.S.」も発表されている。
Billboard JAPAN(日本版)
2006年に阪神コンテンツリンクが日本におけるビルボード関連事業のライセンスを取得し、ライブハウスや洋楽レーベルの運営、おなじみドワンゴと共同で洋楽専門着うたサイトの運営を行っており、2007年夏からは日本独自の音楽チャートを発表している。
日本での総合チャート算出基準は以下の通り。CD・ダウンロード販売・ストリーミングそれぞれの売り上げを集計しているオリコンチャートと異なり、ラジオのオンエア回数やカラオケの歌唱回数も考慮される。つまり、売り上げだけでなく人々が音楽にいかに接しているかも重視しているのがポイントとなる。
- セールス:サウンドスキャンジャパンの調査によるタイトル単位でのCDセールス(複数バージョンある場合は全てを合算)。当初は実店舗のみだったが、2010年12月からネット販売も加算。
- エアプレイ:プランテックの調査による国内AM/FMラジオ31局でのオンエア回数。
- ダウンロード:国内でのデジタル・ダウンロード販売数。2010年12月よりiTunes Storeでの状況を反映させていたが、2016年2月よりGfKジャパン提供の主要ダウンロード販売サイト(2023年6月時点ではiTunes、Amazon、mora、mu-mo、レコチョク等)の販売状況およびニールセン提供のその他音楽レーベルのiTunesでの販売実績による推計値が元となる。
- 動画再生:日本におけるYouTubeでのオフィシャル動画などのアーティスト自身による音楽動画の再生回数。2015年6月より開始。
- ストリーミング:各種サブスクリプションサービスでの再生回数。GfKジャパン提供の各種サービスの再生回数(2016年12月より、2023年6月時点ではAmazon Music、Apple Music、AWA、KKBOX、LINE MUSIC、Rakuten Music、Spotify、TOWER RECORDS MUSIC、dヒッツ、うたパス)とニールセン提供のYouTube Musicでの再生回数を合算。
- カラオケ:JOYSOUNDとDAMの2大通信カラオケそれぞれで歌われた歌唱データを元に独自のポイントを算出。これにより懐かしの名曲から最新のボカロ曲までカラオケでの世代を超えたより広い音楽嗜好を反映できる。2018年12月より。
- 過去の指標(2022年11月まで)
これらを合算する形で日本の総合チャート『Billboard Japan Hot 100』(読み:ホット・ワンハンドレッド)を算出するほか、各ジャンルに応じたチャートも発表されている。日本らしいのはアニメソング(タイアップ曲も含む)や声優の楽曲専門のチャート『Hot Animation』も発表されているところだろう。
Japan Hot 100関連以外にもYouTubeでのUGC動画のみのチャート『Top User Generated Songs』、TikTokでの人気楽曲チャート『TikTok Weekly Top20』といった動画サイト関係のチャートも提供されており、2022年12月からはなんとニコニコ動画でのボカロ曲(VOCALOID楽曲だけでなく他の音声合成ソフトも含めた広義でのボカロ曲)の再生数・作成数・コメント数・いいね数などのデータを元にした『ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20』が開始されている。
アルバムにおいては、セールス、デジタル、ルックアップ(2022年11月まで)を合算した総合チャート『Billboard Japan Hot Albums』が発表されている。
2017年以降、音楽番組「CDTV」のランキングに算出方法のベースとして採用されているほか、音楽ストリーミングサービスの伸長に伴って各種メディアでも扱われる機会が増えてきている。
特に2010年代に入り、AKB商法などによるアイドルグループのオリコンCDランキングの上位独占が常態化が問題視されると、オリコンランキングに代わって注目されるようになった。ちなみにAKB商法に代表される複数枚購入施策に関しては、複数バージョン合算での実売枚数は発表するものの、Hot 100へのチャート反映時には実際の人気との乖離を防ぐため、一定数を超えた場合係数処理が行われている。
なお、オリコンも2017年~2018年にかけてデジタルシングルランキング、ストリーミングランキング、合算ランキングの公表を開始している。ただし、オリコンの合算ランキングはCDのポイント割合が高く設定されているため、CD単独のランキングとそれほど違いがない。
オリコンはアイドルグループ・芸能界が大きな顧客であるため、売上(金額)を重要視せざるを得ないという事情もある。一方で、外資系でしがらみの少ないビルボードは単純に楽曲人気を計測することを目的としている。チャートの目的が異なるため、どちらのチャートが良い・悪いかは一概に言えない。
billboard Top40
テレビ神奈川(tvk)で「billboard Top40」というBillboardのチャートと楽曲を紹介する番組が1983年から放送されている。ビデオジョッキーは中村真理。2019年現在、毎週土曜日23:30から1時間枠で放送されている。tvkの現在放送されている番組の中では最長寿で、2012年6月には「世界で最も長寿な同一司会者による同一形態の音楽番組」としてギネスワールドレコーズの認定を受けている。
年末から年始にかけて「billboard Top100」と題して年間チャートを発表している。この番組はtvkだけでは無く、サンテレビ・KBS京都などでも放送される。
関連動画
関連項目
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