斧とは、ロマンである。
概要
柄となる棒の先に、棒に対して直角程度に刀身が取り付けられた刃物。樵が木を切り倒したり、鍛冶屋の下っ端が薪を割ったりするのに使用する。石器時代から存在し、現代先進国においても用いられる普遍的な道具。特に日本においては、幼女にさえ愛用されるほど身近な存在である。
蛇足
…ゲームやアニメ等のフィクションの影響なのか、鎧が重武装化した地域でしかつかわれなかったという言説がしばしば見られる。しかし、そんなことはなく、武器としての斧は低い冶金技術でも作りやすいという利点から、加工技術が未熟であった黎明期の世界4大文明の軍隊の正式装備として使用されており、弓矢と槍、メイスに並ぶ重要な武器であった。細かい派生もあり、手持ちと小回りに特化したまさかり、ポールウェポンのごとく長ものに取り付けたもの、投てき特化と様々。
この四大文明の内、エジプト文明やメソポタミア文明で用いられた戦斧は湾刀に派生・発展していったという。また黄河文明ではその子孫にあたる商王朝まで用いられたが、戦闘法の変化により刀剣や長柄刀に取って代われたようである。
中二病的斧名鑑
いわゆる戦斧と呼ばれるものたち。斧は日常の道具であるとともに戦いの武器であり、権威や宗教の象徴でもあった。
- ラブリュス
- ラブリュスはリディア語で「両刃の斧」で、古代の(左右対称の)両刃の斧全般を指す。これに当たるものとしてはギリシャのサガリス、ローマのビペンニスなどがある。この種類の斧は、先史から古代においては極めて有力な武器であったと同時に、広く信仰の儀に用いられたものであり、神話の中にもたびたび登場する。例えばクレタ島のミノタウルスが閉じ込められた迷宮(ラビュリントス)はラブリュスを象徴としている。
- ファスケス
- 斧を木の束に括りつけたもの儀礼用の斧。古代ローマにおける権威の象徴であり、執政官の外征時などにはファスケスを持った付き添いが存在し、これを敵に奪われることは恥辱であると考えられた。ファシズムの語源。
- フランキスカ
- フランシスカ。民族移動時代の一翼を担ったフランク族の使用した投げ斧で、その代名詞。投擲用に様々な改良が巡らされており、刃の部分が外側に向かって細いアーチ状になっている。通常、戦闘の開幕時における最初の攻撃として一斉に投擲するもので、一度地面をバウンドしてから予測不能の軌道を取って向かってくる斧は恐怖の的であった。当時の盾は平たい木製のものが多く、十分に勢いづいたフランキスカなら軽々と打ち破ることができた。同様の投げ斧は、フランク族以後もたびたびヨーロッパに登場している。
- デーンアックス
- いわゆるヴァイキングの斧だが、ヴァイキングに限らず中世ヨーロッパで広く使われた武器である。典型的なものとしては柄が長く、刀身は上下対称の大きなラッパ型で、エッジは非常に薄くて鋭利である。このため人体の切断力に優れている。
- ロッホアーバーアックス
- 中近世スコットランドで用いられた斧。良うなれば薙刀の刀身を斧の刀身にしたようなもので、元は刈り取り用の農具。斬ることも突くこともでき、柄の先端に備えられた鉤爪で引っ掛けることもできた。機能的にはハルバードに近い。
- ハルバード
- ドイツ語でハルベルト。14から16世紀ほどに用いられた、斧と槍と戈(細長い突起を持った武器)を組み合わせたぼくのかんがえたような超兵器であり、何といっても見た目が非常にカッコ良ろしい。使用する兵士には技術が要求されたが、銃以前の歩兵の武器としては最強の地位を占めており、特に熟練のスイス兵に愛用された。変態的ロマンに溢れる武器と言えよう。
- トマホーク
- 北米インディアンが使用した小型の(投げ)斧。実はインディアン固有のものではなく、入植者と仲良く投げ合いながら相互改良されてきたものである。先述のフランキスカが持ち込まれたものが実質的な祖だと言う説もある。刃の反対側にスパイクが付いているものが多く、投げるだけではなく様々な用途に扱える。スパイクではなくパイプを組み込んだものも有名。アメリカ陸軍にも汎用ツールとしてトマホークを採用しているところがあり、もちろん白兵戦にも使われる。
- ボルトアクス
- 持ち主と対話して霹靂を呼び込むと言われる伝説の斧。北欧神話の雷神トールの愛鎚ミョルニルとの関連性があると見られ、擲てば遠くからでも相手を打ち砕いて戻ってくるという点も共通している。
中世に伝わる叙事詩によれば、とある王国で勇将と謳われた将軍が岩窟に封印されていたボルトアクスを引き抜いて我が物とし、常勝無敗を誇ってボルトアクス将軍と称された。しかしボルトアクス将軍の華麗なる活躍の裏側で、王国の暴君は大義なき戦争を引き起こして弱小国を次々攻め滅ぼし、暴虐を尽くして人々からの怨みを買っていたため、いつしかボルトアクス将軍も暴君の犬と謗られるようになってしまう。さらにはボルトアクス将軍の功績を妬む大臣が、武器に頼り切った腑抜けなどと国王に讒言するようになったが、将軍は国王からの任務を実直に果たし続けたため、その地位が揺らぐことはなかった。
ある時、敵国の傭兵団リーダーの青年と山上から対峙したボルトアクス将軍は、彼の正義感と騎士道にいたく感銘を受け、ボルトアクスに特別な力を出さぬように語りかけてから、一人山を下って青年との一騎打ちを行った。一時は青年を圧倒したボルトアクス将軍であったが、リーダーの危機と見た反乱軍の将兵が無粋にも、途中で将軍を囲い込んで邪魔をしたため勝負はつかなかった。一人で大勢と渡り合ってなお余裕の斧捌きを見せる将軍ではあったが、傭兵団の別動隊が背後に回り込もうとしていることに気が付き、包囲を打ち破って自軍に戻ろうとした。だがその時、思いもよらず、山上から転がってきた巨大な岩石が将軍の眼前に迫っていた。自軍の落石兵が、将軍を亡き者にせんとする大臣に買収されていたのである。
将軍はボルトアクスを振りかざして雷で打ち砕こうとしたが、力を封じたままだったため何も起こらず、岩に潰され非業の死を遂げた。将軍のいない王国軍はすぐに敗走し、最終的には暴君も討ち滅ぼされることになるが、もはやボルトアクスと関係がないため割愛する。勝利後、傭兵団の青年は誉れ高き名将の死を悼み、丁重に潰れた遺体を棺に納め、ともに故郷に送り届けてやろうとボルトアクスを探したが、山のどこにも見つからなかった。またある異伝によれば、翌朝にボルトアクス将軍を謀殺した大臣が出仕しようとしたところ、晴天にも懸らわず雷に打たれて死んでしまったとのことである。晴天の霹靂という我々に馴染み深い言葉は、このボルトアクスの故事に由来している。 - 民明書房刊『暴君の部下~縁の下の力任せ列伝~』より
ニコニコ大百科に記事がある斧使い
- 金太郎
- 徐晃
- オルテガ
- カンダタ
- ヤンガス
- クロコダイン
- プレセア・コンバティール
- バルバトス・ゲーティア
- オノノクス
- 竜宮レナ
- 星宮いちご
- ラビリス
- 奥村春
- ドワーフ
- ミノタウロス
- ファイアーエムブレムで斧を扱えるユニット
※他におりましたら、追記お願いします。
関連動画
関連リンク
- オーストラリア大陸の人類定住は65,000年前
(NICHIGO PRESS) - 発掘物の中に磨製石器の石斧が含まれている
- 投擲武器,リアルで投げてみたくない? 斧やナイフ,チャクラムを投げられるお店で戦闘スキルを上げてきた
(4Gamer.net)
関連項目
- 樵
- 歴史
- 金の斧
- ゴールデンアックス
- トマホーク
- バルディッシュ
- ボルトアクス将軍
- 戦士(ファイアーエムブレム)
- 斧縛り
- 鉈
- 斧野小町
- MAYU(VOCALOID)
- 武器・防具の一覧
- 1文字の記事一覧
- チャージアックス
- スラッシュアックス
- シンゴウアックス
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