アメリカ同時多発テロ事件とは、2001年9月11日にアメリカ合衆国で発生したテロ事件である。
当事国のアメリカを中心に、その発生日から「9.11」と単に称されることも多い。
概要
この事件では4機の旅客機がハイジャックされ、最終的にワールド・トレード・センターと国防総省の本庁舎が攻撃された(詳しくは後述)。
事件はアメリカのみならず世界経済に大きな打撃を与え、アメリカも大きなダメージを負ったが、それ以上に国民の反中東、反イスラム感情が高まったことで、強硬な中東政策を推し進めるブッシュ政権への支持が高まり、後のアフガニスタン攻撃、イラク戦争への道筋をつけることとなった。
このことを根拠に、テロは実在せず、アメリカ政府による自作自演、捏造であるとする陰謀論が流行を見せたが、政権交代して民主党政府となったこと、証拠が一向に出てこないことなどもあり、現在は下火となっている。
テロの詳細
ハイジャックされたのは、突入、ないし墜落した順に、「アメリカン航空(以下AA)11便」「ユナイテッド航空(以下UA)175便」「AA77便」「UA93便」であった。
ワールド・トレード・センターへの攻撃(AA11便&UA175便)
ワールド・トレード・センター(世界貿易センタービル)への攻撃で用いられたAA11便とUA175便は、いずれもボストン発ロサンゼルス行のボーイング767-200であった。
AA11便は8時46分にツインタワー北棟に、UA175便は9時3分にツインタワー南棟に突入した。
AA11便が水平に近い姿勢であったのに対し、UA175便は旋回途中の傾いた姿勢で突入したため、ビルの広い範囲が破壊され、ダメージが大きかった。撒き散らされたジェット燃料により火災が起こったため、ダメージを負った構造が弱まって重量を支えきれなくなり、南棟は9時59分、北棟は約30分遅れの10時28分に崩壊した。
ワールド・トレード・センターは7つのビルからなっていたが、この崩壊に巻き込まれる、あるいは損傷・火災により倒壊するなどして、7つのビルすべてが破壊された。地下鉄などもこの衝撃で崩落し、交通網は完全にストップした。
ワールド・トレード・センターへの攻撃だけで、2600名以上が死亡した。これには救助活動中に死亡した消防隊員、ビルから飛び降りた人間や破片の衝突で死亡した者、そして航空機の乗客も含まれている。
日本人の犠牲者は24名であった。
このテロで最も大きい被害を受けたことから、ワールド・トレード・センター跡地は「グラウンド・ゼロ(爆心地)」と呼ばれ、象徴的な扱いを受けている。
国防総省本庁舎(ペンタゴン)への攻撃(AA77便)
AA77便は、ワシントン発ロサンゼルス行のボーイング757-200であった。
9時38分、地面すれすれまで降下し、ペンタゴンの1階部分に突入した。ペンタゴンは鉄筋コンクリート造で、また攻撃を想定した構造となっていたが、5層ある建物のうちの外側2層は完全に破壊され、突入部分は10時15分に完全に崩壊した。
当初は、ワールド・トレード・センターへの攻撃で混乱していたため、爆破テロであるという報道もされたが、ちょうど現場付近は渋滞して多くの車があり、航空機が突入したところを目撃したドライバーからの情報提供で、これが同じ種類のテロの一環であることが明らかになった。
国防総省本庁舎は、奇しくもテロに備えた補強工事を行なっていたため、一部のオフィスには人がおらず、死亡者は253名にとどまった。
UA93便
UA93便は、トラブルのため他の機体と比べて遅い時間に出発した。機体はボーイング757-200である。
この遅れのため、機内電話で家族と連絡をとっていた乗客から、他の航空機もハイジャックされ、自爆テロに使われたこと、おそらくこの機体も同様に攻撃に使われることが伝わり、乗客はハイジャック犯への抵抗を決めた。
機内電話や携帯電話を用いて、最も多く乗客と家族との通話が行われた機でもある。
遺族にのみ公開されたコックピットボイスレコーダーによると、コクピットに立てこもるテロリストに対し、扉を破るところまでは成功していたが、機体を取り戻すには至らず、10時3分にワシントンから北西に240kmほど離れた、ペンシルバニア州シャンクスヴィルへ墜落した。
急角度・高速で墜落したため、機体の残骸や遺体は地面に埋まって発見され、残骸は狭い範囲に集中していた。
テロリストの最終的な目標はホワイトハウス、またはアメリカ合衆国議会議事堂だったと推察されている。
この墜落で、乗員乗客44名全員が死亡。うち1名は早稲田大学に通う日本人学生であった。現場には後に慰霊碑が建てられている。
後にこのハイジャック事件を題材とした映画『ユナイテッド93』が公開。
全ての遺族の同意を得た上で製作されており、役者は無名の俳優を中心に起用した。このうち何人かは実際に遺族のもとを訪問し、自らが演じる人物についての理解を深めたという。
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