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いよいよ今年も、本格的な冬のシーズンを迎えました。冬になると毎年のように問題となるのが、急な積雪による自動車の立ち往生。「スタッドレスタイヤだから大丈夫」と思っていても、巻き込まれてしまうことがあるのです。本記事では、「うちの近くではめったに雪は降らない」「チェーンもスタッドレスタイヤも使ったことがない」という人にこそ知っておいてほしい、最新のチェーン事情についてご紹介します。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

規制区間では、スタッドレスタイヤであってもタイヤチェーンの装着が義務化

 雪によるクルマの立ち往生というと、起伏のある峠道や山間部の国道などで起きるイメージがあるかと思います。しかし2018年1月には、東京の首都高速道路・中央環状線で発生。首都圏でも発生するリスクがあるのです。このときは、大雪により走行不可能となった大型トレーラーをきっかけとして、走行していたクルマが次々と立ち往生。その距離は12kmにも及び、解消するまでに10時間も要しました。

 その1カ月後となる2018年2月にも、北陸を襲った記録的な大雪によって、国道8号線の福井県と石川県の間で約1500台もの車が立ち往生。解消するまでに2日と17時間もかかる事態が発生しました。交通網が完全にマヒしてしまい、福井県ではガソリンの流通が止まったり、食料品が届かないなど、住民生活に大ダメージが及ぶ事態に。どちらの交通障害も、タイヤチェーンを装着していなかった一台の大型車が立ち往生したことが起因でした。

 最近では、2024年の1月に、名神高速道路の関ケ原IC付近の上下線で、大雪による交通障害が発生しており、このときは約1200台ものクルマが最長19時間も立ち往生する事態となりました。おそらく多くのクルマが、スタッドレスタイヤを装着していたと思いますが、スタッドレスタイヤだけでは立ち往生に至る場合もあります。

 こうして、各地で大規模な立ち往生が相次いだことがきっかけとなり、2018年12月、国土交通省は、大雪時の道路交通の確保のための「チェーン規制」を改訂。対象区間※においては、「チェーン規制」が発令された場合、スタッドレスタイヤであってもタイヤチェーンの装着が義務化されました。

※大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときには、規制区間の手前でタイヤチェーン装着状況の確認を行います。