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上司とうまくやれないことで代償を払うのは自分自身
急成長しているハイテク企業の有能な幹部であるジョンは、筆者のルイスとのコーチングセッションで、上司への不満を述べた。「彼はプロジェクトを理解せず、技術的な専門知識も戦略的なビジョンもなく、リーダーというより邪魔者です」と述べた彼は、明らかにフラストレーションを抱えていた。上司は状況を把握しておらず、価値を創出していないとジョンは確信していた。
ジョンの軽蔑感は単なる個人的な嫌悪ではなく、彼のモチベーションとチームのダイナミクスに影響を与える尊敬の欠如だった。こうした状況はよくある。筆者らはコーチングをする中で、上司を好きになれず、尊敬できず、価値を見出せずに苦しんでいる、同じような状況のプロフェッショナルに出会ってきた。ジョンと同様に、彼らは相手が能力的に不足しているとか、役に立たないと感じている。上司の役割や権威に脅威を感じることもあれば、文化や価値観の不一致がある場合もある。
こうした感情は、深刻な代償を伴う。上司を見下したり、軽視したり、失礼な態度を取ったりすると、信頼や評判、生産性の面で代償を払うのはたいてい自分自身だ。筆者のサラの元クライアントであるシャリがそうだった。新しい上司の能力に疑問を抱いたシャリは、自分から距離を置き、チームの仕事について最低限のことしか共有せず、会議中もマルチタスクをするなど、積極的に関わりを断っていった。前任の上司の下では期待の星と見られていたシャリだが、リーダーたちは彼女の貢献に疑問を持ち始め、将来的に組織をリードできる人物なのかを疑うようになった。
困難を乗り越えるための戦略
あなたがシャリやジョンと同じような状況に置かれたら、その状況を変えるために積極的に行動を起こすべきだ。上司を選ぶことはできないが、状況についての考え方、想定、ストーリー、そして自分の行動が周囲に与える影響はコントロールできる。
自分を悩ませているのは何かを考える
人は時に、自分が生産的で、エンゲージメントが高く、協力的であるためには、他の人(上司など)や状況(報告体制など)を変える必要があると誤って思い込むことがある。これは自分を被害者的に見る誤った考えだ。直属の上司に対して好意的かどうかにかかわらず、よい仕事をすることはできる。
上司に不満を感じたり、尊敬を失ったりしているなら、まず一度立ち止まって考えるべきだ。あなたを悩ませているものは何かを明確にするのだ。「彼らは何の価値も与えてくれない」で終わらせず、もっと深く考える。次の問いを自問しよう。
・これはタスクの問題(彼らのやり方に同意できない)なのか、それともパーソナリティの問題(この人のスタイルが好きではない)なのか。
・上司は本当に能力が不足しているのか、それとも私がリーダーに期待していたものと違うだけなのか。
・脅かされている、支援されていない、あるいは見過ごされていると私が感じているのはどういう点か。
自分についての洞察が厳しいものであっても、正直に向き合わなくてはならない。根本的な原因を明確にすることで、次のステップを特定しやすくなる。