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データが増えてもマーケターは顧客を理解できていない
すべてのマーケターは、対象とする消費者について理解を深めたいと考えている。嗜好やペインポイント(悩みの種)、考え方などを把握して、製品と消費者の適合性を高めるためだ。
今日ではかつてなく多くのデータが入手できるにもかかわらず、マーケターはいまだにこの理解に苦労している。なぜだろうか。より多くのデータがあれば、より深い理解につながるはずだ。ところが現代のマーケターは、消費者の真の姿について比較的わずかな洞察しか引き出せずにいる。
それは、今日のマーケターが情報を親密性(インティマシー)と取り違えているからだ。情報、たとえばウェブサイトへのアクセス数やSNSでのエンゲージメント、購買履歴、検索クエリなどは、事実の表象で構成される。これらのデータは、消費者の関心、意向、欲求についてかなり多くのことを明らかにできる。マーケティング部門ではこの10年にわたり、より多くのデータ分析を行う需要が高まっている。だが、検索動向や購買履歴、サイトへのアクセス数は、人々の実像ではなく、その実像から起因する行動の副産物にすぎない。
人々の実像を理解するには、さらに接近し、親密性を築く必要があるのだ。
次の例を考えてみよう。あなたは重要な会議に出て話をする前に、参加者について学ぼうとリンクトインにアクセスし、彼らの現在の勤務先、役職、以前の職務経験、出身校、そして共通のつながりなどもチェックするかもしれない。それらのデータで武装して会議に臨んでも、相手と交流し、意見を交換したり、癖を観察したりするまでは、その人を知ったことにはならない。
同様に、ある人のプロフィールは交際相手として完璧に見えるかもしれないが、会ってみるまでは、どのような人物なのかよくわからない。親密になればなるほど、相手についてより多くのことが明らかになる。
親密性の実践
マクドナルドが同様の気づきを得たのは、批判的な人をなだめることではなく、ファンを活性化させることにマーケティング活動を集中させると決めた時だった。同社は長年にわたり、健康意識の高い批判者たちから標的とされてきた。新しいマーケティングキャンペーンを展開し、より健康的なメニューの選択肢を提供しようと試みたが、効果はなかった。