回答(8件)
本来リングキーとはベームが開発する以前に、クラリネットのキーのようにリングの付いた部分を直接押さえるキーの事を指しています。 日本ではリングキーというとフレンチモデル、つまり穴開きのキーを指しています。 誤解のないように英語ではリングキーの事はOpen-Holeと呼びます。 現在のフルートの形ができる前の話になりますが、フラウト・トラベルソから始まり、トーンホールを直接“指で塞いで演奏する形”が通常の形でした。 テオバルト・ベームが管の内径を19mmにしてトーンホールを大きくし、大きな音量が出せる現在のフルートを作ったときに、指で塞ぐ事ができるようにカバードキーのフルートが作られました。 その後、フランスではルイ・ロット等が今ではフレンチモデルと呼ばれるリングキーの楽器を作り、それまでの流れを汲んだフルートを発展させてきました。 一方、ドイツではハンミッヒやメーニッヒのようにカバードスタイルにEメカ等いろいろなオプションを付けた楽器が主流になりました。 日本では、初心者モデルがカバードモデル、上級者モデルがフレンチモデルというイメージがありますが、元ウィーン・フィルの故シュルツ氏は24KのカバードモデルH足部管、Eメカ付きを使用されていました。 フレンチモデルを使うメリットは、2つあります。 ひとつは現代曲を演奏する上で必ずリングキーではないとできないことがあります。リングの部分だけ押さえたり、指を滑らせて、穴を少しずつ開けていったりと、カバードキーの楽器ではできない奏法を可能にすることができます。 もうひとつはリングキーの場合、指がカップの真ん中を押さえて穴を塞がないと音が出ないため、指の形が綺麗になり、指の力が抜けて早く動かせる事ができます。 しかし、デメリットもあります。 指を早く動かすときにうまく塞がらないと音を外してしまったり、足部管のキーで小指が動くときに薬指が動いて息もれして音が出なかったりすることがあります。 時々、リングキーの一部を塞いで使っている方がいらっしゃいますが、音程が低くなり音色も暗くなるのでお勧めできません。 穴の開いている5つのリングキーのトーンホールは下方にずれて作られているので、1箇所でも穴を塞いでしまうとその音の抜けが悪くなります。 フレンチモデルとカバードモデルの違いは、プロの演奏を聴いても、実際どちらを使っているかは判別困難です。 個人的にフレンチモデルは、手の大きさが足らない、指先が細い、右手の中指と薬指の間が開かない方にはお勧めしませんが、問題のない方には楽器の持ち方が最初から綺麗になるので最初からフレンチモデルの使用を勧めています。
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