金融緩和だけでハイパーインフレになった国は存在しません
というか財政ファイナンスも別にハイパーインフレにはならないし
貨幣価値は法律で法定され 信用なんて関係ないのです
地金価値4円の500円玉に500円の価値を認めず
400円の商品代で500円玉100枚要求すると
警察を呼ばれて 豚箱に投獄されるので
「500円玉に500円の価値を認めないなら
国家の暴力装置によって 豚箱に入ってもらいますよ?」
という暴力的脅迫が 法律の担保 貨幣価値の担保です
実際問題 通貨発行益=国営偽札作り利益=シニョレッジ
=地金価値を額面が上回る金貨 銀貨 銅貨 ニッケル貨作りが
領主特権なのは 領主がルール制定権とルール遵守を担保する
暴力装置を保有しているからです
軍閥政府だった 江戸幕府時代に 萩原重秀という勘定奉行がいて
「貨幣は国家の造る処 瓦礫をもって之に代えると雖も将に行うべし」
現代語意訳
「地金価値4円のニッケル片も 国家が500円玉と法定したら 500円になるんだよ! 信用も地金価値も関係あるか! 500円玉に500円の価値を認めないなら豚箱に投獄すんぞ 国家権力なめんな!」
と言い切って
小判2枚を溶かして 混ぜ物して 小判3枚に改鋳して
11年で小判の流通量を1.5倍に増やす国営偽札つくりをやったわけで
現在でいえば
毎年110兆円 無利子永久国債を財政ファイナンスで日銀に買わせて
貨幣流通量を11年で2400兆円→3600兆円に増やし
借金1200兆円のうち 借金1100兆円を刷ったカネで返済
みたいなコトをリアルでやったのです
幕府は数百万両の出目=国営偽札つくり利益を得ました
で、昔は 東大の教授とかが 根拠も証拠もなく
「このような巨額の通貨膨張はハイパーインフレになったに違いない」
って主張していたのですが
加賀100万石のお膝元の金沢大学の村井教授が
江戸時代の古文書に残る 当時の物価情報を解析した 実証研究の結果
考古学的に インフレ率は3%に過ぎなかった 好景気になった
というのが判明して
経済学会に大きな衝撃を与えました
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元禄時代は 戦国時代の戦乱の時代が終わって
湿地干拓したり 山林伐採して 新田や新畑の開墾が盛んで
初期的な 工場制 手工業の萌芽が見られ
日本の生産能力は増大していたのに
日本の黄金量は増えなかったので 金不足でモノが売れず
工場や 農地の稼働率が下がってしまう デフレ状態だったのが
萩原重秀の貨幣膨張 インフレ政策で
貨幣流通量が 経済の生産力の成長に追いついて
モノが景気よく売れて 元禄の好景気になって
カネが1.5倍増えても 工場稼働率が50%→75%に上がれば
モノの供給も1.5倍増えて 国産品物価が上がらないし
国民は1.5倍働かされるけど、国民所得もGDPも1.5倍に増産という
メカニズムで
物価は年率3%しか上がらず 好景気になった上
幕府財政も改善したので
現代では 萩原改鋳は 時代を先取りした
貨幣国定説を先取りした 優れた政策だったと 評価されてます
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ところが そのあと経済政策を仕切った新井白石が
「貨幣は尊敬できる材料で吹きたてよ」という家康の遺訓を持ち出し
「貨幣の信認を高めるため」
「小判に混ぜ物をするなど 卑怯で ごまかしで不埒である」
という素人考えで
小判の金の含有量を高めて 小判の流通量をバッサリ削減したため
「白石デフレ」という世界恐慌を先取りしたような
最悪の不景気になって 手工業もバタバタつぶれ
新井白石は 高札を掲げて 世間に意見を求めるところまで
追い込まれてしまった 大しくじり事例があるわけです
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じゃあ ハイパーインフレはどうやって起きるのか?
商品の供給が途絶えたとき
異変で需要が急増したときです
例えば米中台湾戦争に日本が巻き込まれたら
日本航空も 全日空も 1億人を数日で避難させる座席数なんてないので
エコノミー航空券1枚2億円とかに値上がりするし
中国空母が日本や台湾や韓国に向かう食糧船を撃沈したら
コメ5キログラムを 土建用猫車一杯の札束で買うほど 食料価格が
上昇するのは ほぼ確実です
戦争ではなく
長引く円高によって 自動車会社も 工場をタイに移転して
日本全体のドル収入が途絶えて 食料輸入に支障をきたしても
ベネズエラ型のハイパーインフレになります
だから「円安はトヨタだけが得して 庶民には損」
と言っているひとは
「円高で日本の食料自給率を破壊して
自動車産業の海外移転を推進して
中国製品を買いまくって中国に空母購入財源を流し込み
日本をハイパーインフレにして マゾの喜びに震えたいのだ」
と 言っているのを まったく 自覚してないと言えます
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