肥料

私たちが日々口にするお肉や牛乳、そしてお米や野菜。これらの食料品が安定的に生産される背景には、家畜の成長を支える「飼料」と、作物の生育を促す「肥料」の存在が不可欠です。しかし、その原料の多くは海外からの輸入に頼っており、その価格は国際情勢や為替に大きく左右されます。まさに、世界の縮図がここにあると言えるでしょう。 今回は、総合商社・兼松グループの一員として、70年以上にわたり日本の畜産と農業という、食の根幹を支え続けてきた兼松アグリテック株式会社の決算を分析します。食料安全保障の最前線に立つ同社が直面する厳しい経営環境と、その中での生き残り戦略を読み解きます。 【決算ハイライト（第71期）】資…

えぐいくらいトランプ関税の影響で、肥料・種・燃料などのコスト高騰や移民排除による労働力不足が、米国農業を中心に深刻なレベルで発生しているわよ。トランプは日本の味方なんかじゃないの。意図的に世界経済を破壊しちゃってんの。 肥料・種・燃料費高騰の程度 農業資材の価格高騰や入手困難は農業者の過半数が実感しており、2025年4月の調査では「収入悪化を感じる」農業者が56％、「資材の入手困難」を感じる者が53％にのぼっています。 とくに肥料のコスト上昇を最大の懸念に挙げた農業者が37％、農機部品27％、農薬26％と続きます。 燃料費の高騰も重なり、米の価格上昇や農業生産費の高止まりが「消費者離れ」や経営…

多くの植物は「光」の性質の変化で季節を察知する どんなに暑くても、植物たちは秋の訪れ・下り坂であることは察知しています。気温が高いからといって、６月のように芝が再び大繁殖の成長期を迎えるわけではありません。これは、光の変化です。 日照が一番強い６月の光と、現在の光は性質が大きく違う もし、植物が「温度」だけを頼りに季節を感じていたら、やがて迎える低温の冬に大きなロスを生じ、生命のバトンに支障をきたすからです。 芝の生理代謝はどう変わったのか？（暖地型芝の場合） 春～梅雨明けまで 芝刈りすればするほど芝密度が濃くなり、同時に根を伸長させて生体のキャパシティーを充実させます。これは、一年でもっとも…

「金鳥の夏、日本の夏」でお馴染みのKINCHO（大日本除虫菊）。その殺虫剤の圧倒的なブランド力と技術力が、私たちの家庭園芸の世界でも活かされていることをご存知でしょうか。2025年7月、長年「住友化学園芸」として親しまれてきた家庭園芸のトップメーカーは、「KINCHO園芸株式会社」へと社名を変更し、新たな歴史をスタートさせました。植物を愛するすべての人々のために、病害虫対策から肥料、用土まで、幅広い製品で豊かな園芸ライフを支える同社。今回は、KINCHOブランドを冠し、新たな一歩を踏み出したこのリーディングカンパニーの決算を読み解き、その強固な事業基盤と今後の成長戦略に迫ります。 今回は、家庭…

スーパーマーケットに並ぶ色とりどりの野菜や果物、道端を彩る美しい花々。私たちが日常的に目にするこれらの植物が、実は一粒の「タネ」から始まっていることを意識する機会は少ないかもしれません。しかしその裏側では、より美味しく、より育てやすく、より病気に強い品種を生み出すため、気の遠くなるような研究開発と品質管理が日夜行われています。特に、創業から190年近くもの長きにわたり、日本の農業、そして食卓を支え続けてきた企業の存在は、まさに日本の食の根幹を担っていると言えるでしょう。 今回は、完熟トマトの代名詞「桃太郎」などを世に送り出し、国内最大手の種苗会社として知られるタキイ種苗株式会社の決算を読み解き…

私たちが毎日口にする米や野菜、果物。その豊かな恵みの裏側で、作物の成長を支える「肥料」が不可欠な役割を果たしていることを、普段意識する機会は少ないかもしれません。世界の人口が増加し続ける現代において、食料の安定生産は人類共通の重要課題であり、その根幹をなす肥料の安定供給は、まさに私たちの食生活そのものを支える生命線と言えます。しかし、肥料原料の多くは海外からの輸入に頼っており、その価格は国際市況や為替、地政学的なリスクに大きく左右されるという側面も持っています。 今回は、日本の農業、ひいては世界の食料安全保障の一翼を担う、三井物産グループの化学品事業の中核を担う専門商社、三井物産アグロビジネス…

農業従事者の高齢化と後継者不足、そして気候変動による水資源の枯渇。日本の、そして世界の農業は今、食料の安定供給を揺るがしかねない、数多くの深刻な課題に直面しています。これらの課題を解決し、持続可能な農業を実現するためには、経験や勘だけに頼るのではなく、科学技術の力で生産性を飛躍的に向上させる「スマート農業」への転換が不可欠です。 今回は、このスマート農業の最前線を走り、日本の農業を「科学」で支える、住友化学グループの中核企業「住化農業資材株式会社」の決算を読み解きます。潅水（かんすい）チューブから高機能な種子まで、農業のあらゆるプロセスを革新する同社は、どのようにして成長を続けているのか。その…