「立場」とは、当人が日々生活し生計を立て(させてもらっ)ている経済上社会上の具体的なそれを指すのに対し、「立ち位置」とは「当人の意志」によって如何様にも変え得るようなそれを指しているからである。
浅羽通明はニセ学生マニュアル〈死闘篇〉知的スノビズムを超えるための気になる講義総覧で「立場」に相当する概念として「ビフォー5」、「立ち位置」に「アフター5」と、名付けた
だとするならば必要なのは、ネットも含めた我々の言論に、「立ち位置」ではなく「立場」を要求することではないか。
(中略)
ある立場を茶化すことが、同時に何らかの政治的選択をしたと見なされてしまうこと、他者のあり方を茶化すことが、その他者からの直接的で強烈な言い返しを食らうこと、そしてそこから逃れることは許されないこと。
鈴木謙介「責任を回避するネットの〈立ち位置遊び〉」(『論座』2005年10月号、朝日新聞社 P230-237)