江戸時代後期の禅僧であり、歌人、書家としても名高い良寛。そして、良寛を慕い続けた幕末の女流歌人、貞心尼(1798〜1872年)。二人の深い精神的な繋がりは、数多く交わされた相聞歌を通して、現代に生きる私たちの心をも揺さぶります。 貞心尼、良寛の庵を訪ねる貞心尼は、越後国長岡藩(現在の新潟県長岡市)出身で、江戸時代末期の女流歌人として有名です。幼い頃から仏教や和歌に親しみ、出家後は良寛の名声を伝え聞き、深く感銘を受けました。1827年、貞心尼は良寛を訪ね、教えを請うことを決意します。しかし、初めて訪れた際には良寛は不在で、会うことは叶いませんでした。その時の失望と、それでもなお募る想いを、貞心尼…