この半音階幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903は1,100近くある作品のうち自筆譜が存在せず、正確な作曲年代も判明していません。 一応、1717年頃のワイマール時代もしくはケーテン時代(1717年~1723年)に作曲され、1730年頃に改訂が加えられたということになっています。 この曲にはいかにもバッハらしいガッチリとした構築力で真面目な姿をした音楽と、後のヴィルトゥオーゾ的な音楽の先駆けみたいなものと共に、力強い意志も感じるところに魅力があると思います。 作品は「幻想曲」と「フーガ」のふたつの部分から成ります。 「幻想曲」の部分は既に後世の曲を知ってしまっているからかもしれませんが、疾風怒…