Text by Ben Dooley and Hisako Ueno Photos by Noriko Hayashi
近年、日本ではSDGsという言葉が急速に人々の間に浸透しつつある。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、日本のSDGsに向けた取り組みの現状を取材し、そこに潜む問題点や、これからの課題を明らかにする。
数年前、ダークスーツに身を包んだ日本中のサラリーマンの襟元に、突然、目新しいカラフルなアクセサリーが現れるようになった。ルーレット盤のような形をした、17色の虹色の小さなバッジである。まもなく、そのロゴはあらゆる場所で見られるようになった。流行に敏感なブティックや子供の遊び場、さらには仏教寺院のウェブサイトまでもが、誇らしげにそれを表示するようになった。
こうした盛り上がりの目的は何か? それは「持続可能な開発目標」として知られる、国連が提唱する17項目の枠組みだ。
これは「SDGs」と呼ばれ、地球上のすべての国をより良い場所にするべく、貧困の撲滅、教育の向上、不平等の是正といった、反論の余地のない目標を掲げている。
だが、日本ほどこのキャンペーンをあからさまに取り入れている国はないかもしれない。SDGsは、日本人が良い地球市民であることを示す絶好の機会をもたらした。そして、イメージに敏感な企業は、精力的にこの流行に飛び乗ったのだ。
だが、日本ほどこのキャンペーンをあからさまに取り入れている国はないかもしれない。SDGsは、日本人が良い地球市民であることを示す絶好の機会をもたらした。そして、イメージに敏感な企業は、精力的にこの流行に飛び乗ったのだ。
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