仮想通貨支持のヒル議員が委員長就任
米国のフレンチ・ヒル下院議員は12日、下院金融サービス委員会の委員長に選出された。2025年に、暗号資産(仮想通貨)関連法案に優先事項の一つとして取り組んでいきたいと話している。
ヒル氏は、CNBCのインタビューで「公平な精神の下、目的に適ったデジタル資産の規制構造が必要だ」としており、次のように述べた。
ゲンスラーSEC委員長の下では、ルールがなく法的執行による規制だけがあった。これではアメリカの成功、技術の進歩、Web3のイノベーション、上場企業や金融サービスにおけるブロックチェーン利用の助けとはならない。
ヒル氏は、下院多数党院内総務のスティーブ・スカリス氏がトランプ新政権の最初の100日間で、仮想通貨の規制やドル建てステーブルコインに関する法案を進める意向だとも続けた。
ヒル氏は、これまでも仮想通貨を擁護する行動を見せていた議員だ。4日には、米国で仮想通貨業界への銀行サービス提供が制限されている状況を問題視し、実態調査を行うとも発言している。
下院金融サービス委員会は米国の経済、銀行システム、住宅、保険、証券などに関する問題を管轄しており、仮想通貨関連の規制や立法の議論をリードする役目も担っている。
パトリック・マクヘンリー委員長に続き、仮想通貨に肯定的な委員長が誕生することは業界にとって前向きな動きだ。
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進展が期待される重要法案
トランプ新政権下で進展が期待される重要法案の一つには、「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法(FIT21)」がある。仮想通貨の規制明確化を図る包括的法案であり、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会 )が共同でルール作りを行うことも規定している。
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また、「決済ステーブルコインの明確化に関する法案」は、ステーブルコインの包括的な規制を定めるものだ。
ステーブルコインは、仮想通貨市場での取引でも重要な役割を果たしている。特にDeFi(分散型金融)アプリの多くが米ドル建てステーブルコインを利用しており、法案成立で規制が明確化すれば大手企業が参加しやすくなることなどが予想されているところだ。
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その他には、シンシア・ルミス議員が上院に提出した「2024年ビットコイン法」がある。米国政府にビットコインを準備金として保有することを義務付けるものだ。
ヒル氏はこの法案については「このアイデアに惹かれる人々がいるのは理解できる」「米国や財務省にとってそれがどんな価値を持つのか、じっくり考えなければならない」とやや慎重に発言している。
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