春は出会いの季節、とはよく言われますが、それって事実なんでしょうか。
確かに、人事異動や引越しなど出入りの激しい季節ではありますし、お花見などのイベントも多くなる時期。
でも、
・「うちの会社は小さいから異動もないし、新卒採用もないので、もう何年も新入社員が入って来ない」(出版・28歳)
・「新入社員は若すぎて相手にならないし、異動して来る人はほとんど既婚者。たまに独身の人がいても、その人がタイプとは限らない」(メーカー・27歳)
なんていう話はよく聞くし、筆者も会社勤めをしていたときはそう思っていました。
春先特有のなんとなくそわそわする気分はあるものの、これといってキュンとするような出会いに恵まれることもなく、結局いつもと変わり映えのしない顔ぶれに囲まれて、普段通り淡々と過ぎていく毎日。
クラス替えのある学生ならいざ知らず、大人になれば「春になったからといって、特に何かが変わるわけではない」という現実を静かに受け止めるようになる人もいるわけです。
しかし、そんな中にもチャンスはあった!
春先、思わぬところで素敵な出会いを手にしたアラサー女性たちのエピソードをご紹介します。
■毎日マスクを買いに来る彼
ドラッグストア勤務なのですが、毎日のように3枚入りのマスクを買いに来る男性がいました。ある日「大容量のもございます」とご案内したのをきっかけに、一言、二言会話をするようになり、私も彼の顔を見るのがちょっと楽しみになっていきました。
そして花粉シーズンが終わりかけたある日、メールアドレスと丁寧な字で自己紹介を書いた手紙をそっと渡されました。それが今の彼氏です。(28歳 販売)
■お隣に恋のキューピットが越してきた
おととし、アパートの隣室に新婚さんが引っ越してきました。
奥さんは同世代でとても感じのいい人。ゴミ出しのときや出勤時間が重なったときなど、挨拶がてら少しずつ話しているうちにどんどん親しくなり、アドレスを交換し、やがて一緒にご飯を食べに行ったり、お互いの家を行き来するほどに。
そんなある日、恋愛の話になり「出会いのチャンスなんて、そうそうないよ」とぼやいたら、「旦那の友人で、顔は普通だけどとにかく真面目でいいヤツがいるからよかったら紹介させて!」と…。
会ってみると、本当に誠実でいい人。すぐにお互いを気に入ってお付き合いすることになりました。そういえば、彼と出会ったのは秋でしたが、きっかけとなったお隣の奥さんに出会ったのは、桜が咲く頃でした。(31歳 営業)
■桜の花びらが髪に…ドキドキ!
取引先の担当者が替わり、挨拶に来たときのこと。
名刺を交換し、しばらく話していると、彼の髪に桜の花びらが乗っかっているのに気付きました。「花びらがついていますよ」と言うと、子犬みたいに一生懸命髪を払うのですが、なかなか取れない。そのしぐさがかわいくて思わず笑ってしまって。結局私が取ってあげたのですが、髪に触れるときはなんだかドキドキしました(笑)。
相手は年下だし、恋愛とかじゃないのかもしれませんが、いつも彼が来社するのがとても楽しみです!(26歳 事務)
いずれも、きっかけ自体は季節を問わずにあり得ることかもしれませんが、そこからちゃんと恋の糸口を見つけ出した彼女たち。
些細なことでも、周りの誰かと少しずつつながっていくことで、出会いに結び付けていったようにも思えます。
もしかしたら春の出会いって、舞い落ちてくる桜の花びらみたいなものかもしれませんね。無数にあるけど、それを捕まえるときにはちょっとしたタイミングやコツが要る、みたいな…。
そんな薄桜色のささやかな出会いは、焦って吹き飛ばしたりしないよう、慎重に手にしたいものです。
(文=石村佐和子)