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トヨタ、航続距離を約320kmから約480kmに伸ばした「改良型FC大型商用トラック」を北米で公開

FCユニットの配置を工夫して車内空間を拡大

2018年7月30日(現地時間)発表

7月30日(現地時間)に公開されたトヨタ「FC大型商用トラック」改良型モデル

 トヨタ自動車の北米事業体であるTMNA(Toyota Motor North America)は7月30日(現地時間)、米国の研究機関「Center for Automotive Research」が主催するイベントで、航続距離や居住性を向上させた「FC(燃料電池)大型商用トラック」の改良型モデルを公開した。

 2050年までに2010年比で新車によるCO2排出量を90%削減し、グローバル工場CO2排出ゼロなどを目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」の取り組みの一環として、トヨタでは2017年夏から米国 カリフォルニア州でFC大型商用トラックを使った実証実験を開始しており、1台目の実験車によって港湾エリアの貨物輸送が実際に行なわれ、これまでに約1万6000kmを走行している。

FC大型商用トラックの改良型モデル

 新たに発表された改良型では、これまでの実証実験で得た知見から改良を実施。搭載する水素タンクの本数を4本から6本に増やし、通常運航における満充填時の推定航続距離を約320kmから約480kmに伸ばした。また、FCユニットの配置を工夫して、ホイールベースを延長することなくこれまでよりも広い車内空間を確保し、運転席スペースに簡易ベッドを備えたスリーパーキャブを新採用。操縦性はそのままに居住性を高めている。

 この改良型のFC大型商用トラックは、今秋から実証実験に追加導入される。

改良型ではFCユニットの配置を工夫して車内空間を拡大
改良型FC大型商用トラックのインテリア
トヨタ FC大型商用トラック組み立て風景のタイムラプス動画(47秒)

 この発表内で、同プロジェクトのチーフ・エンジニアを務めるアンドリュー・ランド氏は「私たちは、テストコースやロサンゼルス市の公道でFC大型商用トラックの性能を評価することにより、トラックの組立工程や車両性能の改善点をリストアップしてきました。改良型の開発においては、実験車としての性能を向上させるだけでなく、実用化も視野に入れる必要があったのです」とコメント。

 また、TMNAの電動車・先進技術部門 シニアマネージャーであるクレイグ・スコット氏は「FC技術の大型商用車への応用可能性を検証するという目標は達成することができました。今後は、FC大型商用トラックの実用可能性について検証します。私たちは、水素利用の拡大を通じて、ロサンゼルス港のみならず、米国や世界における大気汚染対策に取り組んでいきたいと考えています」と述べている。

改良型FC大型商用トラックの初公開シーン
プロジェクトのチーフ・エンジニアを務めるアンドリュー・ランド氏