2代前の相続から登記が放置されていたため、相続人は21人に膨れ上がっていた。ただでさえ面倒な遺産分割協議をようやく乗り切ったと思ったら、まさかのさらなる落とし穴が控えていた……。

 「相続人が21人!?」

 東京都在住のAさん(41歳)は、思わず声を上げた。というのもAさんは一人っ子。相続問題は簡単に済むと高をくくっていたのに。

 京都生まれのAさんは東京の大学に進学し、そのまま東京で就職した。父が10年前に亡くなり、一人住まいの母の体調が悪化したので、ちょくちょく実家に顔を出して母の身の回りをサポートしていたが、母は66歳で逝去。今回はその母の相続だ。

 遺産はわずかな預貯金と90坪の土地。住居に加えて、家業の作業場兼倉庫と、計2棟の建物がある。この建物の名義が、1棟は祖父、もう1棟はなんと曽祖父のままになっているというのだ。

 この土地は京都特有の、車も通れない細い私道に面するためか、広さの割に相続税評価額は高くない。曽祖父や祖父が亡くなった時も基礎控除の範囲内に収まり申告は不要で、ついでに相続登記もしないまま今に至った様子だ。

 その結果が冒頭のセリフになる。曽祖父の子供は8人中5人が故人で、その子供たちが相続人の権利を引き継いでいたため、ねずみ算式に21人まで増えてしまったというわけだ。

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