「自らを抜本的に変える経営改革が必要であると判断した」。パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長は4日開いたオンライン記者会見で、厳しい表情を見せた。2024年4~12月期の連結決算発表に合わせ、急きょ、自ら登壇して構造改革について説明した。

 26年3月期を経営改革に集中する1年と位置づけ、拠点の統廃合なども含む固定費構造の抜本的な見直しや事業の取捨選択を進める。22年の持ち株会社化により余剰となった間接部門の集約などを進め、必要な人材のみに絞ることで固定費の削減を進める。「雇用構造改革を実施する」(楠見氏)としており、25年度中に事業会社ごとに規模を見極めて早期退職などを実行する。

パナソニックHDは抜本的な経営改革を目指す(4日の記者会見、写真=パナソニックHD提供)
パナソニックHDは抜本的な経営改革を目指す(4日の記者会見、写真=パナソニックHD提供)

 事業の取捨選択については、成長が見通せず、かつ投下資本利益率(ROIC)が事業ごとに定めたWACC(加重平均資本コスト)を下回る課題事業と、事業立地が競合に劣後するなど厳しい再建事業の2つを対象として明示した。課題事業は産業デバイスやメカトロニクスなど4つあり、「事業や商品、地域からの撤退やベストオーナーへの事業承継を含む抜本的な対策を講じる」(楠見氏)という。

テレビ事業「出す覚悟はある」

 かつてのパナソニックの顔だったテレビも課題事業に入る。売却については「覚悟として出す覚悟はある」とした。一方で「今、売却を受けてもらえる会社はないと思う」とも話した。

 持ち株化で最も大きい事業会社として誕生し、社名も引き継いだ事業会社パナソニックは解体する。白物・黒物家電を手掛ける新会社と、空調やコールドチェーン事業を担う新会社、元々旧パナソニック電工が手掛けていた電気設備を手掛ける新会社に分ける。家電事業の立て直しも重点課題となる中、中国部品の採用拡大で高コスト体質を見直す考えだ。

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