BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

【2025年1月第5週目】ある日の読書記録(不思議な少年、ゲーテはすべてを言った、夢十夜)

同じ毎日だと思っていても、行動はグラデーションのように移り変わっていくものです。長らく1冊ずつ私的な読書レビューを続けてきましたが、余裕のなさに思うことがあり、今年から簡単な読書記録として日記をつけはじめました。

身も心も軽くなってはいるものの、感想を深掘りできないもどかしさが募っています。そして空いた時間は結局すぐ埋まる。これじゃ前と変わらないじゃん。

さてどうしたものかと思いつつ、今週読んでいる「不思議な少年」「ゲーテはすべてを言った」「夢十夜」の3冊について話していきます。

1/26(日)山下和美「不思議な少年(6巻)」

「数寄です!」がだいぶ楽しかったので、家の中から掘り返して読みました。不思議な少年が見る、人間の根底にあるものの話たち。

久々に再読したけど、やっぱり最初の博士とロボットの話がすごく好きでした。無責任に思いを託す人間と、健気に約束を守り続けるロボット。無表情の中に滲み出る感情には込み上げてくるものがあります。

それにしてもこの作品、ピンポイントで6巻だけ持っていて、「天才柳沢教授の生活」も1.2.9巻しかない。

飛び飛びでしか持っていないのに、この方の作品はなぜかそれが気にならないんですよね。短編が連なった構成をしているのと、1話1話のメッセージが強いので繋がりとかあんまり感じないのもありますね。

ああ、詳しく話したい、と言いながら最近全然話せてない。話す話す詐欺。

1/27(月)〜 鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」

2024年下半期の芥川賞受賞作品、を、買いに行ったわけではなかったんですよ。

本屋で見かけて、たまたま個人活動でちょっと懐が潤っていて(まだ手元に入ってないのに!)、そして装丁が素敵だったから買ってしまいました。

この謎数式?のような記号と印刷のかすれ具合。開くとピンク、黄色、水色と色紙が続く。雰囲気は軽いのに意味深な、妙に気になる装丁でした。

今半分くらいですが、あんまりこういう本読んだことないです。何系っていうんだろうか、新鮮で面白い。大学教授の日常や、アカデミックなやり取りを聞けるのも楽しい。言葉の出所を探すのは自分も好きなので、わくわくしながら読んでいます。

「ゲーテはすべてを言った」についての結論は冒頭に出ているのだろうけど、ゲーテ研究者の教授がどんな過程を経て結論とするのかは、すごく気になるところです。

(1週間通して) 夏目漱石「夢十夜」

読んだこともないのに、この作品には思い入れがありまして。世田谷文学館にはムットーニという人が作る立体カラクリ箱があって、それがとても好きなんです。小説がモチーフになっていて、夢十夜もその一つ。原作も読んでみたいと買っておいたのをようやく読んでいます。

十夜にわたる夢の断片。毎日一夜ずつ読んで、やっと今日ムットーニ作品で扱った話を読めました。読んでいて、船の汽笛の音、聞こえました。夢十夜、日常と幻の区別が曖昧になって、なんとも心地がよい。これは少しづつ、できるだけ長く読んでいたいです。

読書サイクル、さてどうしたものか。

今週の読書は非日常的で大変素晴らしい、と自画自賛します。このような読書を日々していきたいものです。読書記録自体は自分が後で振り返るためにもよいものだと思っていますが、いかんせんちょっと話すことで満足してしまうところがあります。どうしたものか…

1つ1つの作品を深掘りしたいけど、時間がない。浅く話すとそれだけで満足してしまい、なんだか視界がぼやける感じになってくる。うまく伝えられないんだけど、日常的に深掘りしていると視界がクリアになっていく感覚があるんですよ。わたしはそれがいいんです本当は。

いや、こんなこと言われても困っちゃいますよね、すみません。1つ1つを深掘りしないことでできた時間は、結局は他のことであっという間に埋まります。どれをやってどれをやらないか。その取捨選択に迷っているだけです。別にどの行動を選んでも良いわけです。優柔不断だなあいつまでも。こんな時もあります。