17日夜の開票速報は、文字通り、まさに“手に汗握った”。
大勢が判明した23時過ぎ、首相Göran Perssonは、TVカメラの前に登場した。そして、敗退を認め、首相としてだけでなく、党首としての退陣をも表明した。
スウェーデン史上、大きな節目となるかもしれない瞬間に居合わせたことを改めて実感した。
この結果、スウェーデンでは12年ぶりに政権交代が実現する。社民党首相に代わる新しい首相には、野党第一党の保守党を率いるFredrik Reinfeldt(フレドリック・ラインフェルト)が選ばれることが確実。スウェーデン史上、最年少の首相の誕生だ。
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開票作業は今日やっと終了し、正式結果が公表された。
これまで政権に就いてきた「左派ブロック」と、対する「右派ブロック」の成績は次のよう。
左派ブロック:171議席(投票率 46.08%)
右派ブロック:178議席(投票率 48.24%)
投票率を見ると、差が2%足らずと、大接戦であったことが分かる。
各政党の成績を詳しく見てみよう。
数字は得票率。カッコ内は前回2002年との比較。それぞれのアルファベットがどの政党を示しているかは、下の表で確認。
社民党が4ポイント近くも支持を失ったとともに、左党も人気低下。それに比べ、右派の保守党が11ポイント近くも大幅に支持を伸ばしている。自由党とキリスト教民主党が一方で、人気を大きく低下させているものの、保守党の爆発的な伸びのため、右派全体としては、その損失を補っている。また、全体としては、2大政党制に近づきつつあるともいえるかもしれない。
以前の選挙であれば、有権者が支持政党を変えるとしても、多くの場合、左派ブロック内でとか、右派ブロック内でというケースが多かった。しかし、今回はブロックを跨いだ、支持変更が大きく、全体として左から右に流れたのだ。興味深いことに、今回急成長した保守党は、社民党の支持者を大きく取り込んだのだ! 以前にも書いたように、左-右のものさしの中では、保守党は一番右に位置すると思われている。だから、これまで社民党を支持していたものが、間を経ず、いきなり保守党に流れたのは驚きに値する。その原因はまた後ほど。
さて、上の表には「その他」とあるが、ここにはどんな政党が含まれているのだろう。ちなみに「4%ハードル」をクリアして、議席を獲得した党はない。そういえば、フェミニスト党はどうなったのだろう・・・? 下の表を見てみよう。
実際は、極小政党が数え切れないほどあるので、ここには1万票以上を獲得した党のみを掲載した。
話題を呼んだフェミニスト党は、世論調査が予測していた通り、1%に満たない支持しか得られなかった。ところで、そんなことよりも、一番上にあるスウェーデン民主党が3%近く得票しているが、いったい何者だろう!?
実はこの党は、“スウェーデンをスウェーデンらしく維持しよう”というスローガンのもと、移民や非ヨーロッパ系外国人に対する敵視や排斥を主張する、いわゆる極右政党なのだ。その党が、前回の1.44%から大幅に支持を伸ばしたことに、スウェーデン中から“驚異”と“脅威”の声が上がっている。
スウェーデンでは、小党乱立を防ぐ目的で「4%ハードル」が設けられているが、この党がこの調子で成長を続ければ、国会での議席獲得も時間の問題となってしまうかもしれない。この党については、特筆すべきことがたくさんあるので、また別の機会に。
最後に全体の投票率をまとめてみよう。
スウェーデンでも、近年は「投票率」の低下が指摘されていたが、一番下を見れば分かるように、前回に比べ2ポイント近く回復したので、みな胸を撫で下ろしている。スウェーデンの民主主義はまだまだ“健康的”だ。今回は、選挙戦の間中、左派と右派の伯仲が騒がれていたから、一票一票の重みも自然と重く感じられたのかもしれない。そして、人々に投票権の行使を促すインセンティブになったのかもしれない。
大勢が判明した23時過ぎ、首相Göran Perssonは、TVカメラの前に登場した。そして、敗退を認め、首相としてだけでなく、党首としての退陣をも表明した。
スウェーデン史上、大きな節目となるかもしれない瞬間に居合わせたことを改めて実感した。
この結果、スウェーデンでは12年ぶりに政権交代が実現する。社民党首相に代わる新しい首相には、野党第一党の保守党を率いるFredrik Reinfeldt(フレドリック・ラインフェルト)が選ばれることが確実。スウェーデン史上、最年少の首相の誕生だ。
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開票作業は今日やっと終了し、正式結果が公表された。
これまで政権に就いてきた「左派ブロック」と、対する「右派ブロック」の成績は次のよう。
左派ブロック:171議席(投票率 46.08%)
右派ブロック:178議席(投票率 48.24%)
投票率を見ると、差が2%足らずと、大接戦であったことが分かる。
各政党の成績を詳しく見てみよう。
数字は得票率。カッコ内は前回2002年との比較。それぞれのアルファベットがどの政党を示しているかは、下の表で確認。
社民党が4ポイント近くも支持を失ったとともに、左党も人気低下。それに比べ、右派の保守党が11ポイント近くも大幅に支持を伸ばしている。自由党とキリスト教民主党が一方で、人気を大きく低下させているものの、保守党の爆発的な伸びのため、右派全体としては、その損失を補っている。また、全体としては、2大政党制に近づきつつあるともいえるかもしれない。
以前の選挙であれば、有権者が支持政党を変えるとしても、多くの場合、左派ブロック内でとか、右派ブロック内でというケースが多かった。しかし、今回はブロックを跨いだ、支持変更が大きく、全体として左から右に流れたのだ。興味深いことに、今回急成長した保守党は、社民党の支持者を大きく取り込んだのだ! 以前にも書いたように、左-右のものさしの中では、保守党は一番右に位置すると思われている。だから、これまで社民党を支持していたものが、間を経ず、いきなり保守党に流れたのは驚きに値する。その原因はまた後ほど。
さて、上の表には「その他」とあるが、ここにはどんな政党が含まれているのだろう。ちなみに「4%ハードル」をクリアして、議席を獲得した党はない。そういえば、フェミニスト党はどうなったのだろう・・・? 下の表を見てみよう。
実際は、極小政党が数え切れないほどあるので、ここには1万票以上を獲得した党のみを掲載した。
話題を呼んだフェミニスト党は、世論調査が予測していた通り、1%に満たない支持しか得られなかった。ところで、そんなことよりも、一番上にあるスウェーデン民主党が3%近く得票しているが、いったい何者だろう!?
実はこの党は、“スウェーデンをスウェーデンらしく維持しよう”というスローガンのもと、移民や非ヨーロッパ系外国人に対する敵視や排斥を主張する、いわゆる極右政党なのだ。その党が、前回の1.44%から大幅に支持を伸ばしたことに、スウェーデン中から“驚異”と“脅威”の声が上がっている。
スウェーデンでは、小党乱立を防ぐ目的で「4%ハードル」が設けられているが、この党がこの調子で成長を続ければ、国会での議席獲得も時間の問題となってしまうかもしれない。この党については、特筆すべきことがたくさんあるので、また別の機会に。
最後に全体の投票率をまとめてみよう。
スウェーデンでも、近年は「投票率」の低下が指摘されていたが、一番下を見れば分かるように、前回に比べ2ポイント近く回復したので、みな胸を撫で下ろしている。スウェーデンの民主主義はまだまだ“健康的”だ。今回は、選挙戦の間中、左派と右派の伯仲が騒がれていたから、一票一票の重みも自然と重く感じられたのかもしれない。そして、人々に投票権の行使を促すインセンティブになったのかもしれない。
私も、スウェーデンの政治・経済・社会に
関心があります。スウェーデン語ほとんど
読めないので、日本語で分析してあるのが
とてもありがたいです。
右派の連立政権ということで、大学の
外国人留学生は一部有料になったりする
可能性が社民党時よりも高くなるでしょうか・・・。
スウェーデン民主党の躍進(?)、注目ですね。ヨーロッパのいくつかの国で見られる極右の台頭がここでも起こってるのか!と、??だらけだけどニュースを見ながら、びっくりしました。これに関する記事を待ってます(プレッシャーじゃないですよ)。
ちょっと難しめな選挙の話題を書いてきたのですが、こういう話題に関心がある人もいたことが分かって、ちょっと嬉しくなりました。
外国人留学生にたいする授業料の件ですが、既に去年か今年春の段階で、社民党の教育文化大臣が、スウェーデンの大学が非ヨーロッパの留学生(交換留学は除く)から授業料を徴収することができるように、法律改正を行ったと記憶しています(確か :-))。実際の額については各大学が決める、とされているようです。
社民党も当初は反対していましたが、2003、4年辺りに大幅な路線変更をして、積極的推進に回りました。左派の社民党でもこうでしたから、右派政権でもそれが踏襲されると思います。
時間がほしい、睡眠時間がほしい、テレビを見る時間がほしい、ボケーッとしたい、ゆっくりとフィーかをしたい・・・。
今日はガーナからの博士課程の友人が学位を取得し、祝賀会でした。明日も朝早いので、酔っ払いながらも、何とか家にたどり着き、このコメントを書いているところです。
Sverigedemokraterna(スウェーデン民主党)。見方によれば、スウェーデンの政治も、より大陸ヨーロッパに近づきつつある、とも言えるかもしれません。近いうちに、この党については書きます。
フェミニスト党は残念でした。